ペイオフとは預金を保護する仕組みのこと
ペイオフとは、簡単にいうと銀行に預けたお金を一定の範囲で守ってくれる仕組みのことです。
銀行といえば経営的に安定している機関というイメージがありますが、金融機関であっても破綻するリスクはあるのです。
銀行にお金を預けている人ならば、ペイオフは必ず知っておくべき仕組みです。今回はペイオフの意味や仕組みについてわかりやすく解説します。
ペイオフの意味
ペイオフは厳密にいうと2つの意味を持つ言葉です。どちらも銀行における預金の保護に関する意味ですが、異なるニュアンスで使用されています。
意味①:預金を保護する仕組みや方式のこと
金融機関が破綻したときには、処理方式の一つとして、預金保険機構がお金を預けた人に保険金を支払う仕組みがあります。この仕組みや方式をペイオフということがあります。
意味②:上限までしか預金保護の対象にならないこと
金融機関が破綻しても、預けているお金のすべてが保護されないことがあります。一つの金融機関あたり、元本が1,000万円までを上限として保護されます。例えば、2,000万円の預金があり、その銀行が倒産したら、1,000万円しか保護してもらえません。このように上限を超える金額が守られないことをペイオフということもあります。
預金を守るペイオフ対策とは?
銀行が倒産した場合、預金が1,000万円を超える部分のお金については保護されないため、何かしらのペイオフ対策する必要があります。
基本の対策は複数の銀行にお金を分散すること
ペイオフの1,000万円という制限は、1つの金融機関あたりの上限となります。つまり、A銀行に1,000万、B銀行に1,000万というように預金を分散しておけば、仮にどちらかの銀行が倒産したときも資産がペイオフの範囲内で保護されます。管理の手間はかかりますが、シンプルな対策方法ではあります。
他の金融資産や投資で運用する
お金で預金する以外にも、換金性の高い金融資産にして運用することも選択肢です。例えば、価値の変動が少ない株式や国債などが挙げられます。相場変動の影響はゼロではありませんが、資金に余裕があれば、投資を含め他の運用方法を考えることは有用といえます。
当座預金に切り替える
ペイオフでは1,000万円までが保護されるという上限がありますが、厳密には「預金利息のつく預金」が該当します。したがって、利息のつかない決済専用の当座預金にシフトすれば、万一のときも全額が保護されることになります。
利息は気休め程度につかつかないご時世なので、当座預金に切り替えることも方法の一つです。
ペイオフの使い方・例文
次のように「ペイオフ制度」や「ペイオフ対策」などの表現で使用することもできます。また実際にペイオフに至るときは「ペイオフを発動」「ペイオフに踏み切る」といったフレーズが使えます。
・終活の一環としてペイオフ対策することにした。
・私の預金はペイオフによって保護される範囲におさまっている。
・金融庁はA銀行を救済せずに、ペイオフに踏み切ることを決めた。
・B銀行が経営破綻したため、初めてペイオフを発動することになった。
ペイオフの英語は「payoff」
英語にも「payoff」はありますが、支払い、精算などの意味を持ちます。
今回ご紹介したような預金保護の意味にするには、「deposit payoff(預金の返済)」や「deposit insurance(預金保険)」といった表現の方が伝わりやすいです。
ペイオフの関連語
今回ご紹介した預金保護の仕組みとは直接関係ありませんが、ペイオフという言葉が含まれる関連語もご紹介します。
ペイオフレシオ
「損益レシオ」や「損益率」ともいいます。レシオとは英語の「ratio(比率)」のことです。勝ちトレードの平均利益額が、負けトレードの平均損失額の何倍かを示します。
ペイオフマトリクス/ペイオフマトリックス
アイデアを効率よく取捨選択するためのフレームワークの一つ。「効果」と「実現性」を2つの軸にして図(マトリクス)にして、分析していきます。ビジネスシーンでアイデアや思考を整理したいときに使えます。
銀行の倒産、ペイオフに備えておこう
過去に大手銀行が倒産した時代を知っている人は、銀行の倒産も他人事ではないという意識をお持ちかもしれません。しかし、そうでない人にとっては「まさか銀行が倒産するわけない」と考えてしまいがちです。
実際に経営に行き詰まり金融機関が破綻したケースもあるので、身近に起こり得ることとして、預金が1,000万円以上ある人は対策しておきましょう。