「ご承知」の意味とは?「ご承知おきください」は目上の人に使える?言い換え、英語も紹介

「ご承知」とは「事情などを知って欲しい」という意味の敬語表現

「ご承知」とは、「事情を知っておいてください」とお願いする際に使う敬語表現です。しかし、「ご承知」は単独ではあまり使わず、「~おきください」「~の通り」など、いろいろな言葉と組み合わせて使うことが多いです。

そして、それぞれに意味があるため、シーンごとの使い方も覚えておきたいものです。本記事では、「ご承知」の意味や使い方のほか、言い換え表現、英語についてもわかりやすく解説します。

「ご承知」の読み方・意味

「ご承知(ごしょうち)」は、「承知」に「ご」をつけた敬語表現です。まずは「承知」の意味を確認しておきましょう。

「承知」の意味
・事情などを知ること。または、知っていること。
・依頼や要求などを聞き入れること。
・相手の事情などを理解して許すこと。

「ご承知おきください」の使い方は間違い?

「ご承知」を使ったフレーズでまっさきに思いつくのは「ご承知おきください」ではないでしょうか。このフレーズは、「事情などを前もって知っておいてください」「理解しておいてください」という意味です。

「ご〇〇」の形式で敬語となっており、「ご承知ください」よりは丁寧ですが、上から目線に聞こえてしまうため、目上の人や取引先の人あての文書に使うのは不適切です

社内での通達文などの事務的な文書では問題ないので、宛先を考慮して使うようにしましょう。

例文
来週一週間、第一会議室が使えなくなります。みなさまご承知おきください

「ご承知」の使い方・例文

「ご承知おきください」のほかにも「ご承知」を使った言葉があるので使い方も含めてチェックしておきましょう。

ご承知いただき

「ご~いただく」は、相手の行為に対して敬意を示す表現で、「ご承知いただく」は、相手が承知することに敬意を示す言葉となります。
文章の中では、「事情を知っていただきたいと思っています」という意味で、次のフレーズがよく使われます。

例文
ご承知いただきたく存じます。

ご承知の通り

「~の通り」は、「~のように」を意味する言葉で、「ご承知の通り」は「事情を知っているように」を丁寧にした表現です。ただし、「ご承知おきの通り」という表現はしないので間違わないようにしましょう。

例文
ご承知の通り、弊社の第一工場が火災のため閉鎖されております。しかし、他の工場を使用しての生産が可能となっているため、現在の受注数量はクリアできる見込みです。

ただし、「ご承知おきください」と同じように、取引先や目上の人に対して使うのは好ましくないとされているので注意しましょう。

「ご承知」のNGな使い方

「ご承知」はさまざまな言葉と組み合わせて使われていますが、中には間違った使い方をしている人もいます

ご承知のほどよろしくお願いいたします

「~のほど」には、「~してくれるよう」「~してくれるよう」の意味をもつ言葉です。「ご了承のほどよろしくお願いいたします」というフレーズがあるため、同じように使う人がいますが、「ご承知のほどよろしくお願いいたします」は正しい表現とはいえません

また、「お願い」という言葉を使った以下の表現をしているのもよくみかけますが、正しいフレーズではないので覚えておいてください。

・ご承知おき願います
・ご承知のほどよろしくお願いいたします

ご承知おきいただけますと幸いです

「幸いです」は、「できればやってくれると嬉しいです」といったニュアンスの言葉です。一見丁寧にお願いしている形のように感じますが、「知っておいてもらいたい」という意思をもつ「ご承知」の意味をあいまいにしてしまいます

「ご承知」の類語・言い換え表現

「ご承知」の類語として、「ご存じ」「ご理解」などがあります。意味とともに例文も紹介しておくので確認してみましょう。

ご存じ

相手が「知っている」「心得ている」ことを表現する言葉で、「ご承知」の言い換え表現として使えます。ただし、「ご存じ」は取引先の人や目上の人にも使えるといったところで違いがあります。

ご存じ
内容についてはご存じかと思いますが、念のため資料をお渡ししておきます。

ご理解

相手に「理解してほしい」「わかってほしい」ときに使う言葉ですが、「ご承知」と同じく目上の人に対しては失礼になります。

例文
〇月〇日~〇〇日までこのエレベーターは使えません。ご理解ご協力のほどお願いいたします。

「ご承知おきください」の言い換え表現

「ご承知おきください」というニュアンスで、取引先や目上の人に伝えたい場合があると思います。そのようなときは次のフレーズへの言い換えが可能です。

お含みおきください

「含みおく」とは「物事を理解し、心にとどめておく」という意味なので、「お含みおきください」は、目上の人にも使える敬語表現となります。ただし、口語ではなく、主にメールなどの文書の中で使われます

また、「お願い申し上げます」をつけるとさらに丁寧な表現になるので覚えておきましょう。

例文
私事で申し訳ございませんが、明日から3日間、母親の介護のため休暇をとらせていただくことをお含みおきくださいますようお願い申し上げます。

ご了承ください

「了承(りょうしょう)」には、「納得して理解する」という意味があり、「ご了承ください」で「納得して理解してください」の意味をもつ言葉です。ただし、「~ください」よりも「~願います」や「~のほどお願い申し上げます」のほうがより丁寧な表現になります。

例文
〇月〇日は棚卸作業のため、全館休業となります。なにとぞご了承のほどお願い申し上げます

ご容赦ください

「ご容赦ください(ごようしゃください)」は、自身に何らかの非がある場合に、「お許しください」とお詫びの気持ちを表現する言葉です。

例文
〇〇様に確認をとらせていただいたとおり、打ち合わせは〇月〇日に変更となりました。急で申し訳ございませんが、なにとぞご容赦くださいますようよろしくお願い申し上げます。

「ご承知」の英語表現

英語で「ご承知おきください」や「ご承知の通り」を表現する場合は、次の言葉が使えます。

【ご承知おきください】
I kindly ask for your understanding.
【ご承知の通り失敗しました。】
As you know, I failed.

「ご承知」の意味を理解し正しく使おう!

「ご承知」はビジネスシーンではよく使われている言葉ですが、間違った使い方をしていることも多いです。言い換え表現なども一緒に理解し、状況に応じて正しく使いこなせるようにしましょう