インテグレーションとは「統合」のこと
ビジネスや教育などの分野では登場することがある、インテグレーションという言葉。徐々に浸透してきているカタカナ語の一つといえます。簡単にいうと「統合」という意味になりますが、分野によって何の統合を指すのか違いがあります。
今回は、インテグレーションの意味や使い方、英語、類語などを解説します。
インテグレーションの意味
インテグレーションの意味は次の通り。
・統合
・融合
・一体化
・まとめる
異なる複数のものをまとめる、組み合わせる、一体化させる、というニュアンスを持ちます。さまざまな分野で垣根を撤廃し、統合する風潮が高まっているため、インテグレーションという言葉を活用できる場面が増えました。
①:教育・福祉分野では「統合教育」と「教科の統合」
基本の意味としては「統合教育」があります。障害の有無で学級を分けるのではなく、通常学級で一緒に教育することを指します。近年はこのようなインテグレーションの考え方が広まってきています。
また、複数の教科や教材を統合するという意味も持ちます。1992年にできた「生活科」という科目がその例で、理科や社会の要素が統合されています。
②:ビジネスでは「合併」や「提携」
ビジネスの世界でインテグレーションといえばこの意味になります。複数の異なる会社をまとめる、統合する、提携することをインテグレーションといいます。
③:ITでは「コンピュータやネットワークの一体化」
IT業界では、コンピュータやネットワークなどを組み合わせて、一体化させることをインテグレーションと呼びます。特に、情報システムの構築をすることは「システムインテグレーション」といいます。なお、統合する業務は「インテグレーション業務」と言い、それを行う企業や人は「システムインテグレータ」とされます。
さらに、構築したソフトウェアのテストは「インテグレーションテスト」と呼ばれるなど、IT業界では特有の表現が多数あります。
④:人種、宗教では「差別撤廃」
アメリカやカナダなどではさまざまな人種の方が共生しています。差別を撤廃し、統合することをインテグレーションといいます。日本では馴染みが薄いかもしれませんが、海外ではこのような風潮があります。
⑤:数学では「積分法」
日常生活ではあまり扱うことがないですが、数学の世界でインテグレーションといえば「積分法」の意味になります。積分法とは、関数から得るいくつかの面積を足していく手法です。そのため、統合する、まとめるの意味を持つインテグレーションがここでも使われているのです。
インテグレーションの使い方・例文
インテグレーションという言葉は名詞として使います。特殊な使い方はしないため、比較的簡単に用いることができます。
・ライバル関係にあったA社とのインテグレーションによって、相乗効果があり、世界に羽ばたくことができた。
・昨今、さまざまな分野でインテグレーションが求められている。
インテグレーションの英語は「integration」
動詞の「integrate(統合させる)」の名詞形が「integration(統合)」となります。したがって、日本語でインテグレーションという場合も名詞として用いるのです。
例えば、「統合について議論する」は「discuss the integration」といったように、さまざまな動詞と組み合わせて使うことができます。
インテグレーションとインクルージョンの違い
音の響きも意味も似ている言葉に「インクルージョン(inclusion)」があります。特に、教育の世界ではこの2つの言葉が使われてきた経緯があります。類義語ではありますが、同義語ではなく、両者には次のような意味の違いがあります。
インテグレーション:統合
インクルージョン:包括
インテグレーション(統合)では、健常・障害と区分した上で、両者を統合するという考え方をします。
それに対して、インクルージョン(包括)では、最初から障害の有無といった線引きさえもせず、すべての子どもを包括して教育を提供するという考え方となります。
近年はインクルージョンの考え方の方が主流となってきています。「インクルージブ教育」という言葉もあります。
さまざまな分野で求められるインテグレーション
かつては種類や性質によって区分けを行う傾向がありましたが、近年は分類をすることで生じる人権や効率、合理性などの課題を解決する動きがあります。そのための考え方の一つがインテグレーションであり、言葉としても広く浸透してきています。
幅広い分野で、無用な垣根は撤廃し、統合する、まとめるプロセスを経て、よりよいあり方を模索していくことになるでしょう。