「言及」とは「話がある事柄まで触れる」という意味
日常生活の中より、新聞やニュースなどのメディアでよく見聞きする「言及」とは、「その話題に関連する事柄にまで触れる」「言い及ぶ」という意味をもつ言葉です。ビジネスシーンにおいても、公式な場面では用いられることがあるため、社会人としては理解しておきたい言葉の一つです。
本記事では、正しい意味や使い方のほか、類語、言い換え、英語表現などについてもわかりやすく紹介します。
なお、「言及」の対義語は存在しませんが、あえて反対の意味を伝えるとすれば、「その件については話題にしない」という表現が適しています。
「言及」の読み方・意味
「言及」は「げんきゅう」と読みます。「及ぶ」には、「ある場所、ある時、ある状態などに達する」「物事が続き、ある範囲にまで届く」「追いつく」といった意味があり、それに「言う」という言葉がつくことで成り立つ「言及」は、「言うことがある範囲にまで届く、追いつく」となり、次の意味を示す熟語として使われるようになりました。
・話がある事柄まで触れること。
・話をしている中で、その話題に関連する事柄にまで触れること。
・話がある事柄にまで及ぶこと。
「言及」の使い方・例文
「言及」は、前に「~について」「~の件について」がつくことが多く、後ろには「~される」「~なさる」「~すべき」「~せず」などを続けてよく使われます。
言及される/言及なさる
目上の人が言及する場合、「~する」の尊敬語にあたる「~される/~なさる」を使います。
・このたびのA社との契約解除について、専務から言及されることになった。
言及を控える/言及を避ける
「控える」は、「その動きをおさえて引き留める」「遠慮をする」、「避ける」は、「触れないようにする」の意味をもつ言葉です。いずれも、「言及はしない」の意味あいですが、「控える」は「可能なかぎり言及しない」、「避ける」は、「絶対にしない」といったニュアンスになるので、状況によって区別して使ってください。
・先方からの情報ではないので、言及は控えたほうがいいだろう。
・まだ内部で方針が固まっていないので、今回の会議では言及を避けることにしよう。
言及せず
「~せず」は、サ変活用動詞の「する」の未然形「し」に、打消しを助動詞「ぬ」の連用形がついた形で、「~しないで」「~せずに」の意味します。つまり、「言及せず」は、「言及しないで」「言及することなく」という意味になります。
・組合から提出した要望書については言及せず、社内改革についての議論が進められた。
「言及」の類語・言い換え表現
「言及する」をほかの言葉に言い換えたい場合は、次のようなものを使うことが可能です。
・~について話す
・話題にする
・話に上らせる
・話の対象にする
・議題に取り上げる
・論点にする
また、「言及」の類語にあたる熟語には「追求」「論及」があります。
「追求(ついきゅう)」
「追求」には、「目的を達するまでどこまでも追い詰める」という意味があります。「言及」は、ある事柄にまで話が及びはしますが、追い詰める要素はなく、良い意味の場合にも使われますが、「追求」は責任や問題点など、悪い事柄について主に使われます。
・大きな発注ミスが起こったことに関して責任を追求する。
「論及(ろんきゅう)」
「論及」とは、「論じてそのことにまで言い及ぶ」ことをいいます。「論じる」は「筋道をたてて述べる」ことを指すので、「論及」は、「筋道を立てて述べている中で、その話題にまで達する」という意味になります。「言及」は、一つの話題について追求することがメインとなる一方で、「論及」は、論じる中で、相手を追求するだけでなく、相手からの質問や意見を投げられ、討論に至るケースもあります。
・今日はこれ以上論及を続けても結論は出ないだろう。
「言及」の英語表現
「言及」を英語で表現したい場合「mention」や「touch on」を使います。
・The department in charge should be mentioned more about this mistake.
(今回のミスについては担当部署をもっと言及すべきた。)
・I will touch on the unclear budget appropriations at tomorrow’s meeting.
(不明瞭な予算計上については明日の会議で言及したいと思います。)
「言及」の意味を理解し正しく使おう!
ビジネスシーンにおいては、問題点についてとことん追求したり、相手と討論をしたり、話をするスタイルはいろいろとあります。「言及」にあたるのか、類語の「追求」「論及」にあたるのか、それぞれの意味を正しく理解し、状況に応じて使いわけができるようにしておきましょう。