「ネック」とは「首」「物事の進行の障害」のこと
「ネック」には「衣類の首回りの部分」「物の首のような部分」「物事の進行の障害」など、分野ごとにさまざまな意味があるカタカナ用語ですが、ほとんどの人が日本語と同じように会話に取り入れています。
しかし、「ネック」の意味を考えながら使っている人は少ないのではないでしょうか。本記事では、分野ごとの意味や使い方のほか、類語、言い換え表現、英語表現についてもわかりやすく解説します。
「ネック」の英語は何を表すかで異なる
「ネック」を英語で表現する場合、「衣類の首周りの部分」「物の首のような部分」「物事の進行の障害」のどれにあたるのかで使う単語が異なります。
・首(体の一部)=neck
・洋服などの襟ぐり=neckline
・物事の進行の障害=bottleneck
英文の中でどのように使われるのかもチェックしておきましょう。
・My neck hurts.
(首が痛くなる)
・A shirt with a wide neckline.
(襟ぐりの広いシャツ)
・Lack of engineers is the biggest bottleneck to our growth.
(技術者の不足は、当社の成長にとって最大のネックである。)
日本語においての「ネック」とは
英語では何を表すのかで、単語が異なりましたが、日本語においては、「ネック」一語でいろいろなものを指します。ここでは、分野ごとの意味だけでなく、会話でどのような使い方をするのかも紹介しておきます。
体の「首」
英語の「ネック=neck」と同じく、体の一部である「首」を意味するネックです。洋服の首の部分、襟ぐりも「ネック」で表します。そのほか、首にかけて使うものや、首もとのアクセサリーなどは「ネック〇〇」という名前がつけられることが多いです。
【例】
・ネックウォーマー(首の温めるアイテム)
・ネックレス(首飾り)
・ネッククーラー(首にかけて使う冷却アイテム)
・ネックスピーカー(首にかけられるスピーカー)
・このセーターのネックは、私には窮屈すぎる。
物の「首」
ある物の「首」のような部分にあたる場合にも「ネック」が使われます。たとえば、楽器のギターを例にすると、音を変えるために抑える細い部分が「ネック」にあたります。
物事の進行の障害
ビジネスシーンや日常生活においてのネックとは、多くの場合、「障害」の意味で使われています。
・生産スピードが上がらないことがネックになって売上が落ちているのではないか?
・ボーナスが出ないということがネックになり、この会社はあきらめた。
・いつも会議時間が予定より大幅に延びているのは、事前準備をせずに参加する専務がネックになっていると、誰もが感じている。
ネックに感じる
日本では、「ネック=障害」の使い方が多いですが、首は体でも重要な部分ということもあり、「重要な部分」を指す場合もあります。
「ボトルネック」を使う業界・意味
ビジネスシーンにおいての「ネック」の多くは「障害」を意味しており、英語では「neck」ではなく「bottleneck」で表すことは前述しました。そして、日本でも、ネックではなく「ボトルネック」を使う業界があります。
道路交通業界
道路交通の世界においては、事故多発地帯、通勤ラッシュ時に渋滞が起こりやすい地点など、「流動的な交通障害が起こること」を「ボトルネック」といいます。
ファッション業界
主に、ニット素材の服にある形状で、首の部分が瓶の口のように細くなっており、首に沿って立ち上げた状態で着用するようなデザインを「ボトルネック」いいます。首元が少し空く程度の長さなのが特徴です。なお、二つに折り返して着用するタイプは「タートルネック」といいます。
【豆知識】ネックの種類
服の首回りの形状は、ボトルネックやタートルネックのほかにもこんな種類が存在します。ぜひ、ネットで探す際の参考にしてみてください。
【ハイネック】
首に沿って肌を覆うデザインで、ボトルネックと違い、肌が見えないくらいの長さがあるのが特徴です。タートルネックのような折り返せる長さはありません。
【ラウンドネック】
日本語では「丸首」と呼ばれているデザインで、首周りが丸く開いているのが特徴です。
【Vネック】
首回りがV字にカットされているデザインをいいます。
【オフネック】
ハイネックやボトルネックのような首回りの立ち上がりがあるものの、首には沿っておらず、ゆったりとしたデザインをいいます。
通信業界
パソコン処理やネットワーク上において、特定の部分に負荷がかかり、本来の処理速度よりも遅くなってしまう部分を「ボトルネック」といいます。
「ネック」の類語・言い換え
体の一部を表す「ネック」は「首」や「首の部分」など、「首」を使って言い換え、物の首のような部分はそのまま「ネック」と表現するのが一般的です。しかし、「障害」を指す「ネック」は次の言葉への言い換えが可能です。
・負担になる
・邪魔をする
・足を引っ張る
・立ちふさがる
・逆風になる など
多くの言い換え表現がありますが、「障害となっている」「邪魔をしている」というニュアンスの言葉があてはまります。
・作業工程が多すぎるのがネックになり数が上がらない。
・作業工程が多すぎるのが負担になって数が上がらない。
・下請け工場からの入荷遅延がネックになり、今週の生産ラインがストップしそうだ。
・下請け工場からの入荷遅延が足を引っ張り、今週の生産ラインがストップしそうだ。
分野ごとの「ネック」を正しく理解しよう
「ネック」は、物を表したり、状態を表したりと、さまざまな分野でいろんな使い方がされています。場合によっては「ボトルネック」のほうが適していることもあるので、言葉の意味や正しい使い方をきちんと覚えておくようにしましょう。