メンタルヘルスとはどんな言葉?
メンタルヘルスの意味は、「精神的健康」「心の健康状態」です。
類語は「精神的健康」「精神衛生」。
英語で表すときは、「mental health」を使ってください。
メンタルヘルスとはどんな意味?
メンタルヘルスという言葉そのものの意味は、「精神的健康」「心の健康状態」です。
しかし世界保健機関(WHO)は、メンタルヘルスの意味をもっと踏み込んで捉えていて、次のように定義しています。
つまり、メンタルヘルスは人が自分にふりかかるストレスをうまく発散することができていて、自分の可能性を信じて職場や地域のコミュニティで存分にその能力を発揮できている状態を意味する言葉です。
精神に問題がないだけではメンタルヘルスとしては不十分。心が満ち足りて活動的な状態である必要があります。
参考
メンタルヘルス:私たちの対応を強化する世界保健機関(WHO)
メンタルヘルスの企業での意味
企業ではメンタルヘルスが、単なる「精神的健康」を意味する言葉としてだけでなく、「従業員の心が健康でいられる職場づくりを推進しよう」という前向きなニュアンスで使われることがあります。
WHOのメンタルヘルスの定義でもあったように、メンタルヘルスが好調であることは、社員が最高のパフォーマンスを発揮するために欠かせない条件です。そのため、メンタルヘルスをこのような積極的な意味合いで捉える企業が増えています。
メンタルヘルスが低下すると?
メンタルヘルスが低下すると身体に不調が現れて、心も落ち込み気味になりやる気が低下します。判断力や思考力が低下し、失敗が増えます。好奇心も低下するため、新しい発想も生まれなくなります。こうなると当然、企業の生産性は落ちてしまいますね。
メンタルヘルスの低下を放置し状態が悪化すると、うつ病や双極性障害、不安障害、適応障害、パニック障害、強迫神経症などの精神疾患を発症してしまう場合があります。精神疾患により、従業員が度々遅刻や欠勤をするようになったり休職者や退職者が出たりすれば、企業は人手不足に陥って業績にも悪影響が出てしてしまいます。
さらに症状が悪化すると、従業員から自殺者が出てしまう可能性さえあります。
メンタルヘルスが低する原因
メンタルヘルスはストレスによって低下します。そして、ストレスの原因には次のようなものがあります。
・離婚
・家庭内や親戚間のトラブル
・金銭問題
・事故
・住環境や生活の変化
・アルコール依存
・職場での人間関係のトラブル(上司や部下との対立、パワハラ、セクハラなど)
・長時間労働や過重労働
・昇進や配置転換、転勤などによる役割や地位の変化
・仕事の失敗
・業務上で負った傷害や病気
プライベートの理由によるストレスと、職場環境によるストレスがありますね。そのため、従業員個人と企業の双方が対策を取らないと、良好なメンタルヘルスは維持できません。
メンタルヘルスケアとは
メンタルヘルスケアは、すべての働く人が健康的にはつらつと働けるように、「心の健康管理」をすること。メンタルヘルスをいたわる仕組みを作り、実践することを意味します。
良好なメンタルヘルスで生き生きと働けている人、ストレスが多くメンタルヘルスが低下している人、症状が悪化し精神疾患を発症してしまっている人すべてがメンタルヘルスケアの対象になります。
メンタルヘルスケアの方法
メンタルヘルスケアには、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内の産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」の4種類のケアがあります。
セルフケア
「セルフケア」は、個人が自分で自分のストレスをケアすること。一般の従業員を管理監督する立場の人も含む、すべての働く人がセルフケアを行います。
厚生労働省では、「ストレス」や「セルフケアの方法」についてわかりやすく学べるサイトを公開しています。手軽に挑戦できる対処法が紹介されているので、参考にしてみてください。
参考
eラーニングで学ぶ「15分でわかるセルフケア」厚生労働省
ラインによるケア
「ラインによるケア」は、管理監督者(上司)が部下のストレスをケアするために行う対策です。管理監督者は部下の相談に乗ったり、職場のストレス要因を調べて対策を取ったりします。
企業は、管理監督者に対して「ラインによるケア」を適切に実施するために必要な情報を提供したり、研修を行ったりしなければなりません。
事業場内の産業保健スタッフ等によるケア
「事業場内の産業保健スタッフ等によるケア」は、産業保健スタッフ(産業医、衛生管理者、保健師、人事労務担当者)が行うケアです。産業保健スタッフは、「セルフケア」と「ラインによるケア」のサポートを行います。
個々のケースに対応するだけでなく、メンタルヘルスに関する研修を企画・実施したり、従業員からの相談を受け付ける窓口を用意したり、メンタルヘルスケアに必要な制度や体制を整備します。
メンタルヘルスケアに関する専門的な知識をもつ外部の機関やサービスと、企業を結ぶネットワークを用意し、窓口となるのも産業保健スタッフの役割です。さらに、休職者が職場復帰をする場合の支援も行います。
事業場外資源によるケア
「事業場外資源によるケア」は、メンタルヘルスケアの専門家から情報や助言をもらうなど、専門的な知識をもつ外部の機関やサービスを活用したケアです。
外部の専門家に、職場内では相談したくない従業員の相談相手になってもらったり、企業が抱える課題に対する解決策を考えてもらったりします。
また外部の専門家は、事業場内の産業保健スタッフと連携し、休職者の職場復帰の支援も行います。
メンタルヘルスケアではストレスチェックも重要
ストレスにより何らかの変調をきたしていても、一時的な体調不良と考えてストレスであると気づかなかったり、我慢できる範囲のストレスであると放置していたりする人もいます。そのため、メンタルヘルスケアでは定期的なストレスチェックが重要です。
ストレスチェックを行うと、自分のストレス度を客観的に把握できるため、社員がセルフケアの必要性を自覚しやすくなります。
また、企業は従業員に対してストレスチェックを行うことで、全体のデータを入手できます。データを分析することでストレスが大きい職場環境になっていないか、対策が必要な箇所がどこにあるのかを確認でき、適切な対処がしやすくなります。
厚生労働省は、簡単にストレスチェックができるサイトも公開しています。職場でストレスチェックが実施されていない場合も、個人で診断テストを受けられるので試してみてください。
参考
5分でできる職場のストレスチェック厚生労働省
メンタルヘルスの使い方を例文で学ぼう
メンタルヘルスについてわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・メンタルヘルスを守るためにSNSの利用を控えるようにしている。
・社員のメンタルヘルスに寄り添う体制を整える。
メンタルヘルスは英語だと?
メンタルヘルスは英語では、「mental health」と表します。
・精神的健康
・精神保健衛生
「mental」は「心の」、「health」は「健康」という意味です。
メンタルヘルスの類語・言い換え表現
メンタルヘルスにカタカナ語の類語はありません。言い換えが必要なときは、日本語の「精神的健康」や「精神衛生」を使ってください。
・集団生活での無意味な競争は精神衛生に悪い。
【おまけ】ビジネスに役立つメンタルヘルス
この見出しでは、企業がメンタルヘルスケアに取り組むときに役立つ資格やサービスを紹介します。
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験は、メンタルヘルスケアを学習できる検定試験です。
一般社員向けのⅢ種(セルフケアコース)、管理監督者(管理職)向けのⅡ種(ラインケアコース)、人事労務管理スタッフや経営幹部向けのⅠ種(マスターコース)の3つのコースがあります。
Ⅰ種が最も難しいレベルで、数字が増えるほど難易度が下がっていきます。
セルフケアについて問われるⅢ種は職業や年齢、職歴に関係なく多くの社会人にとって挑戦しやすいレベルに設定されています。自分のストレスに早期のうちに気づき、自分で対処したり周囲に助けを求めたりできるようになることが目標です。
株式会社メンタルヘルステクノロジーズ
株式会社メンタルヘルステクノロジーズは、産業医を紹介するサービスや社員向けのオンラインカウンセリングサービスなど、企業のメンタルヘルスケアに役立つ様々なクラウドサービスを手掛けている日本の企業です。デジタルマーケティング支援サービスも行っています。
メンタルヘルスを意識して働こう
メンタルヘルスの良し悪しは、私たちの生活の質や仕事の生産性を大きく左右します。企業が対応する面もありますが、個人個人でもストレスを溜め過ぎないように日々の暮らしのなかで対応していく必要があります。
メンタルヘルスを意識して、うまく対処しながら仕事をしていきましょう。