ベースラインとは?ビジネスでの意味や作り方、活用方法なども解説

ベースラインとは?

ベースラインの基本的な意味は、「基準となる線」です。

一般的には次の意味で使われます。

ベースライン
①基線。基準線
②野球で、塁と塁とを結んだ線
③テニスで、コートの両端に引かれたネットと平行な線
④音楽で、最も低い声部の旋律。曲全体の旋律や和声の基準となるため、重要な声部とされる
⑤フォントのデザインにおいて基準となる線。文字の下部を通過する仮想的な線で、ふつうは同一フォントの文字はベースラインが揃うようにデザインされている

ベースラインの意味をもっとくわしく

何かの基準としての役割を果たす線をベースラインと呼びます。

文字通りの意味で物理的に引かれた線を表している場合と、何かの標準値、最低限度など、状態を表す数値やデータを比喩として線という場合があります。

例えば、バスケのベースラインは、センターラインと平行に両ゴールの後ろに、コートのinとoutの境目として物理的に引かれている線のことです。

医療でのベースラインは臨床試験で使われる用語で、こちらは比喩としての線を意味する言葉として使われています。治療を開始する前や治験薬を投与する前の病巣の状態や、その時点での患者の年齢、性別、検査結果など各種データを意味します。

ビジネスでのベースラインの意味

ビジネスでは、プロジェクトの実施前に設定される、成果物が満たさなければならない要件一式のことをベースラインと呼びます。

ベースラインは、プロジェクト決裁者とクライアントから承認されたもので、簡単には変更はできません。成果物として作るものが変更になった、予算や納期が変わったなど、プロジェクトの根底が大きく変わってしまった場合にのみ、ベースラインは変更されます。

また、この成果物の要件一式を実現させるために立てられる計画も、ベースラインといいます。その計画での基準値・予定値、計画の推移を図表で見える化したものをベースラインという場合もあります。

ベースラインの種類と作り方

プロジェクト管理でのベースラインは、次の4種類のベースラインから成り立ちます。

①スコープ・ベースライン
どこまでがプロジェクトの作業範囲なのかを決めるもの。プロジェクトの目的である成果物を分割し、作成しなければならない副成果物や、必要な作業内容などをリストにまとめて作る
②スケジュール・ベースライン
プロジェクトのスケジュールの基準値。各副成果物についての締め切りと最終成果物の締め切りを、現実的に達成可能な時間配分で決める
③コスト・ベースライン
プロジェクトにかける予算の基準値。副成果物、最終成果物それぞれについて必要なコストを割り出し、最終的に必要になる推定コストを求める
④パフォーマンス測定ベースライン
スコープ・ベースライン、スケジュール・ベースライン、コスト・ベースラインをすべて統合した完全版のベースライン。作業範囲、スケジュール、予算のどれかに変更が生じたとき、ほかの要素にどのような影響が出るか、影響の連鎖を監視・管理するためのもの

ベースラインを作るときは、①→②→③→④の順に作ります。

ベースラインの活用方法

プロジェクトでは、計画が動き出した後でも小さな変更が出たり、どこかの作業に遅れが発生することはよくあります。プロジェクト進行上のどこかで多少のくるいが生じたとしても、ほかの部分で巻き返せれば大丈夫です。

ベースラインを作っておくと、プロジェクトの遅れの発生に素早く気づき、問題が大きくならないように対応できるようになります。ベースラインと実際の進捗状況にずれが出た場合は、ずれの実態を調査し、最終的に帳尻が合うように各段階でのスケジュールを調整していきます。

ベースラインの変更

遅れが取り戻せないほどの大きなずれであった場合は、関係者からベースラインの変更の要望が出されます。

しかし、ベースラインの変更は容易に行うべきではなく、事前に企業としてのベースラインを変更するときのルールを決めておく必要があります。ベースラインを頻繁に変更していると、プロジェクトの方針がぶれたり、進捗状況の管理が困難になってしまうためです。

ベースラインの変更を検討する場合は、本当に必要なのか、変更によりどんな影響が出るのか、どれだけの経営資源が必要になるのかなどの検討をしてください。総合的に必要と判断された場合のみ、正式な手順に従って変更を行います。

ベースラインは保存が必要

ベースラインを変更する場合は、新たなベースラインとしてイチから作り直し、古いベースラインは過去の記録としてしっかり保存しておきます。

新旧のベースラインは、すべての関係者が閲覧できるように保存することも重要です。

ベースラインの使い方・例文

ベースラインの意味や活用方法などがわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
・ソフトウェア開発プロジェクトのベースラインを作成する。
・原油生産のベースラインが変更された。
ベースライン付近での素早い切り返しには、鋭くパワフルなフットワークが必要だ。
ベースラインの作り方を作曲初心者にもわかりやすく解説する。
ベースラインがかっこいい曲を紹介する。
・ベース以外の楽器でベースラインを作ると、意外に面白いラインを作れることがある。

覚えておきたいベースラインの関連語

ベースラインにはよく使われる関連語がいくつかあります。どのような言葉があるのかみていきましょう。

ベースラインアプローチ

ベースラインアプローチとは、基準(ベースライン)とするべき望ましい情報セキュリティ対策と、組織内で実際に行っている対策との差を分析することです。

比較対象とする望ましい情報セキュリティ対策には、一般に公開されているPCI DSSやISO 27001など、既存の規格やガイドラインを使用します。

望ましい情報セキュリティ対策のやり方を参考に、チェックリストやアンケートなどを作って、実態調査を行います。

既存の規格やガイドラインと比較するだけなので簡単に実施できますが、厳密なチェックはできません。そのため、高度な情報セキュリティ対策が必要とされる組織や部門には向いていません。

ベースラインシフト

ベースラインシフトは、文字のベースラインの位置を横組みテキストの場合は上下、縦組みの場合は左右に調整する機能です。選択した文字の位置を変更したいときに使います。

レイアウトソフトやドロー系グラフィックソフトで使用できます。

ベースラインの類語・言い換え表現

ベースラインを言い換えできるカタカナ語はありません。言い換えが必要なときは、日本語の「基準線」「基準値」などを使ってください。

基準線
【意味】
建築・工作などの図面を描くとき、寸法・位置などの基準とする線

【例文】
欧文フォントの基準線について解説する。

基準値
【意味】
種々の判定の基準となる値

【例文】
市場の変化に対応するため、定期的に生産の基準値を見直す。

ベースラインは英語だと?

ベースラインは英語だと「baseline」と表記されます。

baseline
・(測量などの)基準線
・(比較などの)基準値
・(テニスなどの)ベースライン。長方形のコートの短いほうの2辺
・(野球の)ベースライン。塁間を結ぶ走路
・(印刷の)ベースライン。アルファベットの基準となる線

カタカナ語のベースラインと同じように使えるので、あわせて覚えておきましょう。

ベースラインの意味を読み取れるようになろう

ベースラインは、「基準となる線」を基本的な意味とし、ビジネスやIT分野、音楽やスポーツなど、さまざまな分野で使われているカタカナ語です。

分野ごとに意味するものが変わるため、それぞれの分野での意味を頭に入れておく必要があります。文脈に合う意味で解釈できるようになりましょう。