「アドバンス」とは「前進」「前払い」のこと
「アドバンス版」「アドバンス支払い」などの使い方をする「アドバンス」には「前進」「前払い」などの意味があり、ビジネスシーンだけではなく、教育、医療、ゲームなど幅広い分野で登場します。
本記事では、日本語の「アドバンス」の意味や使い方のほか、英語表現、言い換えなどもわかりやすく紹介します。
また、対義語としては「退去」「撤退」の意味をもつ「リトリート(retreat)」という言葉があるので、知識としてもセットでぜひ覚えておいてください。
「アドバンス」の英語は「advance」
「アドバンス」は英語で「advance」と表記し、次のように多くの意味をもつ単語として使われています。
・前進させる
・(案などを)提案する
・促進する
・前倒しする
・昇進させる
・前払いする
・先送りする など
・前進する
・進展する
・前進する
・(地位などが)上がる
・(価値などが)上がる など
・前進
・進歩
・昇進
・打診
・増額
・前払い など
どのように使われているかも見たほうがわかりやすいと思うので、「advance」を使った熟語もいくつか紹介しておきます。
・advance~step by step
(~を少しずつ進展させる)
・advance a direct relationship with~
(~との直接的関係を発展させる)
・advance a discount rate
(割引率を引き上げる)
・advance a left
(左カーブを進行する)
・advance a level
(レベルを向上させる)
・advance a negotiation
(交渉を進める)
・advance a new relationship with~
(~との新たな関係を発展させる)
・advance a new theory
(新しい理論を提唱する)
・advance a payment
(前倒しで支払う)
・advance a price
(値上げする)
日本語においての「アドバンス」とは
日本語として使われる「アドバンス」には、大きくわけて、次の2種類の意味で使われています。
①前進。進出
②前払い。前払い金。契約の手付金として支払うお金。
ビジネスシーンにおいては、①②どちらの意味でも使われるため、会話の中の「アドバンス」が何を指すかは、文脈で判断しなければなりません。
また、教育やゲームの分野での「アドバンス」は違うニュアンスになるので、少し解説しておきます。
教育分野における「アドバンス」の意味
教育分野での「アドバンス」は、教材のレベルを指すことが多いです。簡単なレベルわけの名称として「入門レベル」「基本レベル」「上級者レベル」があるとすると、これらの英語表現は次のようになります。
・入門レベル → entry level
・基本レベル → basic
・上級者レベル → advanced
また、英語圏ではこのような表現もあります。
・初級 → elementary couse
・中級 → intermediate couse
・上級 → advanced couse
つまり、受講コースや教材についての話題の際に「アドバンス」が出てきた場合はレベルのことであると解釈できます。これから何かの勉強を始める場合には、上級者レベルである「アドバンス」を選ばないよう注意しましょう。
なお、教育の現場でも支払いや運営についての話題はあるので、「アドバンス」が何を指しているかは文脈で判断してください。
ゲーム分野における「アドバンス」の意味
わかりやすい例としては、過去に任天堂から発売された「ゲームボーイアドバンス」があります。初代機からいくつかの機種が作られてきて、ゲームボーイアドバンスは、これまでのゲームボーイの開発で得られた技術が総結集されたものとなっています。主な進化内容は次のとおりです。
・これまでの画面の中で一番大きい2.9インチを採用。
・8ビットから32ビットに進化。
・従来のソフトも楽しめる。(ただし、一部のソフトを除く。)
・専用通信ケーブル対応のカートリッジを使えば最大4名までのマルチプレイが楽しめる。
ゲームボーイアドバンスのほかでも、ネットゲームなどで「アドバンスモード」などがあれば、従来よりも進化したものだということになります。
「アドバンス」の使い方・例文
「アドバンス」は「前進。進出。」「前払い。前払い金。」のどれを指すのかは文脈での判断が必要です。ここでは、それぞれの意味での例文をいくつか紹介しておきます。
・ウイルスソフトのアドバンス版を各パソコンに入れますので、都合のいい日時をご連絡ください。
・昇級テストには合格したが、彼はアドバンスコースではついていけないようだ。
・初めて〇〇を学ぶということであれば、アドバンスではなく初級クラスからになります。
・アドバンスは〇〇円になりますので、窓口でお支払いください。
医療分野での「アドバンス」の意味
医療分野においては「前払い」の意味と近い、「あらかじめ」や「前もって」というニュアンスで使われています。
アドバンス・ケア・プランニング
「アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning)」とは、患者さんと、家族、医療機関、介護者などと一緒に、患者さんの意思決定能力が低下する前に、終末期を含めた今後の介護などについて話し合うプロセスを指します。万が一、意思決定ができなくなった際、誰が代理で決定するのかもここで決められます。
アドバンスディレクティブ
「アドバンスディレクティブ(Advance Directive)」とは、自己判断ができなくなった場合に、自身に行われる治療行為やケア内容について、どのようなことを望むか、判断できるうちに意思表示しておくことをいいます。
「このようにしてください」と本人が家族などに伝えるのであって、代理決定者を設定しない点でアドバンス・ケア・プランニングとの違いがあります。
「アドバンス」の類語・言い換え
「アドバンス」を日本語で言い換える場合は次の言葉が使えます。
・進み
・進展
・進歩
・改善
・発展
・向上 など
・先貸し
・前貸
・前借り
・前借金 など
また、カタカナ用語での類語としては「プログレス」や「アッパー」があてはまります。
プログレス
「プログレス」には、「進歩」や「向上」という意味があります。「あらかじめ」というニュアンスがある「アドバンス」とは違い、「プログレス」は、何かに取り組んでおり、その達成度が大きい際に使います。
アッパー
「アッパー」とは、「上の」という意味のカタカナ用語です。「アドバンス」は「前に進む」ですが、「アッパー」は「上に登る」というニュアンスになります。
「アドバンス」の意味を理解し、正しく使おう
「advance」にはとても多くの意味があり難しく感じるかもしれませんが、カタカナ用語として使われる「アドバンス」は、広い意味で「前進」「前払い」の2種類です。文脈での判断は必要になるので、どんなニュアンスになっても対応できるようしっかり覚えておきましょう。