キュレーターとはどんな職業?意味や使い方、なるにはどうしたらいいのかも解説

キュレーターとはどんな言葉?

キュレーターの意味は「美術館や博物館などの文化施設で働く専門職」。ただし、言葉の使われ方によってキュレーターの仕事範囲が異なる場合があります。また、違う分野では別の意味でも使われています。

キュレーターを言い換えできる類語には、「学芸員」や「ライター」があります。

キュレーターを英語で表すときには、「curator」を使ってください。

キュレーターの意味とは?

キュレーターは美術館や博物館などの、資料を蓄積している文化施設で働く専門職を指す言葉です。

次の2つの意味で使われます。

キュレーター
学芸員とイコール。博物館・美術館・天文台・科学館・動物園・水族館・植物園などの施設で資料の収集、調査、研究、分類、保存、管理、展示普及、案内などの専門的な業務を行う専門職。またはその国家資格
②展覧会の企画、構成、運営などを担当する専門職

日本の美術館や博物館の話でキュレーターといった場合は、一般的に①の意味になります。

海外の美術館や博物館の話でキュレーターといった場合は、②の意味になる場合が多いです。

日本と海外のキュレーターの違い

日本では学芸員(キュレーター)が、研究業務のほかに一般の人に向けた教育活動、標本作成や保存処理など特殊技能を必要とする業務、館内の日常の雑務など、幅広く何でも担当しています。

一方、欧米では博物館や美術館での分業化が進んでいる国が多く、キュレーターも担当する仕事範囲が限定されています。専門知識を活かして展覧会を立案し、関係する職員をマネジメントし、展覧会を運営するプロジェクトの管理者が欧米でのキュレーターです。

また、日本では学芸員の国家資格を持っていて、博物館や美術館で働いている人は階級や役職に関わらず学芸員(キュレーター)を名乗れます。それに対して欧米では、展覧会をマネジメントできる能力を持つと認められている、館内の地位の高い人をキュレーターと呼ぶ場合が多いです。

キュレーターになるには

日本で学芸員(キュレーター)になるには、学芸員資格を取得し、美術館や博物館などの施設に学芸員として採用されなければなりません。

最初の関門の学芸員資格を取得するには、次の3つの方法があります。

①大学で「文部科学省令の定める博物館に関する科目」を履修して必要単位を取得し、卒業して学士の学位を取得する
②大学に2年以上在学し、「文部科学省令の定める博物館に関する科目」を含めた62単位以上を取得し、さらに学芸員補として3年経験を積む
③文部科学省が実施する「学芸員資格認定」試験を受験し、合格する

学芸員資格を取得しても、学芸員(キュレーター)の求人は少なく、就職に至るには運も必要といわれるほどの狭き門です。少しでも確率を上げるため、レベルの高い大学で学ぶなど、十分な専門知識を身に着けておくことをおすすめします。

MEMO
学芸員補:学芸員を補助する役割の人。学校教育法で、「大学に入学することのできる者」と定められている人が、博物館法に定められた博物館の採用試験に合格すれば学芸員補になれる

キュレーターは「選択・編集する人」の意味でも使われている

キュレーターは、近年になって「選択・編集する人」の意味でも使われるようになりました。

美術館や博物館などの文化施設で働く専門職のキュレーターが、専門知識を展示を通して発信していくところからニュアンスが広がって、このような使われ方がされるようになったといわれています。

情報分野でのキュレーター

情報分野でのキュレーターは、特定の視点から情報を収集、選別し、一般の人に対して発信している人を意味します。

例えば、テレビのワイドショーで難しいニュースを視聴者にわかりやすく解説してくれる池上彰さんは、有名なキュレーターのひとり。キュレーターは、数多の情報のなかからこれだけは知っておいて欲しいという重要な事柄を厳選し、それを専門的な知識がない人にもわかるようにかみ砕いて伝える能力が必要です。

Web業界でのキュレーター

Web業界では、まとめサイトやニュースサイトなどのメディアで情報を発信する人を、キュレーターと呼んでいます。

スマホが普及し、知りたい情報をネットで調べようとする個人が増えていますよね。また、ネットが発達したことで、テレビの池上彰さんのような情報発信を、インターネット上ならば大手メディアでなくても簡単にできるようになりました。Web業界のキュレーターは、この2つの事情がうまく組み合わさって誕生したといわれています。

ファッション、美容、グルメ、エンタメ、ニュースなどいろいろなジャンルを扱うサイトで、記事を書くキュレーターの求人が出されています。なりたい人は応募してみてください。

音楽でのキュレーター

音楽でのキュレーターは、特定のテーマに沿って曲を選びプレイリストを作る人です。

インターネットを活用した音楽ストリーミングサービスが一般的になったことで、シーンや好みなどに合わせたプレイリストを作成する、キュレーターの需要が増えています。

キュレーターは英語だと?

キュレーターを英訳するときには、「curator」という英単語を使います。

curator
・博物館や美術館などの専門的な知識をもつ館長、主事、管理者、専門職員、学芸員
・動物園などの園長
・必要な情報をたくさんの情報源から収集、整理、要約、公開する人

「curator」はカタカナ語のキュレーターと同じく、「インターネット上の情報を選択・編集する人」という意味でも使用されています。

キュレーターの使い方を例文で学ぼう

キュレーターは複数の意味があり、文脈によって表すものが違っていましたよね。分野ごとにどのような使い方がされるのか、例文でイメージしてみましょう。

美術館や博物館関係の例文
月替わりで12人のキュレーターの趣旨に沿った作品を展示する、企画展が開催される。
情報分野の例文
各分野で活躍する著名人をキュレーターに迎えた、新しい朝の番組を企画する。
Web業界の例文
新規サイトを立ち上げるにあたって、キュレーターを募集する。
音楽の例文
キュレーターによるオリジナルプレイリストが人気を集めている。

キュレーターの類語・言い換え

日本では美術館や博物館などでの専門職の意味のキュレーターは、学芸員と呼ばれるケースが多いです。

また、Web業界でのキュレーターは「ライター」に言い換えられる場合もあります。

例文
・子どもたちに学芸員の業務を体験してもらう夏休みイベントを企画した。
・ファッション系メディアのライターの求人に応募した。

キュレーターの意味はひとつではない

キュレーターはいろいろな業界で、それぞれ異なる職種の人を指す言葉として使われています。

業界ごとの意味を把握しておかないと、「キュレーターをしています」といわれても、その人がどんな職業の人なのかわかりませんよね。

混乱しないように、どんな仕事なのか簡単にでもいいので頭に入れておきましょう。