フェーズとはどういう意味?ビジネスやIT、医療などでの意味や言い換え語も解説

フェーズとはどんな言葉?

フェーズの意味は、「段階」「局面」「時期」「ひとつの区切り」です。

類語は、「ステップ」「フロー」「ターム」。

英語で表すときは、「phase」を使います。

フェーズとはどういう意味?

フェーズは、次の意味をもつカタカナ語です。

フェーズ
・段階
・局面
・時期
・ひとつの区切り

フェーズは、変化の過程にあり変わっていくものの、「ひとつの区切り」を表現するために使用される言葉です。プロジェクトの進捗状況など、そのものの今の大きさを数値や単位を使って表すことができないものに対して使います。いろいろな段階を含んでいる全体を、切りのいい所で区切った「ひとつの区切り」がフェーズです。

売り上げなど、大きさを単位付きの数値で把握できるものには用いません。

ビジネスでのフェーズとはどんな意味?

ビジネスでのフェーズは、プロジェクトや企画の進捗、事業の成長過程の話などで使われ、その「ひとつの区切り」を意味します。

ひとつのフェーズをどこからどこまでにするかは、それを決める人によって異なります。予めフェーズの区切りがはっきりと決められている場合と、切りがいいところに来たからここまでを1フェーズにしようと、物事の進行過程で臨機応変に決められる場合があります。

フェーズの区切りが決められているケースでも、状況によって区切りが変更されるのはよくあることです。

IT分野でのフェーズとはどんな意味?

IT分野でのフェーズの意味は、「段階」「工程」です。

特定のシステムを開発するときの作業工程を、切りがいいところで分けた区分をフェーズといいます。フェーズを決めておくことで、納期から逆算して何日までにどのフェーズまで終わらせる必要があるかなど、全体の計画を立てやすくなります。

また、フェーズが定められていればいま作業がどの段階にあるのか、開発に関わるすべての人が簡単に把握できるようになるので、メンバー間の連携が取りやすくなるメリットもあります。

マーケティングでのフェーズとはどんな意味?

マーケティングでのフェーズの意味は、消費者や顧客が商品を購入するまでにたどる段階です。

大きく分類すると、「商品の認知」「購入するかどうかの思考」「購入行動」の3つのフェーズに分けられます。「商品の認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入行動」の4つのフェーズに区分されるなど、より細かく分けられる場合もあります。

フェーズを定めておくことで、どの段階の見込み客がどれだけいるのか把握しやすくなります。フェーズを定めることには、見込み客を次のフェーズに進ませるためにどのようなアプローチが必要か、対策を考えやすくなるメリットもあります。

災害対策でのフェーズとはどんな意味?

災害対策でのフェーズの意味は、「局面」「段階」。災害発生直後から復旧期までの期間を段階別に分けたものが、災害対策でのフェーズです。

災害発生時から時間が経過するにつれて、必要な対応や、被災者が求めるものは変わっていきます。そのため、防災対応マニュアルは、フェーズ別に対応が定められることが多いです。

医療分野でのフェーズとはどんな意味?

医療分野でのフェーズの意味は「段階」。新薬の治験の話題でよく使われる言葉です。

新薬の治験は、フェーズ1~フェーズ3の3つのフェーズに分けられて試験が行われます。フェーズ3までクリアしたあと、厚生労働省の承認を得て市販されますがここで終わりではありません。販売後も治療効果や安全性などを確かめる試験は続き、この試験はフェーズ4と呼ばれます。

新型コロナでのフェーズとはどんな意味?

フェーズは、新型コロナウイルス感染症に関する話でもよく使われます。新型コロナウイルス感染症の話題でのフェーズは、病床確保数の段階的区分を指していることが多いです。しかし、自治体によっては感染症の発生状況の段階を、フェーズで表しているところもあります。

フェーズの代わりにレベルやステージというカタカナ語で、病床確保数の段階や感染症の発生状況の段階が表される場合もあります。

また、「感染症の発生状況の段階をレベル、病床確保数の段階をフェーズ」としたり、「感染症の発生状況の段階をステージ、病床確保数の段階をフェーズ」としたり、対象ごとに言葉を使い分けしている自治体も多いです。

このようにフェーズが何を意味しているのか一律ではないので、文脈などから正しく読み取る必要があります。

フェーズとステージの違い

新型コロナウイルス感染症に関する話で登場したフェーズとレベル、ステージはどれも「段階」の意味で使われています。

この3つの言葉の意味に違いはありません。「感染症の発生状況の段階をレベル、病床確保数の段階をフェーズ」のように言葉を使い分けすることがあるのは、「感染症の発生状況の段階」と「病床確保数の段階」のそれぞれを別の単語で表現することで、見る人に別の指標であるとわかりやすくするためです。

フェーズは英語だと?

フェーズを英語で表すときは、「phase」を使います。

phase
・(変化、発達、進行などの)段階、局面、時期
・(振動、波動など変化するものに現れる)位相
・(問題、人の性格などの)面、相
・(月などの)満ち欠けの状態

「phase」の意味にある「振動・波動などの位相」や、「月の満ち欠けの状態」のニュアンスを表す言葉として、カタカナ語のフェーズを使用することはあまりありません。

フェーズの使い方を例文で学ぼう

フェーズの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
・プロジェクトは、フェーズが変わるタイミングを迎えている。
・無人宅配のテストを繰り返し、実用化に向けた検証のフェーズに入った。
・新型コロナの感染状況が落ち着き、病床確保数の段階がフェーズ2に下げられた。
・後輩に「フェーズとは何ですか?」と尋ねられ返答に困ってしまった。

フェーズの類語・言い換え表現

フェーズの類語は、「ステップ」「フロー」「ターム」です。それぞれの意味や使い方をおさえておきましょう。

ステップ
【フェーズの類語として使うときの意味】
物事の進行上の段階

【例文】
作業工程は、ステップ1からステップ5の5段階に分かれている。

フロー
【フェーズの類語として使うときの意味】
流れ。とくに、作業の手順を追った工程

【例文】
業務フローを見直し、改善点を探す。

ターム
【フェーズの類語として使うときの意味】
期間。期限

【例文】
スケジュールを4つのタームに分けて、期間ごとに予定を立てる。

【おまけ】身の回りのフェーズ

私たちの身の回りには、フェーズとつくものがいくつかあります。興味のあるフェーズがないかみてみましょう。

フェーズフリーとは?

フェーズフリーとは、日常の生活のなかで使用する商品やサービスに、災害など非常時に役に立つ付加価値をもたせ、日常時と非常時のフェーズの区分をなくすこと

例えば、濡れた紙や上向きにした状態でも書けるボールペンや、非常時にはバケツ代わりにして水も運べるバッグなど、平時も非常時も役立つものがフェーズフリーです。

フェーズドアレイとは?

フェーズドアレイとは、レーダーに使用されることが多いシステムの名称です。

フェーズドアレイは複数のアンテナ素子を規則的に配置し、アンテナ素子から放出する電波や音波の位相を、電子回路でそれぞれ別の大きさに調整できるようにしてあります。位相を変え、波の強め合う方向を変更することで、進む方向を任意の角度にずらした電波や音波を作れます

電波や音波を受信するときも、それぞれのアンテナ素子の位相を調整することで、アンテナ素子と垂直な方向からの信号だけでなく、斜め方向からの信号も受信できます。

このシステムを使ったレーダーを、フェーズアレイレーダーと呼びます。

MEMO
位相とは、波の山の位置と谷の位置のこと。

「マーベル・シネマティック・ユニバース」でのフェーズとは?

「マーベル・シネマティック・ユニバース」は、アメリカン・コミック「マーベル・コミック」をもとに作られた、スーパーヒーロー映画やテレビシリーズなどの集合体です。

さまざまな作品が同じ世界観のもと、ほかの作品とリンクして発展するクロスオーバー作品として作られています。

マーベルの作品は、切りがいいところでフェーズに分けられており、 現在までにフェーズ1~フェーズ4まで展開中です。

フェーズは上手く使おう

フェーズはビジネスでよく使われる言葉です。しかし、実生活ではあまり使用しない言葉のため、意味がわからない人もいるかもしれません。相手にニュアンスが伝わらなそうなときは、日本語の意味や類語にうまく言い換えてあげましょう。