ランニングコストとは?イニシャルコストやライフサイクルコストとの違いも解説

ランニングコストとは?

ランニングコストの意味は、「運転資金」「設備や装置などを維持していくために必要となる費用」です。

金額の大小は関係なく、何かを維持するために、払い続けなければならない費用のことをいいます。

ランニングコストの例

ランニングコストはビジネス、プライベートを問わずよく使われるカタカナ語です。例として身近なもののランニングコストをみてみましょう。

プリンターのランニングコスト
・用紙、インク、トナーなどの部品や備品代
・電気代
・メンテナンス費用
・レンタルやリースの場合はその費用
住宅のランニングコスト
・水道光熱費
・保全費
・管理費
・修繕費
・火災保険料
・住宅ローン返済
・固定資産税
・都市計画税 など
飲食店のランニングコスト
・食材やドリンクの原価
・人件費
・家賃
・広告宣伝費
・水道光熱費
・消耗品費
・電話、Wi-Fiにかかる費用
・火災保険料
・リース機器の使用料
・設備や建物の保守、点検費
・各種税金
ひとり暮らしのランニングコスト
・家賃
・インターネット、スマホにかかる費用
・食費
・水道光熱費
・日用品費
・医療費
・交通費
・消耗品費
・娯楽、交際費
・その他の費用(洋服、美容代など)

これらのランニングコストは、そのものをやめるまでずっと発生し続けます

始める前のランニングコストの把握が重要

ランニングコストは、毎月や毎年、〇年程度の間隔でのように定期的、またはある程度の期間ごとに継続して発生する費用です。

途中で支払えなくなると、それを維持することができず、せっかく手に入れたものも手放さなければならなくなってしまいます。そのため、何かを購入したいときや始めたいときは、実際にその行動を起こす前に、どの程度のランニングコストが発生するのかを調べ、トータルの金額を計算しておくことが重要です。

見積もったランニングコストを、ある程度余裕をもって支払い続けられるかどうか、しっかり見極めたうえで実行するかどうか決断しましょう。

覚えておきたいランニングコストの関連語

ランニングコストとセットで考えることが多い費用に、イニシャルコストとライフサイクルコストがあります。3つの費用の違いをおさえておきましょう。

ランニングコストとイニシャルコスト

イニシャルコストの意味は、「初期費用」「導入費用」。新しく何かを始めるとき、それを始める準備のためにかかる費用を意味します。ランニングコストの対義語にあたるカタカナ語です。

イニシャルコストの例
・導入する機械や設備の商品価格
・設計費用
・技術開発費用
・運搬費用
・工事代金
・設置費用 など

新しく何かを始めるとき、始まる前に1回だけ発生する費用がイニシャルコストで、始めた後に継続して発生する費用がランニングコストです。

ランニングコストとライフサイクルコスト

ライフサイクルコストの意味は「生涯費用」です。この言葉は、製品や構造物などに対して使います。

そのものを製造する段階にかかる費用、使用中にかかる維持費用、不要になったとき廃棄するためにかかる費用をすべて合わせた費用がライフサイクルコストです。

しかし、廃棄費用を考慮せず、ランニングコストとイニシャルコストを合計した費用をライフサイクルコストとみなす場合も多いです。

コストはトータルで考える

何かを購入するときや始めるときは、イニシャルコストに目が行きがちですが、コストはトータルで考えることが重要です。

イニシャルコストは安いけれどランニングコストが高くつくものと、イニシャルコストは高いけれどランニングコストを安く抑えられるもので、どちらが得なのかは両者のトータルの費用を比較してみなければわかりません。

また、廃棄するために高額な費用が必要なものも少なくないので、何かを導入するときには廃棄にかかるコストも計算に入れておく必要があります。準備段階から廃棄するときまで、全体でどのくらいの費用が必要なのか、しっかり確認したうえで決断することをおすすめします。

ビジネスの先行きを見通すためにも使う

ランニングコストとイニシャルコストを使って、ビジネスとして収支がプラスになるまでにどの程度の期間が必要か予測を立てることもできます。

この計算をするときはまず、ひと月分の売上とランニングコストの差額を出します。この差は、そのビジネスで得られるひと月当たりの利益です。イニシャルコストを求めた利益で割ると、イニシャルコストの回収に何ヶ月かかるか計算できます。

イニシャルコストの回収に時間がかかりすぎると、資金繰りが安定せず、ビジネスを大きくするための新たな資金投入が難しくなってしまいます。そのため、新しいビジネスを始めるときは、短期間で回収できる範囲のイニシャルコストやランニングコストに抑えた、コンパクトな計画を考えることが重要です。

例えば飲食店ならば、3〜5年程度がイニシャルコストの回収期間の目安といわれています。

ランニングコストの使い方・例文

ランニングコストの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
・マイホームの購入後にかかるランニングコストの算出方法を紹介する。
・IHコンロはガスコンロよりもランニングコストが高い。
・この車はイニシャルコストは高いけれど、ランニングコストを抑えられる。
・石油給湯器は、ランニングコストが低いのが魅力だ。

ランニングコストの類語・言い換え表現

ランニングコストの類語は「維持費」「運用コスト」「管理費」です。それぞれの意味や使い方を頭に入れておきましょう。

維持費
【意味】
現状を保つために必要となる費用

【例文】
車の維持費を節約したい。

運用コスト
【意味】
運用のため継続的に発生する費用

【例文】
システムの運用コストを削減する。

管理費
【意味】
管理に必要な費用

【例文】
マンションの管理費が値上げされた。

日本語の類語は、意味を推測しやすいという利点があります。カタカナ語が使いにくいときは、言い換え語として使用してみてください。

ランニングコストは英語だと?

ランニングコストは、そのまま英語に直すと「running cost」と表記されます。

running cost
(機械や施設などの)運転費、維持費

経営や運営に関する話でランニングコストといいたいときは、「running cost」の代わりに「operating cost」と訳される場合もあります。

operating cost
運転コスト、操業コスト、操業費用

伝えたいニュアンスに近い表現を選んで使ってください。

ランニングコストと関連語を区別して使えるようになろう

ランニングコストは、「運転資金」「設備や装置などを維持していくために必要となる費用」を表すカタカナ語です。

意味が似ていて間違いやすい言葉に、「イニシャルコスト」と「ライフサイクルコスト」があります。この3つは何かを購入したり始めたりするべきかどうか、費用の面から検討するときに重要になるものです。

ビジネスだけでなく、プライベートでも使用する身近な言葉です。それぞれの意味をしっかり頭に入れておきましょう。