「こちらこそ」とはどんな意味?敬語なの?言い換え表現や英語も解説

「こちらこそ」とはどんな言葉?

「こちらこそ」は、「私のほうこそ」という意味の敬語です。

「こちらこそ」の類語は、「むしろ」「~なのは私のほうです」。

英語で表すときは「too」を使ってください。

「こちらこそ」とはどんな意味?

「こちらこそ」は、相手から感謝やお詫びの言葉をもらったときに返す言葉で、次の意味をもっています。

こちらこそ
・私のほうこそ

「こちらこそ」の品詞を考えると、「こちら」と「こそ」に分割できます。「こちら」は、自分や自分が属する陣営を指す代名詞。「こそ」は、特定のものを強調する助詞。

「こちらこそ」は、「こちら(自分)」を強めて「私のほうこそ〇〇です」という意味合いを表します。

相手に感謝やお詫びをされたときに「こちらこそ」と返事をすることで、「自分も同じ気持であった」、または「私はあなたよりももっと大きくその気持ちをもっていた」と伝えられます。自分のほうから相手にその言葉をいうべきであったという、謙遜の気持ちも表せます。

「こちらこそ」は敬語の一種

「こちらこそ」の「こちら」は、くだけたニュアンスをもつ「こっち」を丁寧語に直した言葉ため、敬語の一種です。ただし、丁寧語には相手を持ち上げたり自分を下げたりして、相手に対する敬意を表すニュアンスはありません。

そのため、上司や取引先の人など目上の相手に「こちらこそ」だけの簡素な返事をしてしまうと、失礼な物言いになってしまいます。

「こちらこそ」を使うときは内容を明確に

目上の相手に「こちらこそ」を使うときは、中身を明確にした言い方をしてください。そうすることで丁寧さをアップさせられます。

「お忙しい中お越しいただき、こちらこそありがとうございます」のように、何に対して感謝やお詫びをしているのか、相手にはっきりと伝わる表現を心がけましょう。

「こちらこそ」は一度否定してから

相手からの感謝やお詫びに対して、そのまま「こちらこそ」と返事をすると、当然の態度で感謝やお詫びの言葉を受け取っていると思われ、相手を不快にさせてしまう恐れがあります。

「こちらこそ」を使うときは、「とんでもないです。こちらこそご期待に沿えず申し訳ございません」のように、いったん否定してから「こちらこそ」と返すのもポイントです。

否定のフレーズには、「とんでもないです」のほかにも、「とんでもございません」「とんでもないことでございます」などがあります。

「こちらこそ」は漢字だと?

「こちらこそ」は、漢字だと「此方こそ」となります。

しかし、「此方」は「こち」や「こなた」「こんた」「こっち」と読む場合もあり紛らわしくなるので、ひらがなで「こちらこそ」と書くことをおすすめします。

「こちらこそ」の使い方を例文で学ぼう

「こちらこそ」のニュアンスや注意点がわかったら、次は言葉としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
こちらこそ、〇〇様にお目にかかれて光栄です。
こちらこそ、早めにご連絡いただきありがとうございます。助かりました。
・いえいえ、こちらこそ今後ともご愛顧のほどよろしくお願いします。
こちらこそ、いつも当店のサービスをご利用いただきありがとうございます。
・とんでもございません。こちらこそ、お時間をいただき申し訳ありませんでした。

「こちらこそ」の類語・言い換え表現

「こちらこそ」を言い換えしたいときは、「むしろ」や「~なのは私のほうです」が使えます。

むしろ
【意味】
・2つを比べてこちらを選ぶ。こちらのほうがいい
・どちらかといえば
・いっそ

【例文】
むしろ、私のほうがいつもお世話になり、ありがとうございます。

~なのは私のほうです
【例文】
とんでもないです。お礼を申し上げなければならないのは私どものほうです。本日はありがとうございました。

「こちらこそ」は英語だと?

「こちらこそ」を英訳するときは「too」を使います。

I’m sorry too.:こちらこそごめんなさい
Thank you, too.:こちらこそありがとう

「こちらこそありがとう」は、「too」を用いずに「Thank YOU.」と「YOU」を強調して発音することで表す場合もあります。

また、「It’s my pleasure.」や「Thank you always for everything!」で「こちらこそいつもありがとうございます」のニュアンスを表せます。

「こちらこそ」をうまく使おう

「私のほうこそ」を意味する「こちらこそ」は、丁寧語なので敬語の一種です。しかし、「こちらこそ」単独では相手に対する敬意が足りないため、そのままでは目上の相手に使えません。

この記事で紹介した「こちらこそ」に敬意をプラスする方法とうまく組み合わせ、気持ちの伝わる返事ができるようになりましょう。