「コンセプチュアルスキル」とは「概念化能力」のこと
「コンセプチュアルスキル」は、日本語で「概念化能力」と訳されていますが、もう少しわかりやすく説明すると、「物事の本質を正しく把握できる能力」となります。社会人として、与えられた仕事を的確にこなしていくことは大切です。
しかし、不慮の出来事に対応できる力も身についていなければ、いつまでたっても一人立ちできないばかりか「役に立たない人」になってしまいます。そうならないためにも「コンセプチュアルスキル」は身につけておきたいものです。本記事では、正しい意味や使い方のほか、英語、コンセプチュアルスキルの高め方、類語、言い換えなどもわかりやすく紹介します。
「コンセプチュアルスキル」の由来・英語
「コンセプチュアルスキル」は、英語で「conceptual skill」と表記し「思考的熟練」と訳されていますが、それぞれの単語の意味は次のとおりです。
・conceptual(概念の)
・skill(技能、技術、手腕)
この「conceptual skill」は、過去にアメリカ・ハーバード大学の経営学者「ロバート・カッツ」がマネージャー(管理職)に必要なスキルとして提唱した3つの能力の中の一つとされています。なお、3つの能力についての詳細は後述するので、このまま読み進めてください。
日本語においての「コンセプチュアルスキル」とは
カタカナ用語の「コンセプチュアルスキル」は、このような意味で使われています。
収集した情報やもちあわせている知識などを体系的に組み合わせ、複雑に入り組んだ事象を概念化することで、物事の本質を正しく把握することができる能力。
コンセプチュアルスキルの要素一覧
「コンセプチュアルスキル」とは「概念化能力」のことですが、具体的には次の14の要素で構成されています。
物事を体系的に整理し、一貫して筋道が通っている考え方。
【2】ラテラルシンキング(水平思考)
固定観念にとらわれず、直観的な発想から新しい発想を生み出すための考え方。
【3】クリティカルシンキング(批判的思考)
物事を批判的に受け入れるではなく、多角から検討し、論理的、客観的に理解するための考え方。
【4】多面的視野
ひとつの視点ではなく、複数の視点から物事を考えられる力。
【5】探求心
物事を粘り強く究明仕様とする心。
【6】チャレンジ精神
失敗を恐れず、前例がないことでも果敢に挑戦できる精神力。
【7】知的好奇心
自分自身が知らないことに関心をもち、究明していこうとする心。
【8】柔軟性
イレギュラーなことが発生しても臨機応変に対応できる力。
【9】応用力
過去の経験や結果からほかの事柄に活かせる能力。
【10】受容性
他者の意見や新しい物事などを受け入れられる力。
【11】俯瞰力(ふかんりょく)
物事を一歩引いた目線で見ることができる能力。
【12】洞察力
人や物を深く観察し、本質を見抜く力。
【13】直感力
頭で考えるより感覚で物事を察知できる能力。
コンセプチュアルスキルの高め方
「コンセプチュアルスキル」は、生まれ持った能力だけではなく、努力次第で高められるものもあります。ここでは、スキルアップのためのポイントをいくつか紹介しておきます。
物事を抽象的・具体的に考えてみる
さまざまな出来事の中から、成功例、失敗例の共通点を見つけ出し、それぞれのパターンを推定する練習をすることで、広い視野や洞察力が身についてきます。また、成功した具体的な理由を考えたり、失敗例から何が原因なのかを考えたりすることで、分析力が身につきます。
成功体験を振り返ることを習慣にする
多くの人は「成功した!」で終わるのではないでしょうか。しかし、「なぜ成功させることができるのか」を一から振り返り、その手順でよかったのか、もっとこうすればよかったのではないか、と反省することで、クリティカルシンキング(批判的思考)、多面的視野、俯瞰力などが身につきます。
実務経験から学ぶ
会社などの組織で働いていると、チームリーダーなどのまとめ役が必要な場面があると思います。実際に上に立ったからこそ気付けることもたくさんあるので、率先してリーダーのなってみるというのもひとつの方法です。
「コンセプチュアルスキル」の使い方・例文
「コンセプチュアルスキル」は、会話や文章の中ではこのように使われます。特にリーダー的な仕事をする機会が増えてくる人は見聞きすることが多くなると思うので、ぜひ参考にしてみてください。
・コンセプチュアルスキルを高めるために研修を受けることになった。
・Aさんは、仕事はできると思うけど、上に立つならコンセプチュアルスキルをもっと磨く必要がある。
・コンセプチュアルスキルが低いと言われたが、自分に何が足りないのかがわからない。
「コンセプチュアルスキル」の類語・言い換え
「コンセプチュアルスキル」を日本語で言い換えたい場合は次のような表現が可能です。
・概念化能力
・理解力
・問題解決能力
・分析力
・論理的思考力 など
管理職に必要とされている3つのスキル
前述したように、管理職には「コンセプチュアルスキル」のほかに「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」も必要とされています。
「コンセプチュアルスキル」と「テクニカルスキル」の違い
「テクニカルスキル」とは、営業の人なら商品の知識、製造業なら技術力、接客業なら応対能力など、現場で働くのに必要とされるスキルのことをいいます。「コンセプチュアルスキル」は、先の仕事の対応力や思考力などのスキルがメインとなりますが、「テクニカルスキル」は、現時点で仕事を行っていくうえで必要なスキルという点での違いがあります。
「コンセプチュアルスキル」と「ヒューマンスキル」の違い
「ヒューマンスキル」とは、円滑に対人関係を築いていけるスキルのことをいいます。行動力、発想力、思考力が求められる「コンセプチュアルスキル」が高くても、コミュニケーションがうまく取れないようでは上に立っても組織をまとめていくことはできません。
eラーニングでのコンセプチュアルスキル研修もできる
「コンセプチュアルスキル」をeラーニングで学ぶことができるツールがあります。専門的な企業の教材を使うと新しい発見や知識の習得につなげることができるというメリットがあるので、自社に研修システムのない企業にはおすすめです。
(データ参照元:etudes 思考力・コンセプチュアルスキル)
「コンセプチュアルスキル」を高めて効率よく仕事をしていこう
「コンセプチュアルすきる」の要素はいろいろあり、直感力や好奇心はその人がもともと持ち合わせている性質も大きく関係しますが、トレーニングをすれば高められるスキルも多いです。この能力の高い人は、「効率的に働ける」「ひとつの経験から多くのことを学ぶことができる」「物事を合理的に考えられる」などの特徴があり、管理職でなくても保有していて損はしません。効率よく仕事が人材になるためにも、「コンセプチュアルスキル」を身につけることをおすすめします。