「フォーマット」とは「初期化」「形式」「書式設定」のこと
「フォーマット」は「初期化」「形式」「書式設定」など、使うシーンによって意味が異なる用語です。そのため、それぞれの意味を理解し、状況に応じて解釈をしなければなりません。本記事では、「フォーマット」の意味とシーンごとの使い方などについてもわかりやすく紹介します。
「フォーマット」の英語は「format」
フォーマットの英語のスペルは「format」ですが、もとは「一定のやり方で作られている書籍」の意味をもつラテン語です。そこから派生し、「本の大きさ」という意味でも使われるようになり、さらに、広い意味で「構成」「型」を指すようになったといわれています。
そして、日本語の「フォーマット」は、英語の「format」が語源ですが、英単語としての意味には次のようなものがあります。
【名詞】
・(本の)体裁
・書式
・(番組などの)進め方、構成
【他動詞】
・(~の)体裁を整える
・書式設定をする
・初期化する
・format a disk for use in the computer
(コンピュータようにディスクを初期化する。)
・format a site for a big screen
(大きな画面向けにサイトの体裁を整える)
・format of proposals
(提案書の書式)
・printer format
(印刷書式)
・time format
(時刻表示形式)
日本語においての「フォーマット」とは
日本でカタカナ用語として使われている「フォーマット」は、「文書の書式」「コンピュータなどの初期化」を指すことが多いです。それでは、それぞれの意味や使い方について詳しく見てみましょう。
フォーマットの意味①「形式」「書式」
ビジネスシーンではさまざまな書類があり、それぞれに決まった書式で作られていますよね。このような「書式」のことを「フォーマット」といい、「ひな形」「形式」とも呼ばれています。
・企画書はフォーマットがあるからゼロから考える必要はないよ。
・社用車の貸し出しは口頭での申請でしたが、車の台数も部署も増えたためフォーマット化することにします。
フォーマットの意味②「書式設定」
Microsoftのword、KingsoftのWriter、GoogleのGoogleドキュメントなどのワープロソフトにおいて、文書や文字の体裁を設定(書式設定)を行うことを「フォーマット」といいます。
・この書類、文字の間隔が広すぎるし、このフォントはちょっとラフすぎるよ。フォーマットし直してもう一度持ってきて。
・この文書、どのフォーマットにしたんですか?
フォーマットの意味③「初期化」
USB、ディスクを書き込みできる状態にしたり、コンピュータのデータをまっさらな状態にする作業を「初期化」といいますが、これを「フォーマット」とも呼びます。コンピュータ用語ではありますが、新しいBlu-rayディスクを入れたときも、書き込みができるよう「フォーマット」が行われるので、IT分野の業務以外でもよく使われます。
・これ、私が持ってたUSBだけど、もういらないからフォーマットして使ってくれる?
・フォーマットしたけど書き込みができない。このディスクは外れだね。
「フォーマットする」とは?
ビジネスシーンにおいて、「フォーマットして」「フォーマットする」と言われたら、多くの場合は「初期化」と思っていいでしょう。手順通りに行えば誰にでも簡単に行えるため、IT担当の人にお願いするケースはまずありません。パソコンを使い、データ保存をする機会がある人は知っておくべき作業だともいえます。
「フォーマット」のやり方
フォーマットは、USB、SDカードなどの記録媒体や、利用しているPC・OSによって異なり、やり方を間違うと使えない場合があるので、手動で行う場合は特に気を付けて進めなければなりません。
フォーマットのやり方①ハードウェア
ハードウェアのフォーマットは、使用しているパソコンの種類やOSで異なります。たとえば、Windows10の場合は、画面左下のスタートをクリックし、「設定→Windows設定→更新とセキュリティ」の手順で進めます。また、Macであれば「MacOSユーティリティ→ディスクユーティリティ」の手順で進めていきます。
しかし、この手順で自力ではわからないという人は、WindowsならMicrosoft、Macならappleの公式サイトで手順を確認して進めるのが一番安全です。
フォーマットのやり方②SDカード
SDカードは、デジタルカメラ、スマートフォン、携帯ゲーム機など、手軽に使える機器によく用いられている記録媒体ですが、SDカードの場合は、新しく書き込めるようにするほか、ファイルシステムの変更をする場合もフォーマットと呼んでおり、「クイックフォーマット」「標準フォーマット」「ローレベルフォーマット」という3つの種類が存在します。
【豆知識】SDカードのファイルシステム
SDカードをフォーマットする際、どの形式で実行すればいいのか明確にはわからない、という人が意外と多いのではないでしょうか。そんな人のために、ちょっとした豆知識として、SDカードのファイルシステムについて簡単にまとめてみました。
【FAT(FAT16)】
フォーマットの種類の中ではとても古いもので、Windows・Macのパソコンで利用可能で、ファイルサイズ、容量上限ともに2GBです。
【FAT32】
FATの上位互換形式で、Windows・Mac・Linuxのパソコン、androidのスマホで利用可能となっており、ファイルサイズ上限は4GB、容量上限は2TBです。
【NTFS】
Windowsパソコン用のフォーマット形式で、Macのパソコンでは読み取りのみ可能です。ファイルサイズ上限はありませんが、容量上限は256TBとなっています。
【HFS+】
Macパソコン用のフォーマット形式でWindowsのパソコンでの読み書きは困難といわれています。ファイルサイズ、容量上限はともに8EB(8,000,000TB)です。
【exFAT】
Windows・Mac・Linuxのパソコンと、SDXCカードの読み書き可能なAndroidのスマホが利用可能です。新しいフォーマット形式なので、この形式でフォーマットされたSDカードはWindows98やWindowXPなどの古いOSでは読み込めません。また、MacのOSでフォーマットした場合はWindowsでは読み込めないので注意が必要です。ファイルサイズは上限なし、容量上限16EB(16,000,000TB)となっています。
フォーマットのやり方③USB
パソコンにUSBを差し込み、ドライブが表示されたのち、Windowsの場合は「右クリック→フォーマット→ファイルシステムを選択→実行」、Macの場合はFinderから「移動→ユーティリティ→ディスクユーティリティ」の順に進み、メニューバーから「表示→すべてのデバイスを表示」の順番で実行していきます。
なお、ファイルシステムについては前項をご参照ください。
「フォーマット」の類語・言い換え
「フォーマット」を日本語で言いかえる場合、IT用語としては「初期化」「データを消す」「ディスクを新しい状態にする」といった表現になりますが、「書式」を示す場合は次のような言葉も使えます。
・ひな形
・様式
・書き方
・レイアウト
・フォーム など
「フォーマット」と「テンプレート」の違い
「テンプレート」には、「型に流し込み同じ形のものを作り出す」という意味があり、同じ文章や定型文が繰り返される状況で使われることが多いです。たとえば、交通費申請書類で、中身を埋め込むだけの形式で作られているものは、「型に流し込む」作業になるので、「テンプレート」ということになります。一方、フォーマットは、ファイル形式やフォントや配列などの「書式」の要素が強いです。
「フォーマット」の意味を理解し正しい作業ができるようにしよう
「フォーマット」は、事務作業を行う場合とITの業務の場合では意味あいが異なります。会話の中で伝わりにくいと判断したときは、類語に言い換えるなど工夫ができるようにしておきましょう。