トレードオフとはどんな言葉?
トレードオフの意味は「両立できない関係性」です。
カタカナ語にトレードオフを言い換えできる類語はありません。しかし、日本語なら「一得一失」「彼方を立てれば此方が立たず」を言い換え語として使用できます。
トレードオフを英語で表すときには、「trade-off」を使ってください。
トレードオフについて、もっとくわしくみていきましょう。
トレードオフの意味は?
トレードオフは、次の意味で使われています。
両立できない関係性は、何かを得たり達成したりするために別の何かを犠牲にしなければならない関係性のこと。
片方が得をすると、もう一方は損をしてしまうのがトレードオフです。
ビジネスだけでなく、政治・経済や生物学でも使用されています。
トレードオフの関係の例
トレードオフになっている関係には、次のようなものがあります。
・「軽量化」と「強度」
・「バリバリ仕事をしたい」と「育児に専念したい」
・「福祉の充実」と「減税」
・「新型コロナ対策」と「経済活動」
・「公的支援の素早い支給」と「不正受給の排除」
3つのものでのトレードオフ
3つのものでトレードオフの関係が考えられることもあります。3つの場合は選べるのは2つまでで、ひとつは犠牲にするしかありません。
例えば、「甘いものを食べたい」「たくさん食べたい」「痩せたい」の3つの希望があった場合は、次の3択になります。
②甘いものを少し食べるので我慢して痩せる
③甘いものをたくさん食べて、痩せるのは諦める
「少ない資金で済ませたい」「優れた研究成果を出したい」「結果を早急に出したい」の3つの希望があるときには、次の3択から自分にとって一番いい選択肢を選びます。
②資金も時間も限られている条件で、可能になる範囲の成果で妥協する
③金に糸目をつけずに一気に研究を進め、優れた成果を出す
トレードオフの英語
トレードオフを英訳するときには、「trade-off」という名詞を使います。
・両立しないものの間の妥協点、代償
・一方を立てると他方が立たないこと、矛盾、二律背反(にりつはいはん)
「trade-off」とカタカナ語のトレードオフは、同じニュアンスで使われていることがわかりますね。
小売業でのトレードオフ
小売業でのトレードオフは、商品開発でその商品にどの程度の品質があればいいか、必要とされる最低限の品質を見定め、商品の仕様の中から過剰な機能や無駄に高すぎる品質を落として妥当な品質を決める手法のこと。
高品質になれば当然価格は高くなります。
商品開発ではいいものを作ろうとして、過剰に高品質な商品が考えられがちです。しかし消費者が買いたいと思う売値にでなければ、買ってはもらえません。トレードオフは、購入してもらえる商品を開発するために、品質と売値のバランスを取る目的で行われます。
商品の妥当な品質と、消費者が買いたいと感じる妥当な「売値」を決定して、それをもとに商品の仕様書を作成し発注することをトレードオフという場合もあります。
トレードオフの乗り越え方
トレードオフに直面してしまったら、次の3つの考え方で乗り越える方法を探ります。
②小売業でのトレードオフのように、両者のバランスを取れるところがないか妥協点を探す
③新技術や第3の要素を投入して、両方捨てなくてもいい方法を考えだす
③の場合は、次のように新たな条件を組み込んで解決策を考えていきます。
・「商品の品質」と「価格」のトレードオフを、セルフサービスを導入して人件費を削ることで解決
トレードオフの使い方を例文で学ぼう
トレードオフの意味がわかったら、次は言葉としての使い方を例文でイメージしましょう。
・スリム化とトレードオフになっているのが収納力だ。
・消費電力と性能はトレードオフの関係がある。
・セキュリティと便利さのトレードオフがある。
トレードオフの日本語での類語・言い換え
カタカナ語にトレードオフを言い換えできる類語はありません。言い換えしたいときには、日本語の「一得一失」や「彼方を立てれば此方が立たず」を用いてください。
一得一失
「一得一失(いっとくいっしつ)」は、「片方には利益があり、もう片方には損失があること」。
物事にはいい面もあれば悪い面もあり、いいことばかりの完全なものは滅多にないことのたとえです。
彼方を立てれば此方が立たず
「彼方を立てれば此方が立たず(あちらをたてればこちらがたたず)」は、両者を納得させたり、喜ばせたりできるようにバランスをとるのは難しいという意味のことわざです。
トレードオフスライダーとは
トレードオフスライダーとは、プロジェクトにおいて重要になる4つの要素、「スコープ」「予算」「時間」「品質」に優先順位をつけて見える化した図のこと。
予算:予算内に収めること
時間:期間厳守
品質:品質の高さ
プロジェクトの途中で、要望の追加など不測の事態が起こったときには、トレードオフスライダーをもとに計画を調整していく必要があります。
要望の追加があった場合、トレードオフスライダーをもとに例えば、次のような調整方法を考えることができます。
・期限は伸ばせないから、要望を実現させるために予算を追加する
・予算と期限は変えられないため、追加された要望の代わりに妥協する要望を選ぶ
プロジェクト開始前には、関係者とトレードオフスライダーを話し合って決めておくことが重要です。
トレードオフを乗り越えるにはどうしたらいいかを考えよう
ビジネスも人生もトレードオフの連続です。
力技で全部を無理に取ろうとして自滅するわけにはいかないですよね。どうにかして、トレードオフを乗り越える方法を考える必要があります。
両者が妥協できるぎりぎりのラインを探すか、思い切ってどちらかを切り捨てるか、両取りできるミラクルなアイディアを考え出すか。
普段の生活やビジネスを通して、実現可能で最善の方法を考える訓練をしていきましょう。