「ファイナンス」には金融に関する3つの意味がある
「ファイナンス」という言葉を耳にすると、金融に関することだということは想像するものの、明確な意味を認識している人ばかりではないでしょう。「ファイナンス」とは、「資金」「財政」「金融」と、大きくわけて3つの意味があります。
本記事では、「ファイナンス」の詳しい意味や使い方のほか、言葉の由来、英語表現、類語、関連語などについてもわかりやすく解説します。
「ファイナンス」の英語は「finance」
「ファイナンス」は英語で「finance」と表記し、日本とほぼ同じ意味で使われています。
【名詞】
・財政学
・金融学
・財務
・資金管理
・財源
・融資
・供給
【他動詞】
・(資金を)融資する
・掛け売りする
熟語や文章ではこのように使います。
・finance~oneself
(~を自分で稼ぐ)
・finance a new company
(新しい会社の資金を調達する)
・finance a real estate investment
(不動産投資資金を調達する)
・I have a job in finance.
(私はファイナンス関連の仕事をしています。)
「ファイナンス」の由来
英語の「finance」の語源は、中世のフランス語で「支払う」「終わる」を意味する「finer」だとされています。なにかの終わりには「支払い」「精算」が発生することもあり、「fine」に「ance」がついた「finance」という金融を意味する単語が生まれました。
日本語においての「ファイナンス」とは
日本語として使われている「ファイナンス」は、広い意味では「金融関係」ですが、細かく分類すると「財源・資金」「財政・財政学」「金融・融資・資金調達」の3つの意味に分類されます。
①「財源・資金」の意味のファイナンス
「財源」は「支出の出どころ」、「資金」は「何かをするために必要になるお金」を意味します。つまり、お金そのものと、そのお金の出どころを指し「ファイナンス」と呼んでいます。
・急な仕様変更で試作をしなければならないので、開発用のファイナンスから貸していただけないでしょうか。
②「財政・財務」の意味のファイナンス
「財政」は、企業や家庭内においては「経済状態」、国や地方自治体においては事業を行うための、収入や支出を行う「経済行為」を指します。また、「財務」は、法人において、「資産や収支の管理」を指します。
つまり、この分野では「お金の管理」を「ファイナンス」と呼んでいるわけです。
・部内資金が足りない?先月も足りなかったよね?もっときちんとファイナンスしてくれないと困るよ。
・Aくんがファイナンスしてくれるようになってから黒字が続いている。
③「金融・融資・資金調達」の意味のファイナンス
「金融」とは、資金が必要な人へのお金の供給、「資金調達」は言葉のとおり、必要な資金を調達することを指します。つまり、「お金の供給・調達」がこの分野での「ファイナンス」になります。
・事務棟と工場を同じ敷地内に建設するための土地の目途はたったみたいだがファイナンスは出来ているのかね?
「ファイナンス」の類語・言い換え
「ファイナンス」の言い換えとして使えるものはいろいろありますが、「財源・資金」「財政・財務」「金融・融資・資金調達」のどれを指すのかで選ぶ言葉が異なります。
【財源・資金】
一般財源、新規財源など、「〇〇財源」や、「〇〇資金」という言葉がよく使われています。
【財政・財務】
国家財政、政策財政、保険財政などがあります。
【金融・融資・資金調達】
住宅金融、消費者金融、不動産金融など、供給する分野の名前をつけた「〇〇金融」という言葉がよく使われます。
「ファイナンス」の関連語
「ファイナンス」には、「ファイナンス〇〇」「〇〇ファイナンス」という金融に関連する言葉がいくつか存在します。ここでは4つをピックアップして紹介します。
エクティファイナンス
「エクティ」は、純資産から負債を引いた「純資産」を指します。そして、「エクティファイナンス」とは、新株の公募、株主割り当てなどの発行により資金を調達する方法のことをいいます。
純資産(自己資本)を増やせるのが特徴ですが、調達資金の返済は必要ありません。ただし、配当金など、株主の資本コストは必要になります。
デッドファイナンス
金融分野での「デッド」は「負債」を指します。そして「デッドファイナンス」とは、銀行からの借入や社債の発行などで資金を調達する方法のことをいいます。この調達方法には金利や返済義務も発生します。
パブリックファイナンス
「パブリック」は、「公的な」という意味で、「パブリックファイナンス」は公的な資金調達を指す言葉です。主に、地方自治体が外部から調達する資金を指しています。
ファイナンス会社
クレジット、ローン、保険など、さまざまな金融商品を取り扱い会社を「ファイナンス会社」といいます。
【企業例】
NTTファイナンス
トヨタファイナンス
SMBCファイナンスサービス
ヤマトクレジットファイナンス
オリックス
三菱UFJリース
JA三井リース
東京センチュリー
NECキャピタルソリューション など
「ファイナンス」と「アカウンティング」の違い
「アカウンティング」を日本語で表現すると「会計」で、現時点のお金ではなく、過去のお金の動きを管理することが主な目的です。そのため、損益計算書、貸借対照表、決算書など、お金の動きを示す帳票の作成は「アカウンティング」の業務といえます。
一方、「ファイナンス」は、資金調達や供給など、現在から未来のお金に関する行動を指します。
金融の仕事をするなら「ファイナンス」の意味を理解しておこう
「ファイナンスの仕事をしたい」と思う人は多いかもしれません。しかし、ひとことでファイナンスといっても、「お金そのもの」「お金の管理」「お金の調達・供給」と、業務内容は異なってきます。たとえば、「資金調達の仕事をしたい」と思っている人が、実際にはお金そのものを扱う業務に就いた場合「こんなはずではなかった」と感じるかもしれません。そんな後悔をしないためにも、ファイナンスの意味や内容をしっかりと理解できるようにしておきましょう。