ヒューマンスキルの意味とは?必要な力やスキルを上げる方法についても解説

ヒューマンスキルとはどんな言葉?

ヒューマンスキルの意味は、「ほかの人と良好なコミュニケーションを取り、信頼しあえるいい人間関係を築いていく力」です。

類語は、「対人関係能力」「人間力」。

英語で表すときは、「people skills」「human skills」を使います。

ヒューマンスキルとはどんな意味?

ヒューマンスキルは、次の意味をもつカタカナ語です。

ヒューマンスキル
ほかの人と良好なコミュニケーションを取り、信頼しあえるいい人間関係を築いていく力

ヒューマンスキルは、「他者の考えや言いたいことを正確に聞き出し理解する力」と、「自分の考えや言いたいことを他者に正確にわかりやすく伝える力」が柱になっているスキルです。

ヒューマンスキルに必要な力一覧

ヒューマンスキルは、次の8つの力から成り立っています。

・ネゴシエーション能力
・ヒアリング能力
・リーダーシップ
・プレゼンテーション能力
・コーチング能力
・向上心
・コミュニケーション能力
・ファシリテーション能力

それぞれどのような力なのか見ていきましょう。

ネゴシエーション能力

ネゴシエーション能力とは、交渉力のこと。

お互いに意見を出し合い、相手の立場や置かれている状況も考えながら、双方が納得、合意できるよう妥協点をみつけ、そこに向かい話し合いをまとめていく力です。

ネゴシエーション能力があると、意見が対立しているときにも自分の立場ばかり主張するのではなく、双方が許容できる「両者にとっていい方法」をみつけ、互いの意見を調整できるようになります。

ヒアリング能力

ヒアリング能力は、相手の話を相手の立場になって相手の気持ちに共感しながら、肯定的な気持ちでしっかりと聞き、話の主旨や相手の伝えたいことを理解する力。話の内容に善悪や好き嫌いの価値観を絡めず、なぜそのような話になっているのか、話の背景や全体像に関心をよせながら聞いていく能力です。

相手が安心して話ができるように、自分の表情や態度をコントロールする力や、話の内容だけでなく、相手の表情やしぐさからも相手の真意や意図を読み取っていく観察力も含まれます。

ヒアリング能力があると、相手との信頼関係を築きやすくなります。

リーダーシップ

リーダーシップは、仕事仲間のやる気を高め、チームとして定めた目標を達成するためメンバーに方向性を示し、チームを率いていく力です。

メンバーの先頭に立って皆を引っ張る力のほかに、縁の下の力持ちとして下からメンバーを支える力も含まれます。

プレゼンテーション能力

プレゼンテーション能力は、自分の意見や考えを過不足なく相手に伝え、理解、納得してもらう力です。

論理的な思考力、言葉を使いこなす力、文章を組み立てる力、図表やグラフ、スケッチなどを状況に応じて選択しわかりやすく表現する力などが含まれます。

コーチング能力

コーチング能力は、対等な立場で相手に気づきを与え、目標を達成できるように導く力。手取り足取り教えるのではなく、新しい視点で考えられるように対話のなかで促し、本人が自分で発見し、自主的に考えて行動できるように導いていくのが特徴です。

人材育成のほか、仕事のなかで新しい視点や気づきを得るためにも役立ちます。

向上心

向上心は自主的に高い目標を決め、その目標に向かって前向きに努力し続けられる力

ヒューマンスキルにはたくさんの力が必要なため、向上心がないとヒューマンスキルを高めることは難しいです。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力は、相手の性格や立場を把握したうえでスムーズな意思疎通を行う力

コミュニケーション能力のある人は、自分の意思や感情を相手に伝わっているか確認しながら伝えることが得意です。しかし、相手に自分の意見や価値観を押しつけることはせず、相手の考えや価値観を尊重し理解していく姿勢も忘れません。

ファシリテーション能力

ファシリテーション能力は、会議などの話し合いがスムーズに進むように手助けする力。ネゴシエーション能力、ヒアリング能力、リーダーシップ、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力を組み合わせ、その時々でうまく使いこなす総合的な力です。

会議以外にも、意見対立の調整をしなければならないときなどにも役立ちます。

ヒューマンスキルの高い人とは

ヒューマンスキルの高い人は、人間関係を大事にしている人が多いです。仕事関係者ともいい関係性を保ちながら、仕事上のやり取りや指示だしをうまくこなせます。そのため、仕事をトラブルを起こさずに、スムーズに進められるといわれています。

ヒューマンスキルを上げるには

ヒューマンスキルの土台となるものは、自分の人間性や人格です。ここがしっかり作られていないと、見出し「ヒューマンスキルに必要な力一覧」で紹介したスキルだけトレーニングしても効果が半減してしまいます。

人間性や人格を磨くため、次のことを心がけてみましょう。

相手の立場に立ってみる

自分の価値観や相手との相性もありますが、好き嫌いにとらわれず、相手の立場になって考えられるようになりましょう。

相手のことを考えるトレーニングとして、次の項目を意識してみてください。続けることで、自然と相手の立場に立ったものの考え方ができるようになります。

・相手の話を最後まで聞く
・相手に対して誠実な関心を持ち相手のことを知ろうとする
・相手が嫌なことはしない
・相手の仕事のやり方に合わせてみる
・相手が好むことを体験してみる
・相手の役に立つにはどうしたらいいかを考える

価値観や好き嫌いにとらわれてしまう場合は、自分とは価値観の違う人と意識的に交流してみましょう。様々な価値観を知ると、自分の考えに固執せず相手の人間性を尊重しながら向き合えるようになります。

器を大きくする

自分と違う人間を受け入れる広い心を養うことも大切です。相手を認めることを常に意識し、相手を尊重したコミュニケーションを取ることを心がけましょう。

否定はいったんこらえる

相手の考え方が自分と違っていたとしても、すぐに否定するのはやめましょう。相手の意見をいったんは受け入れ「そういう考え方もありますね」や「お気持ちはよくわかります」など、自分が相手に共感していることを伝えます。

そのうえで、自分の意見を「しかし、私はこう思います」のように「私」を主語にして、相手が傷つかない言い回しを考えながら述べるようにしてください。

「あなた」を主語にした「あなたはこうするべきです」「あなたはなぜ~しないのですか?」のような言い方は、強い否定や押しつけ、決めつけの言い方に聞こえてしまうためやめてください。

相手を褒める

相手のいい部分をみつけたら、積極的に相手を褒めるようにしましょう。

お世辞をいったり大げさに褒める必要はなく、「それいいですね」「目のつけどころが違いますね」のようにいいと思ったことを素直に伝えるようにします。

「決断が遅い→仕事を慎重に進められる」など、短所も見方を変えると長所になる場合は多いです。短所としてみるのではなく、長所としてみて褒めるようにしてください。

ヒューマンスキルを高める目標設定

仕事では、多くの人と接して日々いろいろなやり取りをしなければなりません。そのため、ヒューマンスキルは新入社員から管理職まで、すべての社会人に役立つ能力といえます。

ヒューマンスキルに関係する能力はたくさんあるので、ヒューマンスキルを身に着けるには長い時間がかかります。キャリアのどの段階にいるのかによって、必要な力が変わってくるため、段階的に優先度の高いスキルから身に着けていくのがおすすめです。

ビジネスマンとしてどの段階で、どの能力の習得に取り組んだらいいか、ヒューマンスキル習得の目標をおさえておきましょう。

就職活動中の学生や新入社員の目標

就職活動中の学生や新入社員は、ビジネスマンとして基本中の基本になる次のスキルを身に着けることを目標にしよう。

・コミュニケーション能力
・ヒアリング能力
・プレゼンテーション能力
・向上心

若手社員の目標

新人時代を卒業し、若手社員としてひとりで仕事ができるようになったら、「就職活動中の学生や新入社員の目標」の能力をさらに高めていくのとあわせて、次の能力の取得に取り組んでみましょう。

・ネゴシエーション能力
・ファシリテーション能力

中堅社員、管理職の目標

新入社員や若手社員のサポート役を務める中堅社員や管理職は、次の能力の取得を目標にしましょう。

・リーダーシップ
・コーチング能力

ヒューマンスキルとテクニカルスキルとコンセプチュアルスキル

ヒューマンスキルとテクニカルスキルとコンセプチュアルスキルは、アメリカの経済学者 ロバート・カッツ氏が提唱した「カッツ理論」のなかで定義されたスキルです。

カッツ理論とは

「カッツ理論」は、会社に属する人材を経営者層、管理者層、一般社員層に分け、それぞれの層でヒューマンスキル、テクニカルスキル、コンセプチュアルスキルがどの割合で必要とされるかを示しています。

テクニカルスキル
業務遂行のために必要な知識や技術。
ビジネスマナーや基本的なPCスキルなど、社会人として一般的に必要とされるスキルと、特定の業種で必要とさせる専門的なスキルの2つに分けられる。
コンセプチュアルスキル
複雑な物事の本質を見極め、それに対応する能力

コンセプチュアルスキルについては、下記の記事でくわしく解説しています。こちらもぜひ読んでみてください。
コンセプチュアルスキルとは?ヒューマンスキルとの違いは?意味、高め方なども紹介

「カッツ理論」での3つのスキルの捉え方

「カッツ理論」でのヒューマンスキルは、経営者層、管理者層、一般社員層のどの階層でも必要度の大きいスキルです。

テクニカルスキルは、一般社員層の必要度が一番大きく、管理者層は中程度、経営者層は必要度が低いスキルとされています。

コンセプチュアルスキルは、テクニカルスキルとは逆に経営者層の必要度が一番大きく、管理者層は中程度、一般社員層は必要度が低いスキルといわれています。

ヒューマンスキルの使い方を例文で学ぼう

ヒューマンスキルの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
ヒューマンスキルを測定し、能力を可視化する診断テストを実施する。
ヒューマンスキルを高めることを目的とした研修を定期的に行う。
ヒューマンスキルが低い社員が多い。
ヒューマンスキルを重要視して人材を採用する。

ヒューマンスキルの類語・言い換え表現

ヒューマンスキルを言い換えできるカタカナ語の類語はありません。日本語では、「対人関係能力」や「人間力」と訳されます。

例文
・少子化や地域のつながりの希薄化などにより、対人関係能力を身に着けにくくなっている。
・人間力を磨くための研修を行う。

ヒューマンスキルは英語だと?

ヒューマンスキルは英語だと、「people skills」「human skills」と訳されます。

ヒューマンスキルの英語
people skills:人を扱う能力、人との接し方、社交術
human skills:ヒューマンスキル

ヒューマンスキルをそのまま英語に直すと「human skills」ですが、英語圏では「people skills」が使われることが多いです。

ヒューマンスキルを意識して日々を過ごそう

ヒューマンスキルの意味は、「ほかの人と良好なコミュニケーションを取り、信頼しあえるいい人間関係を築いていく力」です。

すべてのビジネスマンにとって必要なスキルですが、習得するには長い時間がかかります。毎日の生活や仕事のなかで自分の人間性や人格、ヒューマンスキルを構成する能力を高めていけるように意識して過ごしてみましょう。