ゼロベースとはどんな言葉?
ゼロベースの意味は、「物事を最初からやりなおすこと」「ゼロの状態から検討しなおすこと」です。
類語は、「白紙に返す」「原点に立ち返る」「新規まき直し」「裸一貫」。
英語で表すときは、「from the start」「from the beginning」「start from scratch」「restart」「outside of the box」を使います。
ゼロベースとはどんな意味?
ゼロベースは、次の意味をもつカタカナ語です。
・ゼロの状態から検討しなおすこと
ゼロベースは前例や過去の実績、その時点までに考えていた計画など、既存のものを参考にするのではなく、まっさらな状態から新しくはじめることを意味します。
「最初からやり直す」の意味から派生して、「一から再出発すること」を意味する言葉として使われる場合もあります。
ゼロベースはビジネスで使う機会が多い言葉
ゼロベースは、ビジネスでよく使われるカタカナ語です。予算の決定や新商品の開発、新しい企画を考えるとき、経営戦略を練るときなどに用いられます。
ゼロベースは砕けた表現ではないので、上司など目上の相手にも使用できます。しかし、ゼロベースはかしこまった言葉でもありません。「ゼロベースで検討した結果、以上の結論に至りました」などのように、敬語と組み合わせて使いましょう。
ビジネスでは、関連語の形で用いられるケースも多いです。
ゼロベース思考
ゼロベース思考とは、既存の枠組みにとらわれず、物事をゼロの状態から考える考え方。
通常、私たちが何かを考えるときは、これまでに身に着けてきた経験や知識、価値観、一般的に正しいと考えられている法則などをもとにして考えています。それは、過去の経験や先人の知恵などを参考にして仮説を立てるやり方が、何もないところから考えていくよりも効率的だからです。
しかし、既存の枠組みや考え方をもとにした発想は、枠組みから大きく飛び出た考えにはなりにくいので、今までのものと大きく違うものを考え出すには向きません。
今まで誰も経験したことがないほど急激に変化している社会の状況や、多様化する消費者のニーズに対応するため、現代のビジネスではゼロベース思考が重要視されています。ゼロベース思考のやり方を頭に入れておきましょう。
やり方①「新しくどんな〇〇がほしいか」考える
ゼロベース思考では自分の常識や経験、知識、今までに払ってきた労力などをいったん全部忘れ、「今の〇〇をきれいさっぱり全部廃止するとしたら、新しくどんな〇〇がほしいか」を考えます。
〇〇のところには、商品、サービス、販売方法、ビジネスモデル、働き方、雇用形態など、考えたいものを自由に入れてください。
やり方②利用者になり切って考える
考えるときには、その〇〇を利用する側の立場に完全になり切ることが重要です。
例えば商品について考えるならば、お客さんになり切って、技術の問題やコストなど会社側の都合は一切考慮せず、どんなものが欲しいかを考えます。
アイデアが固まるまで、会社の人間としての意識を排除し続けることが大切です。アイデアをそれなりの形にまとめようとすると、つい企業側の都合を入れたくなってしまうので注意。最後までひたすらお金を出すお客さんとして考えて、自分(お客さん)にとって何が必要かを考え続けましょう。
やり方③「どうやったらできるか」を考える
利用者目線のアイデアが固まったら、つぎは「どうやったらそれができるか」を考えます。不可能と思っても、それが本当に不可能なのか疑うことが重要です。
解決する方法をさまざまな視点で調べ、常識や会社の都合にとらわれずありとあらゆる方法を検討します。同業、他業を問わず、よその企業に参考になる例がないか探してみるのもおすすめです。
諦めていいのは、本当にありとあらゆる方法を検討してそれでも解決できない壁であると判断した場合だけと、自分のなかで決めておきましょう。
やり方④すっぱり諦めて次を考える
本当にありとあらゆる方法を検討して、その結果不可能であるという結論に達した場合は、すっぱり諦めて次を考えることが重要。
本当に不可能ならば、そこまでにかけた時間や労力を惜しんで、だらだらと考え続けていても傷が大きくなるだけです。気持ちを切り替えて、新たなアイデアを考え出すことに労力を注ぎましょう。
ゼロベース予算
ゼロベース予算は、過去の実績にとらわれず、現行の事業と新規事業の区別なく毎年ゼロベースで予算を作成する予算編成方法です。
ゼロベース予算ではない通常の予算編成方法は、前期の実績をもとに予算をほぼ自動的に割り振り、新規事業に対してのみ厳しい査定を行うやり方で各事業の予算を決めています。このやり方は、予算編成を簡単に済ませられるメリットがあります。
しかし、一度認められた予算が削られることはあまりないため、経費削減が難しいです。本当に力を入れるべき事業に、予算が配分されない事態も起こりえます。
ゼロベース予算は、通常の予算編成方法のデメリットが起こらず予算編成を合理化できるため、導入する企業が増えています。
ゼロベース予算のやり方
ゼロベース予算では、デシジョン・パッケージと呼ばれる採点表のようなものを作ります。
デシジョン・パッケージを作るときは、それぞれの業務の業務水準、必要経費、人員、行う目的、それを行わない場合の影響、実績を測るための尺度、代替案など、事業同士を比較するために必要な事柄を項目として決めます。項目が決まったら、どの事業も毎年ゼロを出発点として、これらの項目を埋めていきます。
デシジョン・パッケージが完成したら、事業を比較しランク付けしてください。その後、優先順位の高い事業から順に予算をつけていきます。
ゼロベース予算のメリット・デメリット
ゼロベース予算を行うことで、限られた予算を力を入れるべき事業に優先的に配分でき、無駄な経費の削減もできるようになります。
その反面、毎年ゼロベースで予算を作成しなければならないため、予算編成にかかる事務量が大幅に増えてしまいます。
ゼロベースの使い方を例文で学ぼう
ゼロベースの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・それまでの計画を撤回し、ゼロベースで検討しなおすことにした。
・ゼロベースから企画した、まったく新しいイベントを開催する。
・故郷に帰り、ゼロベースで出直すことにした。
ゼロベースの類語・言い換え表現
ゼロベースを言い換えできるカタカナ語の類語はありません。言い換えが必要なときは、日本語の「白紙に返す」「原点に立ち返る」「新規まき直し」「裸一貫」を使ってください。
それまでの経緯をなかったものとして、もとの状態に返す
【例文】
計画を白紙に返す。
物事を開始した地点に戻ること。初心を取り戻すこと
【例文】
状況を変えるには、原点に立ち返る必要がある。
物事を最初からやり直すこと。改めて一から出発し直すこと
【例文】
店舗を移転し、新規まき直しをはかる。
自分のからだ以外、資本となるものを何も持たないこと
【例文】
裸一貫でやり直す覚悟を決めた。
ゼロベースは英語だと?
「ゼロベース」は和製英語のため、「zero-base」といっても英語圏の人には通じません。
「ゼロベース」を英訳したいときは、次のような表現を使います。
from the beginning:最初から、もともと
start from scratch:原点に立ち返る、ゼロから出発する、(再び)ゼロから始める、ご破算にする
restart:再スタートする、再出発する、再開する、再始動する
outside of the box:箱の外、既成の概念の外
「ゼロベースで考える」といいたいときは、これらの表現を用いて「think about this from the beginning」などのようにいいます。
【おまけ】ゼロベースランニングとは
ゼロベースランニングは、「人間本来の自然な走り方」をもとに、鍼灸マッサージ師でありランニングコーチでもある高岡 尚司氏が考案したトレーニングメソッドです。
ゼロベースランニングでは、走るときのフォームを今までの常識とは異なる、体本来の機能と重力を最大限に活かせる形に変えます。脚だけに頼る走り方ではないため、怪我をしにくくなるといわれています。
興味のある人は、高岡氏が書いた「ゼロベースランニング 走りの常識を変える!フォームをリセットする!」を読んでみてください。
ゼロベースの意味を正しく理解しよう
ゼロベースの意味は、「物事を最初からやりなおすこと」「ゼロの状態から検討しなおすこと」です。
ビジネスで使われることが多く、ゼロベースを利用したゼロベース思考やゼロベース予算を取り入れる企業も増えています。
ゼロベースという言葉を耳にしたときに困らないように、正しい意味を理解しておきましょう。