ベンチマーキングとはどんな言葉?
ベンチマーキングは、「自分たちのビジネスのうまくいっていない部分を他社の成功事例と比較することで、業務効率を上げていく経営改善手法」です。
ベンチマーキングを言い換えできる類語はありません。
英語で表すときは、「benchmarking」を使います。
ベンチマーキングとはどんな意味?
ベンチマーキングは、次の意味をもつカタカナ語です。
ベンチマーキングは、企業や国、地方自治体などで行われており、製品や事業、組織、業務プロセスなど、ビジネスを構成しているさまざまな事柄に対して使えます。
ベンチマーキングの語源
ベンチマーキングは、もともと靴職人たちが使っていた言葉です。
靴職人は、靴を修理するときにお客さんの足をベンチに乗せ、その足の形をなぞってベンチにしるしをつけることで足形の測定をしていました。これが靴職人のベンチマーキングです。
ベンチのしるしをもとに靴のパターンを作るように、成功している会社のビジネスパフォーマンスのしるし(目標)をもとに自社の経営改善を進めていくことから、ベンチマーキングと呼ばれるようになりました。
ベンチマーキングの目的・メリット
ベンチマーキングの目的は、自社のビジネスがうまくいかない原因を、客観的に調査し見つけ出すこと。さらに、成功している他社の強みを自社のビジネスに取り入れ、効率的に自社のビジネスの質をよくするところまで目指して行います。
客観的なデータをもとに、社員一人ひとりにはっきりとした目標を与えられるというメリットもあります。
ベンチマーキングのやり方・手法をわかりやすく解説
ベンチマーキングは、自分たちのビジネスの効率を悪くしている事柄を挙げていき、その悪い事柄のなかで、もっとも改善が必要なものをまずはひとつ選び出して行います。
どのようにして行うのか、やり方を順にみていきましょう。
もっとも優れた他社の事例を調査
選んだその事柄についてもっとも優秀な成果を上げている他社を探して比較対象にし、その会社でのやり方を調査します。
他社についての情報は、公に公開されている次のような資料から調べられます。
・経済誌
・業界専門誌
・業界団体が発表している統計資料
・有価証券報告書
・テレビのビジネス番組
・企業のホームページ など
その企業の商品やサービスを実際に使ってみたり、アンケートを実施したりすることでも調査できます。
優秀なやり方をしている他社はなぜそのやり方を選んだのか、今のやり方だけでなく、過去のやり方やそのときの結果も調べ、その歴史から理由を追求することが重要です。
他社のことだけでなく、自社についても同じ視点で調査してください。
他社と自社のデータを比較、分析する
十分なデータを収集できたら、優秀なやり方をしている他社と、うまくいっていない自社の同じ視点から見たデータを比較、分析します。
データを突き合わせて一つひとつ違いを探していくことで、自社の業務の改善すべき事柄をみつけられます。
可能なら直接教えを乞う
相手企業にお願いし、可能ならば現地調査に行きます。相手の会社に直接教えを乞うことができれば、本質的な部分まで理解しやすくなります。関係者にインタビューなどをお願いし、必要な情報を収集してください。
ライバルである同業他社を比較対象に選んだ場合は直接教えてもらうのは難しいですが、異業種を比較対象に選んだ場合は教えてもらえることも多いです。
教えを乞うときは、相手の会社に自社のことを聞かれたら情報を提供することを覚悟したうえでお願いしましょう。相手から秘訣を教えてもらっているのだから、当然こちらも相手が求める情報を提供しなければなりませんね。
異業種をベンチマーキングした例
異業種をベンチマーキングするというと意外に思うかもしれませんが、実際によく行われています。異業種をベンチマーキングして成功した例には、次のようなものがあります。
自動車レースでコックピット・クルーが行う給油・車体整備プロセスをベンチマーキングし、給油、整備にかかる時間を大幅に短縮できた。
これにより、ハウスキーピングにかかる時間を大幅に短縮でき、スタッフのチームワークもよくなった。
自社でのやり方を変革する
ベンチマーキングは調査して終わりではなく、教わった他社のやり方を参考に、自社でのやり方を変革するところまでやらなければ意味がありません。ただのまねにならないように、本質の部分から変えていくことが重要です。
上層部の指示のもと、プロジェクトリーダーを中心に、自社の社風にも合うような形で変革の計画を立ててください。
プロジェクトリーダーは、すべての従業員が自分の仕事について理解し変革に必要なスキルを身に着けるトレーニングを受けられるように目を配りながら、計画を実行していきます。計画の進捗状況を細かくチェックし、問題がある場合は計画の修正も必要です。
ひとつ改善されたら次の改善に取り掛かる
変革により悪い部分がひとつ改善できたら、次に改善が必要な事柄でも同じようにもっとも優秀な成果を上げている他社の事例を比較対象に決め、自社との違いを分析、業務変革を進めていきます。
これをどんどん繰り返して、自分たちのビジネスの効率を上げていきましょう。
ベンチマーキングとベンチマークの違い
ベンチマーキングには、字面の似ているベンチマークというカタカナ語があります。
ベンチマークは、ベンチマーキングで比較対象とする「もっとも優秀な成果を上げている他社」や、その優良他社の戦略、実績などのこと。
ベンチマーキングは手法で、ベンチマークは目標なので違うものです。
ベンチマークについては、こちらの記事でくわしく解説しています。
ベンチマークとは?ビジネス、PC、スマホでの意味の違いもわかりやすく解説
ベンチマーキングの種類
ベンチマーキングは、何をベンチマーキングするのかなどによって、いろいろな呼び方がされます。例えば、次のようなベンチマーキングがあります。
競合ベンチマーキング:競合他社をベンチマークにしたベンチマーキング
機能ベンチマーキング:製品やサービスを構成している特定の部分、業務プロセス、働き方など「機能」のベンチマーキング。異業種をベンチマークにすることも可能
機能ベンチマーキングの機能とは、「異業種をベンチマーキングした例」の見出しで紹介した「給油・車体整備プロセス」や「倉庫業務」、「ハウスキーピング」などのことです。
ベンチマーキングの使い方を例文で学ぼう
ベンチマーキングの意味ややり方がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・サービスのよさで高評価を受けている一流ホテルをベンチマーキングする。
・ベンチマーキングは看護の分野でも実践されている。
ベンチマーキングは英語だと?
ベンチマーキングは英語だと「benchmarking」と表記されます。
・水準基標の設定
・ベンチマーク
・基準
「benchmarking」は、「ベンチマーク」や「基準」の意味で使われることもあります。
ベンチマーキングをビジネスに活かそう
ベンチマーキングは、「自分たちのビジネスのうまくいっていない部分を他社の成功事例と比較することで、業務効率を上げていく経営改善手法」です。
ただのものまねで終わらないように本質部分まで理解し、腰を据えて業務変革に取り組むことが重要です。
ベンチマーキングを正しく理解し、ビジネスに活かしていきましょう。