コンテンポラリーとはどんな言葉?
コンテンポラリーの意味は、「現代的な」「現代の」「今風」「同時代的であるさま」です。
類語は「モダン」。
英語で表すときは、「contemporary」を使います。
コンテンポラリーとはどんな意味?
コンテンポラリーは、次の意味をもつカタカナ語です。
・同時代的であるさま
現代は、「現に今、進行している時代」。同時代的は「同じ時代のものに共通する」や「ある時代がもつ共通の」というようなニュアンスです。
コンテンポラリーは、もともとは芸術分野で使用されていた言葉。現代的な感覚や、社会のトレンドを取り入れた感覚を意味します。
コンテンポラリーは英語だと?
コンテンポラリーは、英語だと「contemporary」という単語で表します。
・今まさに起こっている、現代の、当代の、当今の
・(人がほとんど)同じ年齢の
・同時期の人、同年齢の人、同年輩
・(入社が)同期の社員
カタカナ語のコンテンポラリーは、「contemporary」にある「同じ年齢の」や「同期の社員」などの意味で使うことはありません。
インテリアや建築のコンテンポラリー
インテリアや建築分野でのコンテンポラリーの意味は、「今風のテイスト」です。
現代の生活習慣に合っていて、今この時代を生きている人々に好まれる雰囲気を表現したデザインが、コンテンポラリーと呼ばれます。
コンテンポラリーなスタイルでインテリアや建築をデザインするときは、自由にいろいろな要素を取り入れて、それぞれのデザイナーが考える「今の時代の今風さ」を表現します。
コンテンポラリーは、今この時代を生きる人々に合わせたスタイルなので、時代に合わせて変化していきます。次々と新しいテイストが生まれ、変化していくデザインのため、「この様式がコンテンポラリースタイルである」とデザインの定義を定めることができません。
ファッションのコンテンポラリー
ファッション分野のコンテンポラリーの意味は、新しい価値観を持つ現代人のための今風なファッションです。
しかし、今流行っている旬なアイテムを身につけるトレンドファッションという意味ではありません。トラディショナル・ファッション(英国紳士・淑女のように上品できちんとした印象に見えるファッション)に、現代の感性や流行をうまくプラスして、今風にアレンジしたファッションのことを意味します。
コンテンポラリーモデルとは?
コンテンポラリーモデルは、1960年代後半に発表されたメンズスーツのモデルです。先ほど紹介した「ファッションのコンテンポラリー」とは別のものなので、区別して考えてください。
コンテンポラリーモデルは、当時のハリウッドスターやミュージシャンなど芸能人に好まれ、一般男性にも人気が広がった流行のモデル。シングル1ボタンや変わり衿、短めの着丈などの特徴があります。コンテンポラリースーツとも呼ばれます。
音楽のコンテンポラリー
音楽の話でコンテンポラリーといった場合、一般的には「コンテンポラリーミュージック」を意味します。日本語では「現代音楽」とも呼ばれます。
「コンテンポラリーミュージック」は、西洋クラシック音楽の系統を受け継いでいながら、西洋クラシック音楽がもつ調性などの様式を否定した前衛的な音楽です。従来の音楽様式や常識にとらわれず、先端的な感性で作曲されています。
音楽には、ほかにも次のようなコンテンポラリーがあります。
「伝統的なフォークミュージック」とは、代々口伝えで歌い継がれてきた作曲家が不明の音楽を意味する。
フュージョンはジャズにロック、ラテン音楽、電子音楽、クラシック音楽など異なるジャンルの音楽を融合(フューズ)させたもの。スムーズジャズはラジオで流すことを想定して作られた曲で、短めの尺とマイルドなサウンドが特徴。
ダンスのコンテンポラリー
ダンス分野でのコンテンポラリーは、型にとらわれず、身体を使ったありとあらゆる表現方法を用いて現代的なさまを表したダンスのことです。
1980年代前後、アメリカのモダンダンスやポスト・モダンダンスがフランスに紹介され、フランスのバレエ界では衣装や音楽、踊り方などにきまりごとが多いクラシックバレエから抜け出し、前衛的な舞踊を生み出そうとする動きが活発になっていました。
この動きのなかで、コンテンポラリーバレエまたはコンテンポラリーダンスと呼ばれる新しいバレエが生まれます。
その後、コンテンポラリーダンスはバレエの枠を飛び出し、世界各国のさまざまなダンスや武術、映像、コンピュータなどと結びつき、自由に多彩な表現ができるダンスとして発展しています。
アートのコンテンポラリー
アートの分野では、コンテンポラリーは「コンテンポラリーアート」という言葉で使われるケースが多いです。
「コンテンポラリーアート」は、第2次世界大戦後に生み出されたアートのうち、そのアートが作られた時代、その時々の現代と結びついた同時代性を追求したもの。それまでの美術的な固定概念にとらわれず、前衛的な感性で作られているという特徴があります。
「コンテンポラリーアート」は、日本では「現代美術」や「現代アート」と呼ばれることもあります。
コンテンポラリーの使い方を例文で学ぼう
コンテンポラリーの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・コンテンポラリーダンスのワークショップを開催する。
・ダンサーのオーディションでコンテンポラリーダンスを踊った。
・ヴィンテージとコンテンポラリーを組み合わせることで、インテリアに奥深さを出せる。
ヴィンテージは、年月を経て古くなったことに価値があるという意味合いで使われる言葉です。「完成度が高い」「古くて価値が高い」「年代物のアイテム」などの意味をもっています。
コンテンポラリーとモダン
コンテンポラリーに意味が似ているカタカナ語にモダンがあり、モダンはコンテンポラリーの類語として扱われることがあります。しかし、コンテンポラリーとモダンは、別の言葉として明確に区別して使われる場合もあります。
コンテンポラリーの類語はモダン
モダンは、英語の「modern」からカタカナ語になった言葉です。
「modern」の意味は「現代の、近世の、近代の」。カタカナ語のモダンの意味は「現代的であること。今風でしゃれていること」です。
コンテンポラリーの意味は、「現代的な」「現代の」「今風」「同時代的であるさま」でしたよね。
コンテンポラリーとモダンの意味は、ニュアンスが重なる部分があるため、言い換え語として使われることがあります。
コンテンポラリーとモダンは使い分けが必要な場合も
モダンを「近代」、コンテンポラリーを「現代」を意味する別の言葉として考え、使い分けするケースもたくさんあります。インテリアや建築、アート、ダンスの分野でのモダンとコンテンポラリーは、この区分で使い分けされます。
「近代」や「現代」は歴史上の区分で、「原始」→「古代」→「中世」→「近世」→「近代」→「現代」の順に時代が進んでいきます。「近代」は第二次世界大戦以前の時代で今の時代に近い時代、「現代」は第二次世界大戦後の時代のこと。作品の作られた年代によって「近代」のものはモダン、「現代」のものはコンテンポラリーと呼ばれます。
コンテンポラリーとモダンは特徴で分けられることも
時代によって、建築家や芸術家、ダンサーが追い求めるその時代ならではのスタイルは異なります。そのため、モダン(近代)に属するものとコンテンポラリー(現代)に属するものは、年代が違うだけでなく作品のもつ特徴も違っています。
また、現代に作られた作品も、モダン(近代)の作品のスタイルにならって作られたものはモダンに分類されます。
インテリアや建築のコンテンポラリーとモダンの特徴
インテリアや建築分野では、モダンに属するものは「既定の価値観から脱却した、これまでにないまったく新しいデザイン」のコンセプトで作られています。この「まったく新しいデザイン」とは、今この時代での新しさではなく産業革命以後の世界での新しさのこと。
トラディショナル(伝統的)な様式からの脱却を目指して発展したスタイルで、「近代的な様式」としてデザインが確立されています。
一方、コンテンポラリーに属するものは、時代とともに変化していく「今の時代の今風さ」が表現されるため、デザインは固定化されていません。建築家やデザイナーの個性や遊び心が強く出た作品が多く、昔のものを今風に取り込むこともできます。
ダンスのコンテンポラリーとモダンの特徴
ダンス分野では、モダンに属するダンスは、クラシックバレエの要素を残しつつ自由度を高めた振り付けがされます。
コンテンポラリーに属するダンスは、何の縛りもなく完全に自由な表現の振り付けに仕上げられます。
【おまけ】コンテンポラリーがつくもの
コンテンポラリーは、名前に使われることもあります。どのようなコンテンポラリーがあるのかみてみましょう。
日常のなかの、若者ならではのモヤモヤした心持ちを歌詞にしたためたポップな音楽が特徴。
コンテンポラリーの意味を読み取れるようになろう
コンテンポラリーは、デザインや芸術の分野で使われることが多い言葉で、もとの意味は「現代的な」や「今風」です。ここからニュアンスが広がって、それぞれの分野でニュアンスが異なる専門用語としても使われています。
分野ごとの意味合いも理解しておき、話の内容に合わせてコンテンポラリーの意味を読みとれるようになりましょう。