「お言葉に甘えて」とは、「相手の親切を受け入れる」「相手の好意に甘える」です。
相手からの親切な申し出に対してありがたく受け取る際に使われます。
類語は、「ご厚意に甘えて」「ご親切に甘えて」「お心遣いに甘えて」「お情けに甘えて」。
英語で表すときは、「Thanks for your kind offer.」などの表現を使います。
「お言葉に甘えて」の意味とは?
「お言葉に甘えて」は「おことばにあまえて」と読み、次の意味で用います。
・相手の好意に甘える
「お言葉に甘えて」の「言葉」は、「相手が自分にかけてくれた言葉」のこと。「甘えて」の意味は、「相手の好意に遠慮なくよりかかる」です。
つまり「お言葉に甘えて」は、「相手が好意で自分にかけてくれた言葉に遠慮なくよりかかる」という意味になります。
ただし「お言葉に甘えて」は、「まったく遠慮なくそうさせてもらう」というずうずうしい意味合いでは使われていません。「申し訳ないと思いつつも、相手から好意でいってもらっているので、ありがたくそうさせてもらう」というニュアンスが込められています。
「お言葉に甘えて」は取引先に使えるビジネス用語
「お言葉に甘えて」の「お言葉」は、「言葉」に丁寧なニュアンスを付け加える接頭語の「お」をつけたものなので、敬語表現の一種です。
そのため、上司や取引先の人など目上の相手にも使うことができます。
「お言葉に甘えて」は言葉がないと使えない
「お言葉に甘えて」は、相手から「〇〇していいよ」や「〇〇したら?」と言葉をかけてもらったときにしか使えません。
「顔色が悪いから、今日は早く帰って休んだら?」のようにいわれたら、「お言葉に甘えて」と答えられます。
しかし、「顔色が悪いけど大丈夫?」といわれた場合は、「早く帰っていい」とはいわれていないため、「お言葉に甘えて」と返すことはできません。この場合は、「大丈夫です。ありがとうございます」や「体調が悪いので早退させてください」のように返事をします。
「お言葉に甘えて」は言葉の裏を読む必要がある
「〇〇していいよ」や「〇〇したら?」といわれたとしても、本当に「お言葉に甘えて」問題ないのか、状況を正しく読み解く必要があります。
相手が社交辞令でそのようにいっている場合は、「お言葉に甘えて」しまうと相手にずうずうしい人だと思われてしまいます。
本心からいわれた言葉なのか、社交辞令なのか判断できない場合は、「お言葉に甘えて」とは返事をしないほうが安全です。
メールでの「お言葉に甘えて」は明確に
メールや手紙などの文章でも、「お言葉に甘えて」を使うことはできます。しかし、メールや手紙は相手とのやりとりに時差が生じてしまうため、相手のどの言葉に対して「お言葉に甘えて」と返事をしているのか、相手に伝わりにくくなってしまいます。
メールや手紙で「お言葉に甘えて」を用いるときは、「お言葉に甘えて、新年会にお邪魔させていただきます」のように、自分が何をするつもりなのか明確に説明する表現を考えてください。
「お言葉に甘えて」の使い方を文例で学ぼう
「お言葉に甘えて」の意味や注意点がわかったら、次は言葉の使い方を文例でイメージしてみましょう。
B:ありがとうございます。お言葉に甘えてお願いします。
B:それは楽しそうですね。お言葉に甘えて伺わせていただきます。
B:わかりました。お言葉に甘えてタメ口にします。
「お言葉に甘えて」の類語・言い換え表現
「お言葉に甘えて」は、相手からの「〇〇していいよ」という言葉がないと使えません。しかし、言葉にしなくても態度や行動で「〇〇していいよ」と伝えられる場合もありますよね。
態度で親切にしてもらったときにも使える表現をおさえておきましょう。
相手が自分にしめしてくれた思いやりの心や好意をありがたく受け取る
【例文】
恐れ入りますが、ご厚意に甘えて店内で涼ませていただきます。
相手の親切をありがたく受け取る
【例文】
申し訳ありませんが、ご親切に甘えて少しの間店番をお願いします。
相手の心配りや配慮をありがたく受け取る
【例文】
ご迷惑をおかけしますが、お心遣いに甘えて相乗りさせていただきます。
相手の特別な愛情やかわいがる気持ちをありがたく受け取る
【例文】
大変恐縮ではありますが、社長のお情けに甘えて出戻り転職させていただきます。
「お言葉に甘えて」は英語だと?
「お言葉に甘えて」を英訳するときは、「your kind offer(あなたの親切な申し出)」というフレーズを使い、次のように表します。
Thanks for your kind offer.:あなたの親切な申し出をありがとう
I will accept your kind offer.:私はあなたの親切な申し出を受け入れます
I will take you up on your kind offer.:私はあなたの親切な申し出に応じさせていただきます
「accept」は「受け入れる」、「take A up on B」も「AのBに応じる」という意味です。
「お言葉に甘えて」を上手に使おう
「お言葉に甘えて」は、目上の相手に親切な言葉をかけてもらったときに使う表現です。「ありがとうございます」など感謝の気持ちを伝える言葉と組み合わせると、より丁寧な印象になります。
ただし、相手が社交辞令でいっていることまで「お言葉に甘えて」しまうと、ずうずうしい人間だと思われてしまうので、本心からの言葉なのか、言葉の裏をしっかり読む必要もあります。
「お言葉に甘えて」は、相手に甘えすぎないように上手に使っていきましょう。