「ご承知おきください」はどんな意味?目上はNG?言い換えに使用できる類語や英語も解説

「ご承知おきください」とはどんな言葉?

「ご承知おきください」は、「前もってこちらの事情を知っておいてください」という意味です。

類語は、「お含みおきください」「ご了承ください」「ご容赦ください」「ご認識のほどお願いいたします」「何卒お願いいたします」。

英語では、「Please be advised(that)~」「Please note that ~」「We hope you understand that ~」を用いて表現します。

「ご承知おきください」の意味は?

「ご承知おきください」は「ごしょうちおきください」と読みます。

「ご承知おきください」の「承知」は、「事情などを知ること」「依頼・要求などを聞き入れること」「相手の事情などを理解して許すこと」という意味です。

「おき」というのは「しておく」が形を変えたもの。「しておく」は「目的のためにあらかじめ何かをする」という意味です。

この「承知」と「しておいて」が組み合わさって成り立つ「ご承知おきください」は、次のような意味の言葉になります。

ご承知おきください
あらかじめこちらの事情を知っておいてください
・前もってこちらの依頼や要求などを聞き入れてください
・事前にこちらの事情などを理解して許してください

漢字で「ご承知おき下さい」と書いてもいいの?

「ください」は漢字で「下さい」と書く場合もありますが、「ください」と「下さい」の表記は使い分けが必要なので注意しましょう。

「下さい」と書くのは、「水をください」のように、何かを「ちょうだい」といっているときだけです。

「ご承知おきください」は、何かを「ちょうだい」とはいっていませんよね。そのため、漢字で「下さい」とは書かず、「ご承知おきください」とひらがな表記するのが一般的です。

「ご承知おきください」は正しい敬語なの?

「ご承知おきください」は「承知」に接頭語の「ご」をつけ、「~しておく」に「ください(「くれ」の尊敬語)」を足したものです。

接頭語の「ご」は言葉に丁寧な意味合いを加えるもので、相手に関する語につくときは尊敬語、自分に関する語につくときは謙譲語になります。

「ご承知おきください」の場合は、「承知」するのは相手ですよね。だから「ご承知」は尊敬語になります。

尊敬語の「ご承知」に、尊敬語の「ください」を重ねているため、二重敬語のようにも思えますね。

しかし、「ご~ください」はセットで相手の行為や物事、状態などを立てる尊敬語とみなされているので二重敬語ではありません。

MEMO
二重敬語:ひとつの言葉に同じ種類の敬語を2つ以上重ねたもの。丁寧すぎる表現で慇懃無礼にも感じられるため、避けるべき表現

「ご承知おきください」は目上はNG?

「ご承知おきください」は文法上問題のない敬語なのですが、目上の相手に使うのには向きません

その理由は、「承知」の「承」が謙譲語の「承る」に使用される漢字であるため、「承知」も謙譲語になり、目上の相手には失礼だと考える人がいるからです。

また、「承る」は、上位者から命令などを受けて、「いただく」というニュアンスをもっている言葉でもあります。「承」の字を目上の相手に対して使うのは、目上の相手を下位者のように扱っているとも受け取れるので、「ご承知おきください」は目上の相手には向かない表現であると考えられています。

取引先の相手やお客様、上司などには使用しないように気をつけてください。

「ご承知おきください」の使い方を学ぼう

「ご承知おきください」は目上には不向きですが、自分の同僚や部下に対しても、丁寧な表現が使えると周囲の印象はよくなります。「ご承知おきください」の使い方を例文で確認してみましょう。

例文
・今後の進捗状況によっては日程変更する場合もありますので、あらかじめご承知おきください
・来週一週間は出張のため、連絡がつきにくくなります。くれぐれもご承知おきください
・今週末は漏電検査が入るため、全部署休日出勤ができません。その旨ご承知おきください
・4月から社員出入口が変更になります。どうかご承知おきください
・機密情報管理に関するルールの改訂を行いました。各自詳細を確認のうえ、ご承知おきくださいますようお願い申し上げます。

「ご承知おきください」の類語・言い換え表現

「ご承知おきください」は、「お含みおきください」「ご了承ください」「ご容赦ください」「ご認識のほどお願いいたします」「何卒お願いいたします」などに言い換えできます。

それぞれの類語の意味や使い方を紹介します。

お含みおきください

「お含みおきください」の意味は、「心に留めておいてください」。強く心に留め、そのことを踏まえた対応をしてほしいとお願いしたいときに使われます。

「含みおく」を尊敬語にしたもので、目上の相手にも使用できる表現です。

例文
定員になり次第、予約受付を終了させていただきますのでお含みおきください。

ご了承ください

「ご了承ください」の意味は、「私のいうことを理解し、承諾してください」。

一方的な印象が強いので、目上の相手に使うには向かない敬語です。

もし使用するならば、「ご了承のほどお願い申し上げます」のように、より丁寧な言い回しに変えて用いることをおすすめします。

例文
混雑時には相席をお願いする場合がございます。ご了承のほどお願い申し上げます。

ご容赦ください

「ご容赦ください」は、「許してください」という意味。

相手に迷惑をかけるかもしれないときや、相手の要望に沿えないかもしれない場合に、あらかじめ謝罪しておく言葉です。

例文
商品は余裕をもってご用意しておりますが、万が一品切れの際には何卒ご容赦ください。

ご認識のほどお願いいたします

「ご認識のほどお願いいたします」は、「ある物事を知り、理解してください」という意味の表現です。

例文
お取り置き期間は2週間です。期限内にお引き取りいただけなかった場合には、キャンセルの扱いにさせていただきますことをご認識のほどお願いいたします。

何卒お願いいたします

「何卒(なにとぞ)お願いいたします」の「何卒」は、「どうぞ。どうか」という意味で、相手に強くお願いする気持ちを表す言葉です。

お願いの程度を強めたいときに「何卒お願いいたします」が使われます。

例文
感染症対策へのご協力を何卒お願いいたします。

「ご承知おきください」は英語ではどう表す?

英語で「ご承知おきください」といいたいときには、次の表現が使えます。

Please be advised(that)~:~であることを知らせるので知っておいてください
Please kindly note that ~:〜についてご了承ください
We hope you understand that ~:~についてご理解いただけることを願っています

「Please be advised(that)~」の「advise」は「忠告する」や「勧める」の意味で使うことが多いですが、この場合は「通知する」「知らせる」という意味になります。

「Please kindly note that ~」の「Please kindly ~」は、「どうか~していただきますよう」と、とても丁寧にお願いする言い方です。「note」は動詞だと、「書き留める」や「注意して心に留める」「気づく」という意味になり、この場合は「注意して心に留める」の意味で使います。

「We hope you understand that ~」の「hope」は「望む」、「understand」は「理解する」という意味です。

「ご承知おきください」は相手を選んで使おう

「ご承知おきください」は目上の相手には向かない敬語です。間違って取引先の人やお客様、上司などに使うと失礼な物言いになってしまうので注意してください。

でも、「ご承知おきください」は、自分の同僚や部下に対して用いるにはピッタリな表現です。ほどよく丁寧で自分の要求もしっかり伝えることができるため、ビジネスメールなどでもよく使用されています。

「ご承知おきください」は、相手を選んで上手に使うようにしましょう。