「お手数をおかけしました」は「手間をとらせてしまいました」という意味
「お手数をおかけしました」は「手間をとらせてしまいました」の意味をもっており、手間をかけてくれたことに対しての「感謝」や「お詫び」の気持ちも含まれた言葉です。ビジネスシーンにおいては、直接相手に会った際だけでなく、メールでもよく使うので、スムーズに使いこなせるようにしておきたいものです。
本記事では、正しい意味や使い方のほか、似た意味をもつ言葉や返事の仕方、英語表現についてもわかりやすく解説します。
「お手数をおかけしました」の読み方・意味
「手数」は「てすう」「てかず」のどちらでも間違いではありませんが、「お手数をおかけしました」は「おてすうをおかけしました」と読むのが一般的です。
「手数」には次の意味があります。
・ある事柄をするのに必要とする動作や作業の工数。
・ほかの人のためにかける手間。
「手数」に「お~しました」をつけると謙譲語になります。つまり、「お手数をおかけしました」は「自身や自社の依頼で相手に手間をとらせました」のへりくだった表現で、相手への「感謝」や「恐縮」の気持ちも含まれています。
また、謙譲語なので、上司や目上の人に使っても失礼になりません。
「お手数をおかけしました」の使い方・例文
ビジネスシーンにおいて、相手に何かをしてもらうというのは当たり前に発生することで、「お手数をおかけしました」を使う場面は多数あります。また、プライベートでも使える言葉なので、覚えておくととても便利です。ここでは、会話の中でどのように取り入れるのか例文でチェックしていきましょう。
「お手数をおかけしました」と「お礼」の言葉をセットで使う
「お手数をおかけしました」は、相手に対して感謝の気持ちも含まれているため、お礼の言葉をセットで使うことも多いです。
・急な依頼にもかからわず、迅速にご対応くださいまして誠にありがとうございました。お手数をおかけしました。
・お手数をおかけしましたが、A様のおかげで無事に処理することができました。ありがとうございました。
「お手数をおかけしました」と「お詫び」の言葉をセットで使う
相手への恐縮の気持ちも含まれている「お手数をおかけしました」は、お詫びの言葉でセットで使うこともあります。
・申し訳ございません。本日は私の不手際で大変お手数をおかけしました。お手数をおかけしました
・お手数をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。
「お手数をおかけしました」からさらに返事が必要な場合
相手に面倒をかけ、さらにこちらから返答をしなければならない事柄もあります。
「お手数をおかけしました」に対する返事
「お手数をおかけしました」と言われた場合、たとえ本当に面倒な作業を行っていたとしても、「気にしなくていいです」「謝らないでください」など、相手を気遣う言葉で返すのが礼儀です。
返事としては、目上の人に対しても使える次の言葉が適切です。
・とんでもございません
・滅相もないことでございます
・お気になさらないでください
・お役に立てて光栄です
・また何かございましたらいつでもおっしゃってください など
「お手数をおかけしました」の類語・言い換え表現
日本語の中には、「お手数をおかけしました」と似た意味をもつ言葉がいくつかあります。表現の幅を広げるためにもこれを機に覚えておくと便利です。
「ご面倒をおかけしました」
「面倒」には、「手間がかかって不快なこと」「わずらわしいこと」といった意味があります。相手に「手間をかけました」の意味で「お手数をおかけしました」の言い換え表現として使えます。
「ご迷惑をおかけしました」
「迷惑をかけて申し訳ございませんでした」の意味をもつ言葉です。ただし、「お手数をおかけしました」のように、「感謝」の気持ちはなく、「お詫び」のみなので、「ありがとうございます」の気持ちも含めたい場合には使えません。
「お手間をとらせました」
「お手間をとらせました」は、相手が自分に対して手間をかけてくれた際に、お詫びの意味を込めて使います。
自分が手間をかけた場合は「手間をかけた」でいいですが、相手が手間をかけてくれた場合は「~かけさせました」ではなく「お~とらせました」にするのが正しいです。
「お手を煩わせてしまいました」
読み方は「おてをわずらわせてしまいました」です。「手間をとらせました」「面倒をかけました」の意味をもっており、お詫びの気持ちが強い言葉になります。
「お手数をおかけしました」の英語表現
「お手数をおかけしました」を英語で表現したい場合は次の言葉が使えます。
・Sorry to trouble you.
・Sorry for the trouble.
・I’m sorry to trouble you.
前述した熟語で簡単に表現しても伝わりますが、英文の表現も少し紹介しておきましょう。
・I’m deeply sorry for troubling you.
(お手数をおかけして申し訳ございません。)
・Thank you for your trouble.
(お手数をおかけしました。)
「お手数をおかけしました」の意味を理解し正しく使おう!
ただ「ありがとうございました」と言われるよりも、手間をかけたことに対してのお詫びや感謝の気持ちがあると印象が良くなります。後の関係を良好なものにしていくためにも「お手数をおかけしました」という一言を上手に使えるようにしておきましょう。