「メンター」の意味は?OJTとの違い、メンター制度、言い換え、関連語も解説

「メンター」とは「仕事や人生においての指導者」のこと

「メンター」とは、「良い指導者」「優れた助言者」の意味で、「恩師」とは、「教えを受けた経験のある、恩のある先生」を指す「恩師」も「メンター」にあたります。

ビジネスシーンにおいても、メンターをつける企業が増えているため、言葉の意味はしっかりと理解しておきたいものです。本記事では、言葉の意味や使い方だけでなく、「メンター」に関連する言葉や制度についてもわかりやすく紹介します。

なお、「メンター」の対義語は、指導してもらう側にあたる「メンティー」になるので、併せて覚えておいてください。

「メンター」の英語は「mentor」

カタカナ用語として使われている「メンター」は英語の「mentor」が由来のため、日本語の中で使われている意味とほぼ同じです。

・良き師
・助言者
・信頼できる相談相手

「mentor」を使った熟語も紹介しておきます。

・mentor for life
(人生の指導者)
・great mentor to young poeple
(若い人たちの素晴らしい助言者)
・She is a mentor in my life.
(彼女は私の人生のメンターです)

日本語においての「メンター」とは

「メンター」とは、ビジネスシーンや人生においての「良い指導者」「優れた助言者」という意味をもっています。そのため、仕事をするうえでのメンター、人生でのメンターの2人以上が存在することもあります

ビジネスシーンでのメンターは、仕事上の助言だけでなく、メンタル面においてのサポートもしていき、人生においてのメンターは、この先の人生の歩み方に迷っている人に対し、助言をしてくれることになります。

「メンター」の使い方・例文

「メンター」は、会話の中ではこのような形で使われます。ビジネスシーンでも日常でも使い方の違いはほとんどないので、ぜひ参考にしてみてください。

例文

・来週入社してくる新人のメンターはAさんにお願いしようと思っているのでよろしくね。
・未経験の業種の会社に入社し、ここまで成長できたのは、悩んでいるときにメンターの先輩がたくさんの時間を使って私の話を聞いてくれたおかげだと思っている。
・Bさんは、間違いなく私の人生においてのメンターだ。

ビジネスシーンにおいての「メンター制度」とは

近年、多くの企業では、入社して2~3年で退職する社員がいることに問題視しており、「メンター制度」を導入するところも増えてきました。この制度は、実務を教えることが目的ではなく、ビジネスパーソンとしての能力を磨くための指導者をおく制度であり、業務上で上下関係が発生する上司や先輩ではなく、他部署の上司や先輩をメンターに選ぶのが一般的です。

メンター制度が必要と考えられる理由

入社して早期に退職する社員の理由の中で、「人間関係がうまくいかない」「社内に馴染めない」「仕事がわからない」「うまく仕事がこなせない」といった、社内環境や順応性に関するももの多くあげられています。

自身の理想としている仕事と違う、といった理由なら離職もやむを得ないかもしれませんが、社内での対処次第で解決することができる社内環境や順応性での退職は、労働力の確保の点においても、なんとしても阻止しなければなりません。そのためにも、メンター制度は有効だと考えられています。

メンター制度のメリット・デメリット

優秀な人材を育てていくためにメンター制度を取り入れる企業が増えてはいますが、メリットばかりではなくデメリットもあります

メンター制度のメリット

・悩みに対しての相談相手がいるという安心感がもてることで、新人のモチベーションの維持に繋がる。
・メンターに任命された先輩社員も、人に教える、誰かのサポートをする、といった立場に立つことで、自分自身や今の環境を見つめなおすことができる。
・他部署の人がメンターになることが多いため、仕事をしているだけでは関わりのない部署とコミュニケーションがとれるようになる。

メンター制度のデメリット

・メンターとメンティーとの相性が悪ければ逆効果になる。
・メンターになる社員は、通常業務にメンティーのサポートという仕事が加わるため、負担が増える。

「メンター」の類語・言い換え

「メンター」を日本語で言い換える場合、次のような言葉を使うことができます。

メンターの言い換え表現
・相談役
・助言者
・指導者
・補佐役
・指南役
・相談相手
・良き師 など

「メンター」と「OJT」の違い

新入社員の指導という意味で、「OJT」があります。「OJT」とは、「on the job training」の略で、通常業務の中で、実際に現場で仕事をしながら行う教育制度のことをいいます。「メンター」は実務ではなく、メンタル面や、仕事をするうえでの助言をするといった点で違いがあります。

「メンター制度」と「エルダー制度」の違い

「エルダー制度」とは、「エルダー」と呼ばれる先輩社員が、新人を指導する制度で、主に、仕事面でのサポートや助言を行います。一方、「メンター制度」は、他部署の先輩社員がメンターになることが多いというだけあって、実務そのもののサポートではなく、メンタル面や、広い意味での「仕事」に関するサポートを行うといった点で違いがあります。

「メンター」の関連語

「メンター」をより深く理解するためにも、一緒に覚えておきたい関連語があります。ここでは「メンタリング」「メンターシップ」について解説します。

メンタリング

助言者である「メンター」が、「メンティー」に対して指導や助言を行うことを「メンタリング」といい、1対1の関係で実施されるのが通常です。

「メンタリング」をするうえでの注意点

悩んでいる人に助言したり、サポートをしてあげたりすることは難しいことです。うまくいかなければメンティーの悩みは解決せず、退職に繋がる可能性があるため、メンターになる人は、次の点に注意をする必要があります。

「メンタリング」するうえでの注意点

・直接的な命令や注意をするのではなく、メンティーが自ら気付くような形で質問を投げかけるようにする。
・メンティーの成長スピードには個人さがあるということを理解する。
・メンティーとの対話内容は他言しない。

「メンタリング」と「コーチング」の違い

「コーチング」とは、実際の業務をどのように進めていけばいいかなどを具体的に指導していくことをいいます。「メンタリング」とは違い、実務のみで、メンタル面のサポートはありません

メンターシップ

「メンターシップ」とは、次の2つの要素を併せ持つことをいいます。

・メンティーが話しやすい雰囲気をつくる態度を示す。
・メンティーのことを親身になって考える態度を示す。

簡単にいうと、メンティーがどんなことでも相談しにいきやすい雰囲気づくりをすることが「メンターシップ」になるわけです。

メンターになるには資格が必要?

メンターには、有しておかなければならない資格はなく、特別な知識もいらないので、基本的には誰でもなることが可能です。しかし、人のメンタル面も含めたサポートは難しいでしょう。そういった人にむけ、日本メンター協会では、研修やメンターの養成講座も開催されているので、ぜひ活用してみてください。
(参照元:日本メンター協会

メンターに選ばれたらよき指導者になれるようポイントを再確認しよう

「メンター」は、新人を仕事の面でも人としても成長できるようにするという責任をもって取り組まなければなりません。もし、あなたがメンターに選ばれたときは、担当する新人の良き指導者であり相談者になれるよう、注意点などのポイントをきちんと確認するようにしてください。