「シグニチャー」とは「署名」のこと
「シグニチャー」は、もともと電子メールの最後につける、送信者の会社名・所属・氏名・連絡先などを記載した「署名」を指す言葉でした。しかし現在において、広い意味では「署名」であるものの、分野ごとで意味合いや使い方は異なっています。
本記事では、「シグニチャー」の正しい意味や使い方のほか、類語、言い換え、関連語、英語表現についてもわかりやすく紹介します。
「シグニチャー」の英語は「signature」
「シグニチャー」は英語で「signature」と表記し、次のようにいろいろな意味をもった単語として使われています。
・(文書・小切手などに自分で行う)署名
・(文書・小切手などに)署名すること
・(ほかと区別される)特徴
・特徴的な
・(印刷の)折り記号
「signature」を使った、わかりやすい熟語もいくつか紹介しておきます。
・signature agriculfural product(特産品)
・signature and seal(署名捺印)
・signature block(署名欄)
・signature by procuration(代理署名)
・signature by proxy(代理署名)
・signature campaign(署名運動)
単語そのものには多くの意味がありますが、「署名・サイン」を指して使われることが多いことから、「signature=署名」を語源としたカタカナ用語の「シグニチャー」が生まれたとされています。
日本語においての「シグニチャー」とは
日本でカタカナ用語として使われている「シグニチャー」は、多くの場合「署名」の意味合いで使われていますが、分野によってはニュアンスが異なります。そこで、分野ごとの意味と使い方をわかりやすく紹介します。
なお、「シグニチャー」は、「シグネチャー」「シグネチャ」と表現されることがありますが、意味に違いはないので、豆知識として覚えておいてください。
IT分野でのシグニチャーとは
ひとくくりにIT分野といっても、「電子メール」「セキュリティ」「システム」などいろいろなものがあります。そして「シグニチャー」も、それぞれで異なる意味をもって使われているんです。
電子メールでのシグニチャーとは
会社でメールのやり取りをする際、このような署名をメールの最後につけていますよね?これを「シグネチャー」といいます。
〇〇株式会社〇〇部
山本一郎
携帯電話:090-123-4567
日本語で「署名」と呼んだり「シグネチャー」と呼んだりとさまざまですが、「フッター」という呼び名もあるので併せて覚えておくと便利です。この「シグネチャー」は、パソコンのメールだけではなく、スマホのメールにもつけられるようになっています。
・年末まで、全員キャンペーンサイトのURLをシグネチャーに入れておくように。
セキュリティでのシグニチャーとは
インターネット社会になってから、コンピュータウイルスもさらに進化し、種類もかなり増えています。しかし、数あるウイルスでも特徴的なデータや受信データのパターンがあり、これらを「シグネチャー」といいます。
プログラミングでのシグニチャーとは
プログラミングはさまざまな言語が用いられますが、関数や方式・方法の名称、引数(ひきすう)の数、データの形式などの組み合わせのことを「シグネチャー」といいます。
多くのプログラミング言語では、戻り値の型をシグネチャーに含んでいないらしい。
ビジネスシーンでのシグニチャーとは
ビジネスシーンにおいての「シグネチャー」は、メールの署名のほかに、その会社が自信をもっている技術や売りにしている商品などを指すことがあります。
「シグニチャーブランド」とは、創業者や、デザイナーの名前がついたブランドのことをいいます。
【例文】
このシグニチャーブランドは、昔も今も幅広い年齢層の人に好まれている。
一つのブランドの中でいくつものアイテムが存在しますが、その中でもブランドを象徴するようなデザインのアイテムを指し「シグニチャーアイテム」と呼んでいます。
【例文】
シグニチャーアイテム以外のものもたくさん持っている友人は、本当にそのブランドを愛していると思う。
【例文】
シグニチャーシューズを履いてもしっかり練習をしなければライバルには勝てないよ。
「シグニチャー」の類語・言い換え
「シグニチャー」を日本語で表現したい場合は次のような言葉が使えます。
・署名
・自署
・名書き
・記名押印
・記名捺印
・名入れ
また、特定の映画やドラマのために作られた主題歌、テーマソングも「シグネチャー」と呼ばれています。
そのほか、カタカナ用語の類語には「サイン」や「オートグラフ」がありますが、厳密には違いがあるので、これを機に関連付けて覚えておくと便利です。
「シグニチャー」と「サイン」の違い
「サイン=sign」は、名詞と他動詞で、多くの意味をもつ言葉です。
【名詞】
・象徴
・合図
・標識
・兆し
・記号
・足跡 など
【他動詞】
・署名する
・自署する
・(契約して人を)雇用する
・合図する など
「シグニチャー」の類語となるのは、他動詞の「署名する」「自署する」になりますが、日本語の中では「サインする」といったように動作を表す「~する」をつけて使うのが一般的です。
簡単にいえば、「シグニチャー=署名」「サイン=署名する」と、名詞、動詞の違いがあるわけです。
「シグニチャー」と「オートグラフ」の違い
「オートグラフ=aoutograph」には、「自署」「自筆」「サイン」の意味をもつ言葉ですが、特に、スポーツ選手や芸能人など、有名な人の直筆のサインを指します。英語でも日本語でも意味はほとんど同じです。
「シグニチャー」の関連語
シグニチャーには、「シグニチャー〇〇」というような関連語がいくつか存在します。シグニチャーの意味を深く理解するためにも併せて覚えておきましょう。
シグニチャーシステム
「シグニチャーシステム」とは、「電子署名システム」のことをいいます。紙での文書で印章や自署にあたるもので、電子文書に対して、本人確認や改ざん防止のために用いられます。
シグニチャーモデル
ギター、ベース、ドラムなどの楽器、グローブ、バットなどのスポーツ用品の中で、有名人の名前を付けたり、特定の有名人が使っているものと同じ仕様で作られたりしたものを指して「シグニチャーモデル」と呼んでいます。
シグニチャーメニュー
「シグニチャーメニュー」は「シグニチャーディッシュ」とも呼ばれており、その飲食店の看板メニューや特製品を指して使われます。
「シグニチャー」の意味を理解し、正しく使おう
「シグニチャー」は、ビジネスシーンだけでなく、日常のあらゆる場面でも使われる言葉です。しかし、広い意味では「署名」や「特徴的なもの」を指しますが、分野によって詳しい意味は異なるので、柔軟な解釈ができるようにしておきましょう。