スポイルとは「ダメにする」ということ
スポイルは、簡単にいうと物事を「ダメにする」という意味を持ちます。ただ、使用シーンによって意味合いが異なることもあります。
ビジネスでもときどき使われるようになってきているため、使い方についてもマスターしておきたいところです。カタカナ語としては意味をとらえるのがやや難しい部類に入る、スポイルという言葉について解説していきます。
英語の「spoil」の意味は?
スポイルの意味はやや複雑なので、まずは語源となった「spoil」という英単語についてみていきます。
・役に立たなくさせる、台無しにする
・腐らせる
・過度に甘やかす
・大サービスする
・戦利品、略奪品
このように英語にもいろいろな意味があります。もともとは「略奪する」という意味がありますが、誰かが手を加えてダメにする、台無しにする、といったニュアンスが根底にあると思っておきましょう。
【パターン別】スポイルの意味
使用シーンによって、微妙にニュアンスが異なるスポイルという言葉。根幹にある意味は共通していますが、言葉の使用にイメージが持てるよう、パターン別に解説していきます。
スポイルには、特に言い換えられる類語はないため、別の表現にするとしたら次の言葉をチョイスしてください。
①:ダメにする、台無しにする
スポイルの基本の意味がこちら。物事、計画、感情、思考など、何かがきっかけや原因となり、ダメになったもの、台無しになったものに対して使うことができます。
例えば、旅行の計画を立てていて、同行者が寝坊して飛行機に乗りそびれたら、そのプランはスポイルされたといえます。眠りたい気持ちがあったのに雷の音で覚醒してしまったら、睡眠欲がスポイルされたと考えることもできます。
②:食べ物を腐らせる
食べ物をダメにする、台無しにする。つまり、腐らせることもスポイルです。腐ることに限らず、せっかく作った料理をひっくり返してしまった、冷めてしまったなど、何か損なわれることがあればスポイルといえます。
③:人を甘やかす
子供や恋人、友人、後輩などを甘やかすこともスポイルといいます。過度に甘やかすとその人をダメにしてしまうので、スポイルが持つ基本の意味とも共通している部分があります。
④:価値を損なう、チャンスを逃す
こちらも「ダメにする」と通じるものがありますが、何かの価値を損なったり、チャンスを逃したりすることもスポイルです。例えば、二度とないような良いオファーをいただいたのに、決断に時間がかかり、もたもたしている間に別の人に声がかかってしまった。このようにチャンスを逃すことなどが挙げられます。
スポイルの使い方・例文
スポイルという言葉の使い方は2通り。「スポイルされる」と「スポイルする」があります。意味合いは幅が広いですが、これ以外のパターンがないため、日本語の表現としてはそれほど難しくありません。
・外観はかっこいいが、車の燃費が悪くて、魅力がスポイルされてしまう。
・映画のオチを教えることは、一番の面白みをスポイルすることになる。
スポイルの関連語
スポイルと一緒に知っておきたい言葉について簡単に触れます。いずれも日常生活を送っている中で遭遇する機会は滅多にないため、参考程度に知っておきましょう。
スポイルド
スポイル(spoil)の過去形がスポイルド(spoiled)です。ダメにされた、台無しにされた、といった意味になります。カタカナ語として登場することは稀でしょう。
スポイルズ・システム
猟官制ともいい、選挙で選ばれた人が、自分に忠実な人材を公務員として任用できる仕組みを指します。かつて、選挙に貢献した人に対して、その手柄に応じて職を与える風習がアメリカやイギリスなどで盛んでした。
漫画「ワンピース」に登場するスポイルじいさんって?
余談ですが、ワンピースという大ヒットコミックに「スポイルじいさん」というキャラクターが登場します。被害者の会、名誉会長という設定の大怪我をした年寄りで、主人公のルフィ以外にはゾンビと勘違いされてしまいます。
漫画では影を取られてしまったという設定ですが、影を失ってダメになった、台無しになったおじいさんという意味で名付けられたのかもしれません。
ニュースや記事でもたびたび登場するスポイル
インターネット上のニュースや記事を見ていても、ときどきスポイルという言葉が当たり前のように使われていることがあります。それくらい浸透してきているカタカナ語といえます。甘やかすなどの意味もありますが、根幹には「ダメにする」の意味があることをおさえておけば、あとは文脈からイメージできるはず。
「スポイルする」「スポイルされる」という表現も、ぜひ使ってみてくださいね!