読み間違いの多い「踏襲」とは?正しい読み方、意味、対義語、類語、英語も紹介

「踏襲」とは「受け継ぐ」という意味

「踏襲」とは、「前人のやり方などを受け継ぐ」という意味をもつ言葉です。しかし、同じような意味をもつ言葉に「継承」があり、こちらのほうが広く知られているため、「継承」のほうが使われる頻度が高いです。

しかし、厳密には「踏襲」と「継承」がもつ意味はことなるため、状況に応じて使い分けが必要です。

そして、対義語は、前の事柄を受け継がず、新しいものに変えるといった意味合いの言葉があてはまります。対象となる言葉は一つではなく、「改善(かいぜん)=悪い部分を良いものへ改める」「改革(かいかく)=これまでの制度などを改め、良いものへと変えること」「刷新(さっしん)=良くない状況を取り除き、完全に新しいものに変える」などがあるので、併せて覚えておきましょう。

「踏襲」の読み方・語源

「踏襲」は「としゅう」「ふしゅう」といったように、読み間違いが多い言葉ですが、正しくは「とうしゅう」と読みます。

「踏む」と「襲う」が一緒になった言葉なので、攻撃的なイメージをもちがちですが、それぞれの漢字の意味を見ると決して恐ろしいものではないんです。

「踏」は、何かを「踏みつける」の意味で使われることが多いですが、土台や基礎なそ、「それを踏みつけた結果、積み上がりできたもの」という意味もあります。

そして「襲」は、「おそいかかる」のほかに「あとを引き継ぐ」という意味があり、「踏」+「襲」で、前のものを土台として引き継ぐといった意味合いの「踏襲」が生まれたとされています。

「踏襲」の意味

「踏襲」は、広い意味では「前人のやり方などを受け継ぐ」ですが、厳密には次のような意味をもつ言葉です

「踏襲」の意味

①前人が経験した事柄をそのまま受け継ぐこと。
②もともとある事柄をそのまま伝えること。
③前人のやり方をそのまま受け継ぎ、自分の説として伝えること。

「踏襲」の使い方・例文

「踏襲」は聞きなれないので、どのように使えばいいのか迷う人も多いでしょう。ここでわかりやすい例文をいくつか紹介するので、状況を思い浮かべながらぜひ読んでみてください

例文

・今は新しい対策は見つけられていないのでAさんの解析方法を踏襲してもらえる?
・プロジェクトリーダーを務めるのは初めてなので、とりあえず前任者のやり方を踏襲しようと思う。
・もう踏襲した経営戦略では通用しないだろう。

「踏襲」の類語・言い換え表現

「踏襲」は少し難しい言葉なので、通じないこともあるでしょう。そのような場合には、次の言葉が言い換え表現として使えます。

「踏襲」の言い換え表現

【受け継ぐ】
前の人がやってきたことを引き継ぐこと。
【倣う(ならう)】
すでに存在しているやり方などを真似、そのとおりにすること。
【準ずる】
ある基準のものと同じように考える。

「踏襲」と「継承」の違い

「受け継ぐ」の意味をもつ言葉には、「踏襲」のほかに「継承」があります。まずは、それぞれの詳しい意味を見てみましょう。

【踏襲】
・前人のやり方などを受け継ぐ。
・それまでのやり方を受け継ぎ、その通りに実行する。
【継承】
・先任者などが築き上げた地位、財産、権利などを受け継ぐ。

これら二語の違いは、「踏襲」は、「やり方や考え方など」を受け継ぐことに対し、「継承」は「地位や財産など」を受け継ぐことを指しています。

「踏襲」の英語表現

「踏襲」を英語で表したい場合は、「follow=従う」を使うのが一番シンプルです。

・I’m going to follow her way.
(私は、彼女のやり方を踏襲します。)
・There will be no new discoveries if we only follow precedents.
(前例踏襲だけでは新しい発見がない。)

「踏襲」の意味を理解し正しく使おう!

「受け継ぐ」ことをを伝える場合、「継承」が頭に浮かびやすいと思いますが、「踏襲」と「継承」では受け継ぐ物事が異なります。類語も含め、正しい意味をきちんと理解し、状況に応じて使い分けができるようにしておきましょう