「この度」とはどんな言葉?
「この度」の意味は「今度」「今回」です。
類語は「此度」「このほど」。
「この度」を英語で表すときは、「this time」を使ってください。
「この度」とはどんな意味?
「この度」は「このたび」と読み、次の意味で使われます。
・今回
「この度」は、今進行中の「今起きていること、今起きている状況」、または「ごく最近起きたこと」を表す言葉です。「近々起きることが確定している出来事」を指して使う場合もあります。
しかし、「この度」はこれらの時間的な意味合いよりも、「さて」のようなニュアンスで話を進めるための前置きのフレーズとして用いられる場合も多いです。
「この度」と「今度」「今回」の違い
「この度」は、「今度」や「今回」を丁寧な言い方に直した言葉です。しかし、「今度」や「今回」と完全に同じ意味というわけではなく、少し違いもあります。
「今度」と「今回」は、「今度の試作品は自信作だ」や「条件を考えると、今回が最後のチャンスになるだろう」のように「前回」や「次回」と対比させ、順序や回数を意識したうえでの「今の回」を指す言葉として使う場合があります。
しかし、「この度」はこのように順序や回数を意識した使い方をすることはなく、ただ目の前にある出来事や事態、状況だけを指しています。
「今度」は、「今度遊園地に遊びに行きたい」のように、確定していない未来に対しても使用します。一方、「この度」と「今回」は、「この度(今回)の式典は、取引先企業からもお客様をお迎えすることになりました」のように、未来の話では「近々起きることが確定している出来事」にしか用いない点も違います。
「この度」と「このたび」
ビジネスでは「この度」と書くのが一般的ですが、実は、公用文を作成するときは「このたび」を使うのが正しい表記とされています。
その理由は、文化庁が発表した『新しい「公用文作成の要領」に向けて(報告)』で、「事(こと)」「時(とき)」「所・処(ところ)」「物・者(もの)」などの形式名詞は、ひらがなで表記することが推奨されているからです。
形式名詞とは、「英語を話す『こと』が苦手だ」や「パソコンを仕事で使う『とき』は」のように、言葉そのものの意味が薄れ、本来の使い方から離れた使い方をする名詞のこと。
「度」は「度合い」の意味をもつ漢字です。「度合い」の意味で「度」を使う言葉には、「温度」「湿度」「緯度」などがありますね。
「この度」は「度」を「度合い」の意味では使用していません。そのため、文化庁が推奨するルールでは、「このたび」と表記するほうが正しいことになります。
しかし、「このたび」とひらがなで表記してしまうと軽い印象になってしまうため、ビジネスでは「この度」と書く方が好まれています。
参考 新しい「公用文作成の要領」に向けて(報告)文化庁「この度」の使い方を例文で学ぼう
「この度」の意味がわかったら、次は言葉の使い方を例文でイメージしてみましょう。
・重ねてになりますが、この度は大変申し訳ございませんでした。
・この度は弊社のアンケートにご協力いただきありがとうございました。
・この度は御多忙の中御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
・はじめまして。株式会社bouteXの杉本と申します。この度はお世話になります。
・この度は誠に残念なことになりまして、心からお悔やみ申し上げます。
・この度はご愁傷様です。謹んでお悔やみ申し上げます。
「この度」の類語・言い換え表現
「この度」は、「今度」や「今回」に言い換えることもできますが、かしこまった印象の文面にしたいときは「此度(こたび)」「このほど」を言い換え語として使うのもおすすめです。
・このたび。 今度
【例文】
此度の送料改定により、お客様のご負担が大きくなってしまいますことを心よりお詫び申し上げます。
・このあいだ。先日。最近
・このたび。今度
【例文】
bouteXはこのほど、新サービスの開始を発売した。
「この度」は英語だと?
「この度」を英訳するときは、「this time」を使います。
・この時間
・今回は
・今度こそは
「this time」を使用して、「この度はご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません」を英語で表すと、「We sincerely apologize for the inconvenience caused this time.」となります。
ただし、「this time」は「前回とは違って」という意味合いを含む表現であるため、「この度はありがとうございました」のように感謝の気持ちを伝える文脈で用いると、嫌みな言い方になってしまいます。「this time」は使わず、「Thank you for all your help.」というだけでニュアンスを伝えられます。
「この度」をうまく使おう
「この度」は丁寧にお礼やお詫びをするときや、冠婚葬祭のようなかしこまった言葉づかいが必要とされるシチュエーションでよく用いられる言葉です。
ここぞというときに使う表現なので、正しく理解しておかないと困ったことになってしまうかもしれませんよ。「この度」の意味や使い方をしっかりと頭に入れておきましょう。