「せっかく」の意味は「尽力すること」「無理をして」
「せっかく〇〇したのに…」と普段からなんとなく使っている「せっかく」には、実は「尽力すること」「困難」などの名詞の意味と、「無理をして」「苦労して」などの副詞があるんです。また、使い方によっては相手に不快な思いをさせるため、意味や用法は正しく理解しておかなければなりません。
今回は、正しい意味や使い方のほか、類義語や英語表現についてもわかりやすく紹介します。
「せっかく」の意味・漢字
「せっかく」は「折角」という漢字で表し、「力を尽くして角を折る」行為が言葉の語源とされています。しかし、現代においては、「尽力すること」「無理をして」など、名詞と副詞で次のような意味をもつ言葉として広く使われています。
・尽力すること
・苦労すること
・困難
・難儀
・無理をして
・苦労して
・全力を傾けて事を行うさま
・苦労が報われないさま
・期待に応えられないさま
・(「せっかくの~」の形で)滅多に得られない恵まれた状況を大切な気持ちを表現。
「せっかく」と読むほかの漢字表現
「せっかく」は、「折角」以外にも違う意味をもつ漢字表現があるので、間違えて使わないよう注意しましょう。
【石槨】
古墳などで、棺を納めるための石造りの室。
【刺客】
暗殺者を意味する言葉で、多くの場合は「しかく」と読む。
【石核】
石器をつくる際、剥片(はくへん)を剥しとった残りの芯の部分。
「せっかく」の使い方・例文
「せっかく」は、さまざまなシチュエーションで、いろんな意味で使われます。わかりやすい例文を紹介するので、場面を想像しながら読んでいてください。
相手に敬意を表す「せっかく」
相手が起こしてくれた行為に対し敬意を表す場合、「せっかく」は敬語として使うことができます。
①せっかくお越しいただいたのですから、ぜひお入りください。
②せっかくのご厚意なのだから、ありがたく頂きましょ。
①は、視察で予定外の部門に訪れた上司に対し、「無理をして足を運んでくれたのですから」と、お願いをする際などに使うフレーズです。
②は、目上の人が、側にいる部下に対して厚意の品などを手渡そうとした際に、「心遣いを無駄にしては申し訳ないからいただきましょう」という意味を表しています。
お詫びに使う「せっかく」
副詞の意味の「期待に応えられないさま」にあたる使い方で、「尽力を無駄にして申し訳ない」との気持ちが込められています。
①せっかくのご厚意を無駄にしてしまい、申し訳ございません。
②せっかくお時間をいただきましたのに、このような結果になり申し訳ございません。
お断りをする際に使う「せっかく」
「~ですが」「~だけれども」などの逆説の言葉を「せっかく」のあとにつけ、相手に不快な気持ちを与えないようお断りする際のフレーズです。
①せっかくお誘いいただきましたが、以前からの予定が入っており、伺うことができません。
②せっかくのお申し出ですが、お気持ちだけ頂戴いたします。
「せっかく」の類義語・言い換え表現
「せっかく」をほかの言葉に言い換える場合、どんな意味で使うのかによって異なります。
・労力をかけて
・手間を惜しまない
・手間暇かけて
・手間を惜しまず など
・なんとか
・どうにか
・苦労のすえ
・やっと
・やっとこさ など
そのほかにも分かりやすい類義語として「わざわざ」「あいにくですが」があります。
わざわざ
「わざわざ」は「それだけのために、特に行うさま」「故意に」の意味をもつ言葉です。「せっかく」の言い換え表現としてはもっとも使いやすいですが、自分に対して使うと伝えた相手には嫌味に聞こえるので注意しましょう。
お忙しい中わざわざお越しくださり、ありがとうございます。
あいにくですが
「あいにく」は、「期待や目的に合わず、都合が悪い」という意味で、逆説の言葉を使ってお断りする「せっかくですが」の言い換えとして使えます。
あいにくですがその日は出張の予定があり、お会いすることができません。
「せっかく」の英語表現
「せっかく」の英単語と言い切れるものはありませんが、ニュアンスとして表現できる単語として「since」を使うのがもっとも簡単でしょう。
・Since you came to Japan, let’s eat lots of good food.
(せっかく日本に来たのだから、たくさんおいしいものを食べよう)
「せっかく」の意味を理解し正しく使おう!
「せっかく」は、相手に対しての気遣いを表現できる言葉です。しかし、「せっかくやったのに…」「せっかく作ったのに…」など、自分の行動に対して使うと、押しつけがましく、相手に「嫌味」だという印象を与えてしまいます。正しい使い方や言い換え表現を正しく理解し、会話で使えるようにしておきましょう。