アサーティブの意味とは?アサーティブコミュニケーションの具体例や本もご紹介

アサーティブの意味は「相手を尊重した上手な自己主張」

「アサーティブ」とは、相手のことを尊重しながら、自分の意見も伝えることができる状態を意味します。自己主張は、やり方によっては攻撃的な印象を与えてしまうものです。逆に、言いたいことが言えずに終わってしまうのも望ましくありません。

アサーティブの考え方を意識することで、お互いにとって心地よいコミュニケーションとなります。人間関係にヒビを入れずに済む上手な自己主張は、ビジネスでもプライベートでも重宝します。

アサーティブの英語は「assertive」

アサーティブというカタカナ語は、英語の「assertive」に由来します。この単語には、断言的、はっきり述べる、積極的に主張する、といった意味があります。日本語では「相手を尊重しながら」というニュアンスになりますが、英語の方が強い意味といえます。

例文
・You shoule be assertive.(もっと自己主張すべきだよ。)
・I’m not assertive.(私ははっきり言えないんです。)

このように会話の中で登場します。豆知識として、例えば食べ物の香りが強いときに「assertive flavor(強い臭い)」という表現も使えます。日本語で「春菊は主張が強い」などと言っても通じますが、そのようなニュアンスを英語で表すときには「assertive」を選択できます。

アサーティブコミュニケーションとは

アサーティブコミュニケーションとは、アサーティブなコミュニケーションのあり方のこと。つまり、相手を尊重しながら自己主張ができるコミュニケーションを指します。特に、ビジネスシーンにおいては重要となります。

あなたの自己主張はどのタイプ?

自己主張には次の3つのタイプがあるとされています。自分や周囲の人を思い浮かべると、いずれかのタイプに分類できるでしょう。

アグレッシブ 自分優先 一方的に自分の主張を押し通す。感情的で攻撃的。
アサーティブ 自分も相手も尊重 相手の意見を尊重しながら、自分の主張を伝える。
ノンアサーティブ 相手優先 相手の意見を尊重してしまい、誤った判断を招く。不満やストレスにもつながりやすい。

自分の意見を主張してばかりだと人間関係に亀裂が入ることは想像しやすいです。一方、相手の意見に従うばかりで主張しない人材も、厳しい見方をすればビジネスシーンでは「無能」と思われてしまいます。その中間の程よい状態がアサーティブなのです。

アサーティブトレーニングという言葉もあり、自己主張のあり方をアサーティブに近づけるための練習をすることも可能です。

アサーティブコミュニケーションの例

次のポイントを念頭に置きながら、3つのタイプ別に対応例を見て、アサーティブコミュニケーションのイメージをつかんでいきましょう。今回は「書類作成でミスを繰り返す部下に注意をする」という場面を想定します。

【ポイント】

  • 主語は「I(私)」
  • 自分の状況、気持ちを伝える
  • 相手に否定的にならない
  • 代替案を出す
アグレッシブな例
田中さんはいつも同じミスをしている。今月だけでもう3回目です。いい加減にしてほしい。
ノンアサーティブな例
(ミスがあるのに指摘せず)ありがとう。確認しておくね。
アサーティブな例
今回の書類だけど、エクセルの計算式がまた間違っていたよ。修正に時間がかかると、期日に間に合わないので、とても困っています(=私の状況、気持ち)。前回完成させた数式をコピペすれば間違いがなくなると思う(=代替案)。

このように、アサーティブコミュニケーションは、いくつかの要素を盛り込めば成立します。これを癖や習慣にしていきましょう。ちなみに、看護師などの医療職もアサーティブコミュニケーションを学ぶ、患者さんへの対応、新人への指導などに生かしています。

アサーティブ・アサーション・アサーティブネスの違い

アサーティブと同じ意味を持つ言葉があります。何が違うのか気にされる方も多いようですが、どれも意味は同じで、品詞が違うだけです。

アサーティブ(assertive)→形容詞

アサーティブネス(assertiveness)→名詞

アサーション(assertion)→名詞

今回ご紹介しているアサーティブは、形容詞である点に違いがあります。アサーティブネスは長い単語となり、日本語では使用しにくいため、「アサーティブ」の方が浸透しているのでしょう。ちなみに、心理学の世界では「アサーション」が用いられており、使用する業界によっても表現の違いはあります。

アサーティブコミュニケーションの本

アサーティブに焦点を当てた書籍は多数ありますが、今回は「それでも話し始めよう アサーティブネスに学ぶ対等なコミュニケーション」をピックアップしました。著者は、英国でアサーティブトレーニングを実践してきたトレーナーです。

アサーティブコミュニケーションには4つの柱(誠実、率直、対等、自己責任)があります。「言いたいことが言えない」「つい攻撃的になってしまう」という心当たりのある方は、書籍から上手なコミュニケーションのコツを吸収してみてください。

アサーティブな自己主張は無礼ではない

特にビジネスシーンにおいては、意見を述べること、必要に応じて注意や指導をすることが求められます。例えば、会議に出て何も発言しないのは、ギャラをもらって一言も発しない芸能人と同じ。攻撃的に主張するのはもちろんNGですが、黙っているのも同じくらい問題となります。

自己主張をすることは失礼だ、無礼だという誤解を捨て、アサーティブなコミュニケーションで上手に立ち回っていきましょう。