サスティナビリティとは?企業での取り組み、SDGsとの違い、類語、関連語も紹介

「サステナビリティ」とは「持続可能性」こと

「サステナビリティ」は、もともと地球環境分野で「良い地球環境を持続させていくための事業を行うこと」を差す言葉でしたが、現代では企業としての「持続可能性」の意味でも使われています。

「サスティナビリティ」に似た言葉に「サステナブル」がありますが、これは「持続可能な」という意味で、これの対義語として「持続不可能」を指す「アンサステナブル」があるので、併せて覚えておきましょう。

「サステナビリティ」の英語は「sustainability」

「サステナビリティ」を英語表記する場合は「sustainability」となり、日本語も英語も同じ「持続可能性」の意味で使われています。ちなみに、冒頭で紹介した「サスティナブル」は「sustainable」で、日本語と同じく「持続可能な」の意味で用いられている単語です。

・Activities to pursue sustainability of fisheries resources.
(水産資源の持続可能性を追求するための活動。)
sustainability of forest resources
(森林資源の持続可能性
sustainability of geothermal resources
(地熱資源の持続可能性
sustainability of mineral resources
(鉱物資源の持続可能性
sustainability of natural gas resources
(天然ガス資源の持続可能性

日本語においての「サステナビリティ」とは

日本でカタカナ用語として使われている「サステナビリティ」は、広い意味では「持続可能性」ですが、「経済」「社会」「環境」という3つの軸があるとされています。

経済

労働環境の整備、貧富の格差問題の解決を目指すとともに、社会保障の拡充をし、企業としては環境保全や社会貢献への行動を推進することを論点とする。

社会

グローバルにおいての社会的安定に向け、男女や教育の格差、難民問題などの解決など、人間社会においての課題を論点とする。

環境

鉱物資源・海洋環境の保全、温室効果ガス排出の問題解決、自然環境に変化を起こさず森林伐採を行うなど、人類が生存する上で重要な環境についてを論点とする。

企業経営における「サステナビリティ」

「サスティナビリティ経営」とも呼ばれており、サスティナビリティの3つの軸である「経済」「社会」「環境」すべての取り組みを持続可能な状態で行う企業経営のことをいいます。企業は単体では事業を行うことも成長することもできず、ステークホルダー(利害関係者)から信頼されたり、共感されたりするといった良質な関係性を保つことが重要です。

たとえば、工場を運営していく中、大気汚染問題や汚水問題を抱えていると、地域住民から悪評があがり、企業としての評判も下げることになります。一見企業運営に関係ないようなことでも、サスティナビリティの3つの軸に真摯に向き合うことは、企業を成長させていくうえでもとても大切な要素なのです。

「サステナビリティ」のメリット

本来の事業だけにとどまらず、サスティナビリティにも取り組むのは、労力も経費も必要です。しかし、企業が成長しながら存続していくためのメリットがあります

メリット①企業のイメージアップにつながる

環境や社会の問題に積極的に取り組んでいると、世間からの企業に対するブランド価値は向上します。たとえば、「〇〇会社はイメージが悪いから商品も買わない」と思った経験はありませんか?企業イメージは、商品やサービスの価値にもつながっているので、イメージアップが図れると、業績の向上も期待できます。

メリット②優秀な人材の流出を防げる

社会的イメージの高い企業に務めていると、従業員自身も「素晴らしい企業で働いている」という評価を得ることができます。また、サスティナビリティに取り組みにあたり、労働環境の整備を行う場合が多いです。それにより、従業員の満足度があがるため、結果離職率を下げることに繋がります

メリット③事業を拡大していける

企業イメージや業績がアップし、さらに優秀な人材が留まってくれると、企業としての知識力や技術力の維持が可能です。それに加え、新卒者や転職者からの人気が高くなるため、良い人材もどんどん集まってきます。金融機関や投資家は、企業評価につながる情報収集をしっかり行っているため、評価が上がれば資金調達がしやすく、さらなる事業拡大が可能となるわけです。

サステナビリティへの企業の取り組み事例

世間で広く知られている企業の多くでサスティナビリティへの取り組みが行われていますが、実際にはどのようなことをしているのでしょうか。

トヨタ

世界的に有名な自動車メーカーのトヨタでは、創業当時から、「事業活動を通じた豊かな社会づくり」を目指し、事業活動に取り組んでいます。お客様第一主義の考えでものものづくりなどの活動をしていくだけでなく、職場環境の整備にも力を注いでいることから、「健康経営優良法人ホワイト500*」にも6年連続で選出される企業となりました。(健康経営優良法人ホワイト500*:従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人のこと。)
(データ参照元:TOYOTA サステナビリティ

そのほか、街の景観や用途に合わせて「変身できる太陽電池」とし、自動車塗装をインク技術を利用した「発電+広告」という画期的な開発なども行っています。
(データ参照元:トヨタのサステナビリティ実験

ユニクロ

ユニクロでは「THE POWER OF CLOTHING/服のチカラを、社会のチカラに」というコンセプトのもと、次の3つを柱をしてサスティナビリティの取り組みを行っています。

・PLANET(プラネット/地球環境)
・SOCIETY(ソサエティ/地域社会)
・PEOPLE(個性)

たとえば、プラスチックゴミを削減する運動としては、購入した商品を入れるショッピングバッグを、森林認証を受けた再生紙を使用した紙袋に利用するといった取り組みを行いました。
(データ参照元:UNIQLO Sustainability

「サステナビリティ」の使い方・例文

「サスティナビリティ」は、どのような意味かがわかれば使い方はそれほど難しくはありませんが、参考までに例文をいくつか紹介しておきます。

例文

サスティナビリティ活動の一環として、事務所内にウォーターサーバーを設置したところ、ペットボトルのゴミが激減した。
・企業としてサスティナビリティに取り組むようになってから、業績が少しずつアップしてきた。
・大手企業の成功事例を参考に、当社でもサスティナビリティを意識した取り組みを考えていくつもりだ。

「サステナビリティ」の類語・言い換え

「サステナビリティ」を日本語で言い換える場合は「持続可能性」ですが、そのほかの似た意味をもつ言葉に「CSR」「SDGs」があります

CSRとは?

CSRとは「Corporate Social Responsibility」の略で、「企業の社会的責任」という意味があり、企業活動で得た利益を社会に還元する取り組みを指す言葉です。社会のために行動を起こすことについてはサスティナビリティと似ているように感じますが、CSRは、「経済」「社会」「環境」すべての取り組みを持続可能な状態で行うことについては問われません

SDGsとは?

「SDGs(エスディージーズ)」は、国の定める「自足可能な開発目標」を指す言葉で、サスティナビリティを実現するために17の具体的な目標が設定されています。ただし、SDGsは、2030年をまでの実現と、期間が定められているので、国としてのサスティナビリティ活動と一貫と考えるとわかりやすです。

「サステナビリティ」の関連語

「サステナビリティ」に言葉を付け加えた、「サステナビリティ〇〇」といった言葉がいくつかあります。関連付けていると覚えやすいので、これを機にチェックしておきましょう。

サステナビリティボンド

サスティナビリティボンドとは、地球温暖化など、環境に関する課題や貧困といった社会的な課題の両方に取り組むためのプロジェクトに必要な資金調達を目的に発行される債権のことをいいます。

サスティナビリティレポート

サスティナビリティへの取り組みは、企業ごとに異なります。そのため、実際にどのような活動をしているかは企業に開示してもらわなければなりません。この取り組みに関する報告書を「サスティナビリティレポート」といいます。

「サステナビリティ」を意識して事業に取り組もう

サスティナビリティへの配慮は、今や、企業を運営していくうえで必須の項目となっています。企業イメージを高評価のまま維持し続けるためにも、ぜひ意識して各事業に取り組んでいってください。