「目から鱗」とはどんな言葉?
「目から鱗」は、「目から鱗が落ちる」ということわざを略した言葉。「何かがきっかけとなって、急にものごとの実態がよく見え、理解できるようになること」をたとえた表現です。
類語は、「開眼する」「腑に落ちる」「ハッとする」「思わず膝を打つ」「霧が晴れる思い」。
英語で表すときは、「The scales fall from one’s eyes.」を使います。
「目から鱗」の意味は?
「目から鱗」は、「目から鱗が落ちる(めからうろこがおちる)」を略した言葉です。次の意味を表します。
・何かのきっかけで偏見や先入観が取り払われ、まったく新しい発想を得たときの心境のたとえ
「目から鱗」は、今まで不思議に思っていたことや悩んでいたことが、何かが起こったことで急に腑に落ちたり、解消されたりしたときに使う表現です。
また、何かの影響を受けて瞬間的に大きな発想の転換が起き、気づきや発見が得られたときなどにも用います。
「目から鱗」の語源
「目から鱗」は、「新約聖書」の使徒行伝(しとぎょうでん)第9章に出てくるエピソードが由来といわれています。
キリスト教徒を迫害するものたちを率いていたサウロ(のちのパウロ)はある日、強烈な光に包まれ目が見えなくなってしまいます。「なぜわたしを迫害するのか」と天からイエスが語り掛けてくる声も聞こえました。
イエスの声に従いサウロが祈ると、アナニアという人物が現れ自分の目を治してくれる不思議な幻が頭に浮かびました。そしてその後、実際にアナニアと名乗る人がサウロのもとを訪れ、「イエスが自分を使わした」と告げます。
するとたちまち、サウロの目からうろこのようなものが落ちて、彼の目は再び見えるようになりました。
この出来事により、イエスの教えが正しいことを悟ったサウロは、パウロと改名しイエスの教えを世界に広めることに生涯をささげたと伝えられています。
「目から鱗」の使い方を例文で学ぼう
「目から鱗」は悪い意味の言葉ではないため、気軽に使うことができます。言葉の使い方を例文でイメージしてみましょう。
・まさかこんな裏技があるとは!目から鱗でした。
・この本は、役立つ知識が満載で目から鱗の連続だった。
・目から鱗とはまさにこのことだと実感した。
・目から鱗が落ちるような斬新な発想に驚かされるばかりだ。
「目から鱗」の類語・言い換え表現
「目から鱗」と同じ意味のことわざや似たことわざはありませんが、同じようなニュアンスを表す言葉はいくつかあります。言い換えに使える類語もおさえておきましょう。
・真理を悟ること
・技術や芸能の道で真髄を悟り、極致を窮めること
・こつを会得すること
【例文】
たまたま手にした雑誌がきっかけで、クラシックカーの魅力に開眼した。
・納得できる
・理解できる
【例文】
都合の悪い話題から話をそらすためだったと考えれば、彼女の突然の発言も腑に落ちる。
・急に気がつく
・急に思い出す
【例文】
日常のなかにもハッとする発見はたくさんある。
何かをきっかけとして、たちまち得心すること。脳裡でひらめいた場合に行われる動作
【例文】
「その手があったか」と思わず膝を打った。
悩み事や考え事がなくなって気持ちが軽くなること
【例文】
彼の言葉を聞き、霧が晴れる思いがした。
「目から鱗」は英語だと?
「目から鱗が落ちる」は、「新約聖書」に由来する言葉でしたよね。そのため、「目から鱗」を英語で表すときは、「新約聖書」に出てくる「The scales fall from one’s eyes.」というフレーズがそのまま使われています。
「The scales fall from one’s eyes.」で「目から鱗が落ちる、突然真実を知る、突然誤りを悟る」という意味になります。
そのほかにも、次の言い方で「目から鱗」のニュアンスを表すことができます。
My eyes were opened.:目を開けた
It was an eye-opening experience.:目を見張るような体験だった
「目から鱗」を使ってみよう
「目から鱗」は、ポジティブなニュアンスで用いることが多いことわざです。世紀の大発見から身近な気づきまで、いろいろな事柄に対応できるので、使うチャンスはたくさんあります。
「目から鱗」を積極的に使用してみて、知識から実際に使える言葉に変えていきましょう。