「かねてから」とはどんな言葉?
「かねてから」の意味は、「以前から」「前もって」「あらかじめ」「事前に」です。
言い換えできる類語は、「かねてより」「かねて」「以前から」「前々から」。
「かねてから」を英語で表すときは、現在完了の「have」に、「since」または「for」を組み合わせた表現を使ってください。
「かねてから」とはどんな意味?
「かねてから」は次の意味をもつ言葉です。
・あらかじめ
・以前から
・事前に
「かねてから」は、過去のある時点に経験したり認識した事柄が、現在まで継続していることを強調する言葉です。
「予てから」 とは
「かねてから」は、漢字だと「予てから」と書きます。
「予」は次の意味をもつ漢字です。
②心地よくなる
③ためらう。ぐずぐずする
④「伊予(いよ)の国」の略
⑤われ。私。自称の代名詞
⑥品物をあたえる
「予てから」は、このうちの「①あらかじめ。かねて。前もって」の意味で「予」を使って、「かねてから」の意味を表しています。
「兼ねてから」 とは
「かねてから」は、「兼ねてから」と書かれる場合もあります。
「兼ねてから」は、古語の「兼ぬ」に接続助詞の「て」をつけた「兼ねて」に、「から」を加えた言葉です。
・予期する。予測する。前もって心配する
・一定の区域にわたる。あわせる
「兼ぬ」の「予期する」や「予測する」の意味から、「兼ねて」は次のような意味をもつ言葉になりました。
・以前に。前に。かつて
ただし、「兼」は「兼ねる」と書くと「ひとつで2つ以上の働きをする」という意味を表し、「兼ねて」もこのニュアンスで使われることが多いため、意味が紛らわしくなってしまいます。
そのため、「かねてから」を「兼ねてから」と表記するのは間違いではありませんが、あまり一般的でなく、漢字で書くときは「予てから」を用いることのほうが多いです。
「かねてから」は重複語?
重複語は、「馬から落馬する」のように同じ意味の言葉が重なった表現で、誤用と見なされることが多いです。
「兼ねてから」の見出しの「兼ねて」の意味でも紹介しましたが、「かねてから」の「かねて」は「以前から」の意味をもっています。
「から」は動作や作用の起点を表す言葉で、「以前から」のニュアンスでも使われます。
「かねてから」は、「かねて」の意味の「以前から」と、「から」で表される「以前から」のニュアンスがダブっているので重複語になります。
ただし、「かねてから」は日本語に定着している表現のため、間違いとはみなされず使うことが許容されています。
「かねてから」の使い方を例文で学ぼう
「かねてから」の意味がわかったら、次は言葉としての使い方を例文でイメージしてみましょう。
・かねてから交流のあるデザイナーとコラボして新商品を開発した。
・この問題はかねてからの懸案事項だった。
・かねてからの願いがようやくかなった。
・かねてからのお客様を大事にしたサービスを展開する。
例文に出てきた「かねてからの願い」とは、以前から抱いていた願いのことです。「かねてから」が使える期間に定めはないため、それが何年前からのことでも覚えている範囲の期間なら使用できます。
「かねてから」の類語・言い換え表現
「かねてから」は、「かねてより」「かねて」「以前から」「前々から」に言い換えできます。これらの言葉は「かねてから」と同じような意味をもっており、同様に使用可能です。
それぞれの使い方もおさえておきましょう。
・こちらの店では、かねて通常のマリトッツォを販売しているが、変わり種の新商品も発売されることになった。
・以前から敬愛している先輩の相棒に抜擢された。
・前々から計画していたことだが、新型コロナの影響で変更せざるを得なくなった。
「かねてから」は英語だと?
現在完了の「have」と、「since」または「for」を使った次のような表現を組み合わせると、「かねてから」を英訳できます。
since a while ago:しばらく前から
since a long time ago:昔から
for a long time:長い間
for a while:しばらくの間
for some time:しばらくの間
for years:長年
for ages:何年もの間
「since」と「for」のどちらを用いても、「かねてから」のニュアンスを表すことができます。
しかし、ネイティブの人は現在完了の「have」と、「for」を使った言い方を組み合わせて、「I’ve been ~ for quite a while.」などのように「かねてから」を表現するケースのほうが多いです。
「かねてから」は状況を見て判断して使おう
「かねてから」は、日本語として使うことが認められている表現ですが、言葉に厳しい人にとっては間違った言葉づかいに聞こえてしまう場合があります。
「かねてから」を使用するときは相手をみて判断し、紹介した類語とうまく使い分けしていきましょう。