「ご賞味」の意味は?「ご笑味」の違い、「ご笑味あれ」などの使い方、類語、英語も紹介

「ご賞味」とは「おいしいとほめて味わう」という意味

テレビのグルメ番組などでもよく耳にする「ご賞味」ですが、多くの人が「味わう」「食べる」の敬語と認識しているのではないでしょうか。しかし、本来は「おいしいとほめたたえながら味わう/食べる」という意味で、使う相手によっては失礼にあたる可能性がある言葉なんです。

本記事では正しい意味や使い方のほか、セットで覚えておきたい類語、言い換え表現、英語表現についてもわかりやすく解説します。

「ご賞味」の読み方・意味

「賞味」の「賞」の漢字には、「対象物の価値をほめる」「賞賛する」という意味があり、「賞味」をそのままの意味でとらえると「味を賞賛する」になります。それをわかりやすい表現にすると「おいしいとほめる」「ほめて味わう」で、頭に「ご」をつけて相手に対して使う言葉になります。

「ご賞味」の意味

・おいしいとほめて味わう/食べる
・おいしいとほめたたえながら味わう
・おいしさを味わいながら食べる

なお、「ご賞味」は食べ物だけでなく、飲み物に対しても使えるのでぜひ覚えておいてください。

「ご賞味」の使用には注意が必要!

「ご賞味ください」は、「おいしさを味わって食べてください」という意味をもつ言葉なので、相手に「つまらないものですが…」とへりくだって渡すお土産などに使うのは適切ではありません。そのため、目上の人や取引先の人に対してもNGということになります。ですので、ビジネスシーンで使うことはほとんどないといえるでしょう。

なお、「御賞味下さい」と漢字が使われることがありますが、お願いをする際の「ください」はひらがな表記をします。そのため、基本的には「ご~ください」はひらがなを使うのが基本とされています。

「ご賞味」の使い方・例文

「ご賞味」や「ご賞味ください」は、食べ物や飲み物を提供しているお店がお客様に対し、自信をもって「当店の商品を味わってください」「このおいしさを味わってください」という気持ちで使う言葉です

例文

・この季節だけの限定商品です。ぜひご賞味ください。
・できるだけ本日中にご賞味ください。
・フルーツたっぷりのかき氷をどうぞご賞味ください。

「ご賞味させていただきます」は誤り?

お客様などから食べ物や飲み物をもらった際のお礼の言葉として「ご賞味させていただきます」を使うことがあります。しかし、接頭語である「ご」は、相手への敬意を表するものなので、自分が味わうときには「賞味させていただきます」が正しい表現です。

例文

・このたびは九州銘菓の詰め合わせをお送りいただきありがとうございました。社員一同で賞味させていただきます

ご賞味あれ

「幸あれ」など、「~あれ」という表現には、「~であってほしい」「~してください」の意味が込められています。「ご賞味あれ」は、「おいしく食べてほしい/食べてください」の意味合いで、主にパンフレットやチラシなどのキャッチコピーで使われます

「ご賞味」の類語・言い換え表現

「ご賞味」は、基本的には目上の人には使えず、お店の人が主に使う言葉だということは前述しました。しかし、「どうぞ食べてください」と伝えたい場面はありますよね。そのようなときには次の言葉が言い換え表現として使えます。

お召し上がりください

「召し上がる」は、「食べる」や「飲む」の尊敬語で、「お召し上がりください」は「食べてください」を丁寧にした表現です。

例文

・少しで申し訳ございませんが、どうぞお召し上がりください。

食べてください

気の知れた人との間で使う、シンプルな表現です。

例文

・アメリカ出張のお土産です。どうぞみなさんで食べてください。

「ご賞味」と「ご笑味」の違い

「笑味」は「賞味」と同じく「しょうみ」と読みます。「笑って味わう」と表現する「笑味」は、相手に味わってもらうことを謙遜(けんそん)する言い方で、「つまらない物だと笑って召し上がってください」「お口にあわないかもしれませんが、どうか召し上がってみてください」という意味になります。

「ほめて味わってください」の意味をもつ「ご賞味」とは使い方が異なるので併せて覚えておくと便利です。

例文

・出張先で見つけたご当地チップスです。どうぞご笑味ください。

「ご賞味」の英語表現

「ご賞味」を英語で表すときは「enjoy」を使います。広く知られている意味は「楽しい」「楽しむ」ですが、「味わう」という意味もあります

・Please enjoy our new cakes!
(新作のケーキをどうぞご賞味ください。)

「ご賞味」の意味を理解し正しく使おう!

「ご賞味」の意味を正しく知ると、「賞味期限」と「消費期限」の違いもわかりやすくなったかと思います。簡単に説明すると、「賞味期限」は「おいしく食べられる期限」で、「消費期限」は「品質的に安心して食べられる期限」です。これを機に類語や言い換え表現との正しい使い分けをしていきましょう。