「皆無」とはどんな言葉?
「皆無」の意味は、「まったくないこと」「まったくないさま」です。
類語は、「絶無」「零」。
英語で表すときは、「nothing」「nothing at all」「be zero to none」「amount to nothing」を使います。
「皆無」とはどんな意味?読み方は?
「皆無」の読み方は、「かいむ」。次の意味をもつ言葉です。
まったくないこと
【形容動詞】
まったくないさま
【副詞】
・残らず。ことごとく
・(下に打消しの語をともなって)まったく。さっぱり
「皆無」には名詞、形容動詞、副詞の意味がありますが、副詞の意味は昔の文章のなかでしか出てきません。
現代の文章で「皆無」といったら、大抵の場合名詞の「まったくないこと」か、形容動詞の「まったくないさま」のどちらかの意味になります。
「まったく皆無」は間違い
「まったく皆無」という表現を使う人もいますが、これは間違いです。
「皆無」の意味は「まったくないこと」「まったくないさま」なので、「まったく皆無」というと、「まったく」の意味が重なった二重表現になってしまいます。
同じように、「完全に皆無」「全然皆無」「一切皆無」「まるっきり皆無」などの表現も間違いです。
「皆無すぎる」はおかしな日本語
ネット上では「皆無すぎる」という表現をみかけることがありますが、この「皆無すぎる」はおかしな日本語です。
「皆無」は「まったくないこと」、つまり「存在がない」状態を意味します。
「~すぎる」は、「程度が普通の状態や適当な度合を超える」ことを意味する言葉です。「少なすぎる」や「遅すぎる」などのように使います。
「皆無」は、この言葉だけで「まったく存在していない」極限の状態まで落ち込んでいるので、それをさらに超える状態は存在しません。「~すぎる」をつける余地がありませんよね。
「皆無すぎる」というと、「まったくなさすぎる」や「0(ゼロ)すぎる」といっているのと同じで、変な日本語に聞こえてしまいます。
正しい言葉遣いが求められるビジネスシーンでは、使わないことをおすすめします。
「皆無に等しい」は正しい日本語
「皆無に等しい」は、正しい日本語なので使っても問題ありません。
「皆無に等しい」は、「まったくないわけではないけれど限りなく0(ゼロ)に近い状態」を表す表現です。
「皆無に等しい」と同じような意味で、「ほぼ皆無」や「皆無に近い」のような言い方もできます。
「皆無」の使い方を例文で学ぼう
「皆無」の意味がわかったら、次は言葉としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・この状況から逆転できる可能性は皆無です。
・最低ランクの成績からでも、合格をつかみ取る人は皆無ではない。
・管理職とはいっても名ばかりで、管理権限は皆無である。
・皆無と同じ意味の四字熟語はない。
・ワンオクの「皆無」の歌詞は、聴く人の心に刺さりやすい。
「皆無」の類語・言い換え表現
「皆無」の類語は、「絶無」「零」です。それぞれの意味や使い方も頭に入れておきましょう。
まったくないこと
【例文】
このような事例は他社でも絶無である。
「絶つ」という漢字が使われた「絶無」は、つながっていたものを断ち切るニュアンスをもっており、今だけでなく未来の可能性も含めてまったくないことを意味します。
「皆無」は、未来の可能性までないとはいっていません。例えば、「可能性は皆無」といった場合、今はダメでも準備を整えて再チャレンジすればうまくいくかもしれない、その可能性は残るので完全に同じ意味ではありません。
・数字の「0」
・何もないこと。無
【例文】
賛成する意見は零だった。
「皆無」は英語だと?
「皆無」を英訳するときは、次の単語や表現を使います。
nothing at all:さっぱり、皆無
be zero to none:皆無である、完全にゼロだ
amount to nothing:皆無である
「皆無に等しい」は、このうちの「nothing」を用いて「next to nothing(ほとんどなきに等しい、非常に少ない、ただも同然で)」と表すことができます。
「皆無」の意味を理解して使おう
「皆無」は、「まったくないこと」や「まったくないさま」を意味する言葉です。
「皆無に等しい」などの言い回しを使用することで、「まったくないわけではないけれど限りなく0(ゼロ)に近い状態」を表すこともできます。
「皆無」の意味を正しく理解し、うまく使えるようになりましょう。