キャパオーバーの意味とは?対処法やキャパシティオーバー症候群についても解説

キャパオーバーとはどんな言葉?

キャパオーバーの意味は、「人やものの許容範囲を超えており処理能力が追い付かないこと」です。

類語は、日本語の「いっぱいいっぱい」「立て込む」「余裕がない」「力不足」。

英語で表すときは、「over capacity」「overwhelmed」「Inundated」を使います。

キャパオーバーとはどんな意味?

キャパオーバーは、次の意味をもつカタカナ語です。

キャパオーバー
人やものの許容範囲を超えており処理能力が追い付かないこと

キャパオーバーは、何かに対して「容量が足りないこと」「力量が足りないこと」「時間が足りないこと」などを意味する和製英語のキャパシティオーバーを短縮した言葉。

バイトなど、仕事の話で使うときは、「忙しすぎて対応不可能」や「難しすぎて自分では対処できない問題や仕事を抱えている」という意味を表す場合が多いです。

キャパオーバーを使うときの例

次のようなときにキャパオーバーを使います。

・建物や乗り物の収容人数をオーバーしている
・人の体力が不足している
・人の技術力が不足している
・作業の量に対して作業時間が足りていない
・作業の量に対して人手が足りていない
・精神的に受け入れられる容量を超えている
・パソコンやスマホのメモリが不足している

キャパオーバーは砕けた印象のある表現なので、かしこまった言葉遣いが求められるシーンには向きません。

キャパオーバーの恋愛での意味

キャパオーバーは恋愛関係の話では、「恋愛をしている人の許容範囲を超えており処理能力が追い付かないこと」を意味します。

例えば、次のようなときにキャパオーバーが使われます。

・仕事などが大変すぎて恋愛と両立させるのが困難な状態にいるとき
・相手が好きすぎて強い不安や嫉妬に駆られてしまうなど、心理的に耐えられない状況にいるとき
・相手との価値観が違いすぎて耐えられない状態にいるとき
・相手の束縛が激しすぎて耐えられない状態にいるとき
・不倫や浮気など、隠さなければならない恋愛をしている人が、予定が重なってしまうなど、隠しきるのが困難な状況に陥っているとき

仕事でキャパオーバーになる原因

仕事でのキャパオーバーは、次のような原因で起こる場合が多いです。

悩み事・ネガティブ思考
悩み事をたくさん抱えていたりネガティブ思考に陥っていたりして、無駄にいろいろ考えてしまうことで、通常よりも頭の働きが低下している
時間が足りない
スケジュールに余裕がないことに追い詰められ、気持ちの余裕も失ってしまっている
仕事の効率が悪い
優先順位がつけられない、完璧を求めすぎてしまうなど、効率の悪い仕事のやり方をしている
NOといえない性格
責任感が強い、相手を気遣いすぎてしまう、断ると自分の評価が下がってしまうと考えているなどの理由で、人からの頼みごとを断れない
頭が固い
頭が固く、状況に合わせて仕事のやり方を変えたり、納期の調整をしたりしようという発想がない
人に頼れない性格
完璧主義で人を頼ることをよしとしなかったり、人を頼るのは申し訳ないという気持ちになってしまったりして周囲に助けを求められず、ひとりで抱え込んでしまう
上司のせい
能力に合った仕事を割り振れていない、行き当たりばったりで指示がしょっちゅう変わるなど、上司が部下に仕事を割り振るやり方が下手
人手不足
人手不足でひとりあたりの仕事量が多すぎる

キャパシティオーバー症候群とは

キャパシティオーバー症候群は、キャパオーバーな状況が続くことで過度なストレスにさらされたメンタルのバランスが崩れ、心身に何らかの症状が出る心の病気。

人によって症状は異なりますが、次のような症状が出るケースが多いです。

・集中力、理解力、発想力、判断力が低下する
・すぐにイライラして言動が暴力的になる
・パニックになりやすい
・動悸が激しくなる
・出勤前や仕事中など特定のタイミングに、めまいや吐き気などの体調不良に襲われる
・悲しいわけでもないのに涙が出る。些細なことですぐに泣く
・無気力になる
・不眠

キャパオーバーの対処法

体調不良などキャパオーバーのサインが現れたら、次の対処法を試してみましょう。

落ち着いて優先順位を決める

仕事が多すぎてキャパオーバーになりそうになったら、まず焦る心を落ち着かせ、慌てずに頭を整理することを自分に言い聞かせましょう。

気持ちが落ち着いたら、今一番しなければならないことは何か、その次に片付けるべきものは何か、仕事に優先順位をつけ紙に書き出します。どの順に片付けていくべきか、目に見える形で整理することでやるべきことがはっきりし、頭が無駄に混乱する事態を避けられます。

上司に相談する

仕事に優先順位をつけた結果、自分の手に負える仕事量でないと判断した場合は、すぐに上司に相談しましょう。締め切りぎりぎりで無理だと打ち明けたり、キャパシティオーバー症候群で休職する事態になったりすると、周囲に多大な迷惑をかけてしまうため、なるべく早めに相談することが大切です。

相談することで、仕事の割り振りを変更し同僚や先輩に助けてもらえたり、納期の調整をしてもらえたりします。大きな調整ができない場合でも、新たな仕事を割り振られてしまう事態は避けやすくなります。

また、普段からどの程度の仕事量が限界量なのか、いくつまでならば同時進行で仕事を処理できるのか、自分の処理能力を客観的に把握し上司や周囲に伝えておくことも重要です。事前に知らせておくことで、キャパオーバーになるほどの仕事量が割り振られる事態を避けやすくなります。

無理なときは断る

キャパオーバーになりかけているときなど、追加の仕事を受け持つのが無理なときに新たな仕事を割り振られそうになった場合は、はっきり断ることが大切です。

断るときの伝え方のポイントは、理由もしっかり伝えること。理由を述べたうえで断れば、相手も仕方がないと思ってくれます。

それが自分しかできない仕事であるときなど、どうしてもと頼まれた場合は、キャパオーバーにならないために交渉することが重要です。代わりに抱えている仕事のどれかをほかの人に割り振ってもらう、期限を延ばしてもらうなど、状況を悪化させないための何らかの対応をとってもらってください。

信頼できる人に話を聞いてもらう

上司や先輩、同僚、家族、友人など、信頼できる相手に話を聞いてもらうのもおすすめです。ひとりで考え込まず、話すことで頭が整理できたり、ネガティブな感情を発散することができます。

また、会社の人に話を聞いてもらうと、仕事に役立つアドバイスをもらえることもあります。

休みを取る

有給休暇を使うなどして休みを作り、心身をリフレッシュさせることも重要です。会社を休むのが難しい場合は、仕事が終わった後の時間や休日の使い方を工夫したり、仕事の休憩時間を気分転換にあてたりしましょう。

心身のリフレッシュには、次のような方法がおすすめです。

・睡眠の質を上げる
・何もしない時間を作る
・趣味に没頭する時間を作る
・好きな音楽を聴く
・外食しておいしいものを食べる
・散歩を兼ねて昼食を買いに会社の外に出かける

キャパオーバーの使い方を例文で学ぼう

キャパオーバーの意味や対処法がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
・営業が仕事を取りすぎて現場がキャパオーバーになっている。
・立て続けに退職者が出たことで、上司がキャパオーバーになっている。
キャパオーバーで仕事を辞めることにした。
・人手不足によるキャパオーバーで、このままではスタッフが潰れることが目に見えている。

キャパオーバーの類語・言い換え表現

キャパオーバーを言い換えできるカタカナ語はありません。言い換えが必要なときは、日本語の「いっぱいいっぱい」「立て込む」「余裕がない」「力不足」を使ってください。

いっぱいいっぱい
【意味】
①少しの余裕もないさま
②とくに金銭の支払いや貸借などで、最大限に達しているさま
【例文】
慣れない仕事でいっぱいいっぱいになった。
立て込む
【意味】
①ある場所に人や建造物が集まっていて込み合う。混雑する
②仕事や用件が一時に多く重なる
【例文】
仕事が立て込む繁忙期に新人を教育する余裕はない。
余裕がない
【意味】
心にゆとりを持てず焦るさま
【例文】
みんな大変なのがわかっているから余裕がないなんていえない。
力不足
【意味】
与えられた役目を果たすだけの力量がないこと
【例文】
このパソコンでは力不足のため、もう少しスペックの高いものが欲しい。

キャパオーバーは英語だと?

キャパオーバーのもともとの言い方であるキャパシティオーバーは和製英語のため、「capacity over」では英語圏の人には通じません

キャパオーバーを英語で表すときは、次の表現を使ってください。

キャパオーバーの英語
over capacity:引受能力超過、定員オーバー、生産能力過剰、設備過剰
overwhelmed:(ものや仕事などを過剰に与えられて)圧倒された、対応不可能になった、手に負えなくなった
Inundated:殺到する、押し寄せる

キャパが広い人の意味とは

誉め言葉として、「キャパが広い人」という言葉が使用されるケースがよくあります。「キャパが広い人」は、次のようなニュアンスで用いられています。

キャパが広い人
・人間としての器が大きい人
・たくさんの仕事を処理できる能力が高い人

ただし、キャパのもとの言葉であるキャパシティは容量を意味する言葉のため、「広い」ではなく「大きい」というほうが日本語としては正確です。自分で使うときは、「キャパが大きい人」ということをおすすめします。

キャパオーバーになりそうになったら早めに対処しよう

キャパオーバーの意味は、「人やものの許容範囲を超えており処理能力が追い付かないこと」です。

仕事が多すぎてキャパオーバーになってしまうビジネスマンは少なくありません。無理しすぎると心身に異常をきたしてしまい、ビジネスに支障が出ます。キャパオーバーになりそうになったら、紹介した対処法で事態の改善を図りましょう。