ベンチマークとは?ビジネス、PC、スマホでの意味の違いもわかりやすく解説

ベンチマークとは物事の「指標」や「基準」のこと

経済の話題でよく耳にする「ベンチマーク」とは、「物事の指標や基準」のことを指します。もともとは、測量分野の用語で、土地の高低差、建物などの高さなどを表す際の水準点を指す専門用語でしたが、現在では経営、投資、ITなど、さまざまな分野で基準を指す言葉としても広く使われています。

本記事では、分野ごとの正しい意味や使い方のほか、英語表現言い換え表現なども含めてわかりやすく紹介します。

「ベンチマーク」の英語は「benchmark」

ベンチマークは英語で「benchmark」と表記し、「基準」「標準」という意味で使われています。

・benchmark estimate(基準評価)
・benchmark for cost-effectiveness(費用対効果の基準)
・benchmark for salaries(給与決定のための指標)
・benchmark on safety(安全性の基準)

日本語においての「ベンチマーク」とは

広い意味での「ベンチマーク」は、「指標」や「基準」ですが、業界によってその内容が異なります

ビジネスにおいてのベンチマーク

一般的なビジネスシーンにおいてのベンチマークは、主に経営・経済関連用語として使われており、「経営目標」や「自社の比較する優良企業」を指しています。また、目標として設定する企業を選ぶ際は、自社よりも優れている企業を選ばなければなりません。

例文

ベンチマーク企業はA社に決定してもよろしいでしょうか?
・通販事業を展開するにあたって設定したベンチマークですが、市場でトップを目指すには少し物足りないと思う。

IT業界においてのベンチマーク

IT業界においてのベンチマークは、スマホやPCなどの性能を評価するために設定する基準のことを指します。また、関連用語として「ベンチマークテスト」「ベンチマークスコア」「ベンチマークソフト」「ベンチマークアプリ」という言葉が存在するので、併せて覚えておきましょう。

例文

ベンチマークテストの結果が予想よりも良かったと聞いて、開発のスタッフは胸をなでおろした。
ベンチマークスコアが高いと思いこのPCを購入したのに、CPUの性能は前に使っていたもののほうが良かったように感じる。

ベンチマークテスト

IT業界においては、スマホやPCなどの製品評価・比較はテストプログラムを用います。この製品評価のためのテストを「ベンチマークテスト」といいます。

「ベンチマークテスト」には、全機能を総合的に行うもの、CPUの速度テストのみ、メモリのアクセス速度のみなど、さまざまな種類があります。

ベンチマークスコア

ベンチマークテストを実施した結果を「ベンチマークスコア」といいます。

ベンチマークソフト

ベンチマークテストを行うために使用するソフトを「ベンチマークソフト」といい、無料のものも多く存在します。「ベンチマークソフト 無料」で検索するとおすすめのソフトが表示されますが、ここで一部を紹介しておきます。

ベンチマークソフトの例

【CINEBENCH】
ベンチマークソフトの定番で人気の高いソフトで、Windows、Macのどちらでも使用可能です。
(参考サイト:CINECENCH

【3DMark】
3Dの処理能力について評価できるベンチマークソフトで、無料版だけでなく、より高機能な有料版もあります。
(参考サイト:3DMark

【IsMyHdOK】
Windows用ですが、インストール不要のお手軽ソフトです。クイックテスト、ショートテスト、ロングテスト、最長テストの4種類があり、最短では15秒で実施できるのが特徴です。
(参考サイト:IsMyHdOK

ベンチマークアプリ

スマホのベンチマークテストを実施するために使うアプリを「ベンチマークアプリ」といいます。

もっとも多くの利用者がいる人気アプリには「ANTUTU」があります。
(参考サイト:ANTUTU

測量業界においてのベンチマーク

建物の高さや位置などを測量する際は、敷地、道路の縁石など、絶対に動かない基準が必要で、その基準のことを「ベンチマーク」と呼びます。

例文

・駅前ビルのベンチマークは、ここの縁石でいいですか?

自動車業界においてのベンチマーク

自動車業界においてのベンチマークは、車を製造する際に「目標」とする車種を指します。しかし、ベンチマークは永久に同じというわけではなく、完成した車種が目標としていた車種より優秀なものになった場合は、より優秀な車種が次のベンチマークになります。

例文

・先月までのベンチマークはAでしたが、来月からのベンチマークはBになるので間違えないように。

投資においてのベンチマーク

投資においての「ベンチマーク」は、株式情報などで公開されている、日経225、TOPIXなどの市場平均になります。

例文

・今後どのように運用していくのか判断するためにベンチマークをチェックする。

「ベンチマーク」の類語・言い換え

「ベンチマーク」を日本語で言い換える場合、「基準」や「標準」などを表す言葉があてはまります

ベンチマークの言い換え表現

・規準
・判断基準
・水準点
・安全基準
・国際基準
・審査基準
・物差し など

また、カタカナ用語の類語には「ベース」や「スタンダード」があります。

ベース

ベースには、「土台」「基礎」の意味があり、基準よりも、「基礎となるライン」を表す要素が強いです。しかし、「ベースアップ=基本給アップ」のように、「ベース+〇〇」の言葉になると、「基準」の要素が強くなります。

スタンダード

スタンダードは「標準」の意味があり、基準というよりは、「一般的」のニュアンスが強い言葉です。

「ベンチマーク」と「KPI」の違い

経済関連用語の中に「KPI=Key performance Indicator」があり、日本語で表すと「重要な業績指標」となります。

経営において「ベンチマーク」は自社よりも優良な企業が対象ですが、「KPI」は最終目標を達成するために設定する、中間の目標を指します。また、「ベンチマーク」が社外と比較をし、それに向かって努力していきますが、「KPI」は社外には目を向けず、あくまでも社内のみを見た目標であるという考え方もできます。

各業界の「ベンチマーク」を正しく理解しよう

「ベンチマーク」は、分野によってさまざまな意味をもちます。たとえば、建築の業界であれば、「測量のベンチマーク」と「企業目標としてのベンチマーク」の両方を使う機会があります。各業界で会話の内容を正しく把握するためにも、それぞれの「ベンチマーク」の意味を覚えておくようにしましょう。