「机上の空論」の意味は?どのように使うことわざ?例文、類語、英語などもわかりやすく紹介

「机上の空論」とは「机上だけの考えで実際には役に立たない」という意味

「机上の空論」は、文字を見ても想像できるように、「机の上だけの考えで、実際には役に立たない考えや意見」という意味の言葉です。カタカナ用語の使用が増えた現代では使う人は少なくなっているかもしれませんが、日本人ならではの表現方法も身につけておきたいものです。

なお、対義語は、多少筋が通らない話であっても、言葉数が多ければ正しく聞こえる、という意味の「言い勝ち功名(いいがちこうみょう)」や、始める前はいろいろと考えてしまうが、実際にやってみると意外とたやすくできること、の意味をもつ「案ずるより産むが易し(あんずるよりうむがやすし)」があります。

「机上の空論」の読み方・意味

「机上の空論」は「きじょうのくうろん」と読みます。「机上」は机の上ですが、実際に行動したことではなく、頭の中のみで考えられたことを意味しています。そして、「空論」とは「実際とはかけはなれて役に立たない議論」を意味する言葉です。これら二つの言語が組み合わされた「机上の空論」とは、次のような解釈となります。

・机の上だけの考えで、実際には役に立たない考えや意見
・頭の中のみで考えたことで、実際には適用できない無駄な議論。

間違われやすい「卓上の空論」

「机上の空論」と間違われやすい言葉に「卓上の空論」がありますが、これは謝りです。「卓上」は、「食事をする場所=食卓」を意味しています。物事を考える場所は、一般的には食事をする場所ではありません。そう考えると「空論」をするのは「机上」であると解釈しやすいですよね。

「机上の空論」の使い方・例文

「机上の空論」は、実際の状況を無視して議論を行ったり批判をしたりした際に使われることわざで、会話の中ではこのように使われます。

例文

・今回導入されたシステムは、机上の空論ばかりで使い勝手が悪すぎる。
・彼女の意見が机上の空論だということはもうみんなが知っている。
・現場ではとても頼りになる先輩だったのに、昇格した途端に机上の空論しか言わなくなった。

「机上の空論」の類語・言い換え表現

「机上の空論」をわかりやすい言葉で言い換えたい場合は次のような表現ができます。

「机上の空論」の言い換え表現

・全体が見えていない
・浅はかな考え
・見方が浅い
・思慮が足りない
・考えが足りない など

そのほか、同じような意味合いのことわざも存在するので、いくつか紹介しておきます。

絵に描いた餅(えにかいたもち)

どれほど実物に似せて描かれていても、絵に描いた餅は食べられないことから、「何の役にも立たない」ことを表すことわざとして使われています。「机上の空論」は、理論上筋が通ってはいるが実行するのは難しいことを指していますが、「絵に描いた餅」は、どうやっても実現不可能なことを指します。

紙上談兵(しじょうだんぺい)

「紙上談兵」とは、実際の戦場の状況は知らないまま、紙の上だけで兵隊を動かしていても勝つことはできない、ということを指した言葉です。これは、「机上の空論」とほとんど同じ意味で使えます。

捕らぬ狸の皮算用(とらぬたぬきのかわざんよう)

「捕らぬ狸の皮算用」は、狸を捕る前に、捕ったときの皮を売ったらどのくらいの利益があるのかを考えることを表現したことわざで、「手に入れていない利益の計算をしても意味がない」状況のときに使います。「いくら考えても無意味」という点においては「机上の空論」と同じですが、理論上は筋が通っているので、無いものをあるとする「捕らぬ狸の皮算用」とは違いがあります。

「机上の空論」の英語表現

日本のことわざでは「机上」ですが、英語では「紙の上」という言葉を使い、このような表現をします。

・Looks good on paper but won’t work.
(紙の上ではよく見えるが、実際には使えない。)

「机上の空論」の意味を理解し正しく使おう!

ビジネスシーンでは、現場の状況を何もわからない上司が、理想だけでマニュアルを作成したり、何かを決定したりすることが多々あるかと思います。これがまさに「机上の空論」です。状況によっては本記事で紹介した類語のほうが適している場合もあるので、関連付けて覚え、正しく使えるようにしておきましょう。