ファジーとはどんな言葉?
ファジーの意味は、「境界が不明確であること」「あいまいであること」「柔軟性があること」です。
類語は、「漠然と」「不明確」「おぼろげ」「判然としない」「煮え切らない」「ユルい」。対義語は、「クリア」「明確」「明瞭」「頑固」「意地っ張り」です。
英語で表すときは、「fuzzy」を使います。
ファジーとはどんな意味?
ファジーは、次の意味で使われます。
②人間の認識のあいまいな部分をコンピュータで処理する技術。ファジー理論
ファジーは、外観をおおざっぱに見るとなんとなくそれが何かわかるような気がするけれど、中身をよく見ようとすると最も大事な部分はあいまいになっていて、それが何なのか肝心な部分がわからないことを意味するカタカナ語です。
①のファジーはいい意味、悪い意味どちらでも使える
ファジーはビジネス用語として使うときなど、一般的には①の意味で用いられます。いい意味でも悪い意味でも使用できます。
いい意味の場合、「柔軟で融通のきくさま」や「考え方が柔軟であること」「何でも許容できる性質」。悪い意味では、「考えがはっきりしないこと」「優柔不断な様子」「あいまいで適当なこと」などの意味になります。
②のファジー理論はコンピュータの分野でよく使われる
②の意味のファジー理論は、人間の思考のあいまいさを一種の確率変数として、1~0の間の数値で表す数学理論のこと。コンピュータの分野でよく使われる言葉です。
例えば、何歳までが若いのかを「若い」と「若くない」の範囲で考えたとき、「10歳はかなり若い、20歳は若い、30歳はまだ若い、40歳はあまり若くない、50歳は若くない」などの答えが考えられます。
ファジー理論を用いることで、このような「ある要素である状態」から「その要素ではない状態」にだんだんと変化していく対象を、数学的に捉えることができるようになります。選択肢が、真(1)か偽(0)の2つしかない論理の反対の考え方です。
ファジー理論は生活を便利にしている
ファジー理論を使うことで、コンピュータに真(1)か偽(0)の2択で判断できない情報も理解させられるようになります。
1990年ころ、洗濯物の量や汚れの程度に合わせて洗う時間を自動で変える洗濯機や、人間の体感に合わせて温度を管理できるエアコンなど、ファジー理論を用いて開発された家電機器が次々と発売されました。ファジー理論を使用した家電はブームになり、「ファジー」は流行語大賞にも選ばれるほどでした。
そのブームが過ぎてからは、日常生活のなかでファジー理論を耳にする機会は少なくなり、ファジー理論は死語のように扱われることもあります。しかし、ファジー理論は現代でも人工知能(AI)の制御に利用されていて、自動車ブレーキシステムなどの形で、私たちの生活を便利にしています。
ファジーは英語だと?
ファジーを英語で表すときは、「fuzzy」を使います。
・(輪郭、境界、音、思考などが)不明瞭な、不鮮明な、ぼやけた、はっきりしない、ボーッとした、あいまいな
・(動物などが)短い柔毛で覆われた
・逆立った縮れ毛の
「fuzzy」の意味に含まれる、「綿毛状の」や「けばだった」「短い柔毛で覆われた」というニュアンスで、カタカナ語のファジーが使われることはあまりありません。
ファジーの使い方を例文で学ぼう
ファジーの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・彼はファジーな人だ。
・彼にはファジーなところがある。
・ファジーな部分もサッカーの魅力だと思う。
・ファジーなくらいでちょうどいい事柄が世の中にはたくさんある。
ファジーの類語・言い換え表現
ファジーの類語は、「漠然と」「不明確」「おぼろげ」「判然としない」「煮え切らない」「ユルい」です。それぞれの意味や使い方をおさえておきましょう。
あいまいに。不明確に。あやふやに。おぼろげに
【例文】
将来に対して漠然とした不安を感じる。
明らかでないこと、明確でないこと
【例文】
この計画には不明確な部分が多い。
はっきりしないさま。不確かなさま
【例文】
新商品のイメージがおぼろげながら浮かんできた。
はっきりと理解することができない。判明でない
【例文】
飲み過ぎて昨夜の記憶が判然としない。
態度がはっきりしない。ぐずぐずしている
【例文】
この期に及んで煮え切らない態度を取り続ける彼にはあきれてしまう。
・規則などが厳しくない。寛大である
・大ざっぱである。生ぬるい。しまりがなく、だらしない
【例文】
ユルい雰囲気が彼の魅力だ。
ファジーの対義語
ファジーの対義語は、「クリア」「明確」「一目瞭然」「頑固」「意地っ張り」です。
曇りがなく澄んでいるさま。明晰(めいせき)なさま
【例文】
不明点がクリアになった。
はっきりしていて間違いのないこと。そのさま
【例文】
条件を明確にする。
一目見ただけで、はっきりとわかるさま。一目で明らかにわかるさま
【例文】
グラフにすることで対策の成果が一目瞭然になった。
かたくなで、なかなか考えや態度をまげようとしないこと。そのさま
【例文】
彼は頑固な性格で、人の話を聞かない。
こうと思ったことは、よくても悪くても押し通すこと。そのさまや、そういう人
【例文】
彼には意地っ張りな一面がある。
【おまけ】身の回りのファジー
私たちの身の回りにはファジーとつくものがいくつかあります。興味のあるファジーがないか探してみましょう。
桃の皮の表面に生える産毛から「ファジー」と名付けられた説と、桃とオレンジの味がミックスされて、どちらの味か判別できないところから「ファジー」と付けられた説がある。
オートファジーは、ギリシャ語の「オート(自分自身)」と「ファジー(食べること)」を組み合わせた言葉で、記事で解説してきた「ファジー」の意味とは関係がない。
「宙ぶらり この気持ち」や「輪郭のない ない ない」など、ファジーの意味につながるフレーズが歌詞に使われている。
ファジーはうまく使おう
ファジーは、「境界が不明確であること」「あいまいであること」「柔軟性があること」の意味をもつカタカナ語です。
ファジーは一時期ブームになったけれど、その後は日常生活では耳にする機会が少なくなった言葉のため、ファジーというワードを知らない人もいます。相手に意味が伝わらなそうな場合は、類語に言い換えてうまくコミュニケーションを取っていきましょう。