「ご相伴」とは「正客の相手となり共にもてなしを受ける」という意味
「ご相伴」は、主に接待飲食の場で使われており、「正客をもてなす側だが、迎え入れた客のお酒の相手をしながら共にもてなしを受ける」という意味をもつ言葉です。しかし、正しい意味や使い方を理解している人は少ないのではないでしょうか。
本記事では、「ご相伴」の正しい意味や会話での使い方のほか、類語、返し方、英語などについてもわかりやすく紹介します。
「ご相伴」の読み方・意味
「ご相伴」は「ごしょうばん」と読み、元は茶道で使われていた用語です。茶道の世界では、お茶会の主催者を「亭主」、メインになるお客様を「正客(しょうきゃく)」、正客のお連れ様や同席者を「相伴(しょうばん)」と呼んでいます。
「亭主」が点てた(たてた)お茶は、まず「正客」に、その後に「相伴」に出されます。その際、「相伴」にあたる人は「お相伴いたします」と挨拶をします。
そして、現代においては、「もてなしているお客様に付き合い、一緒にお酒を飲んだり食事をしたりする」といったニュアンスで茶道以外の場所でも広く使われています。
また、「相伴」には次のような意味もあるので、知識として覚えておきましょう。
・ほかとのつり合いや物事の行きがかりで一緒に利益を得ること。
・他人の行動に付き合うこと。
「ご相伴」と「お相伴」どちらが正しい?
「ご相伴」を漢字で書くと「御相伴」となります。「御」は、丁寧な表現にする際に使われますが、基本的には「御」の後に続く言葉が音読みの場合には「ご」、訓読みの場合には「お」と読みます。
「御相伴」は、「相(しょう)」と、音読みの言葉ば続くため、基本的なルールで考えると「ご相伴」と読むことになります。
しかし、「御相伴」の場合は、「ご相伴」「お相伴」のどちらも間違いではないとされているので、あなたが言いやすいほうを使ってください。
「ご相伴」の使い方・例文
「ご相伴」を使う場合は、いくつかの決まったフレーズが存在します。
ご相伴にあずかる
「ご相伴にあずかる」は、「もてなしを受ける」という意味で、ビジネスシーンにおいては、目上の人からおもてなしを受けたり、取引先との接待の場でメインのお客様からおもてなしを受けたりする際によく使う言葉です。
会話の中では「ご相伴にあずかり~」の形で使います。
・本日はご相伴にあずかり、誠にありがとうございます。
「ご相伴に預かる」は間違った表現
「ご相伴にあずかる」を漢字で「ご相伴に預かる」と書く人がいますが、この場合は「与かる(あずかる)」が正しい表現です。しかし、「与かる」は、現代では常用漢字とされていないため、「あずかる」はひらがなで書くのが正しい表現となります。
ご相伴いたします
「自分もご一緒します」の意味あいで使われるのが「ご相伴します」や「ご相伴いたします」で、「~いたします」は謙譲語となるので、へりくだった表現のほうがふさわしい際には後者を使ったほうがいいでしょう。
また、同じニュアンスで「ご相伴いたします」よりも丁寧な表現とされているのが「ご相伴にあずからせていただきます」なので、一緒にいる相手により使い分けてください。
・私でよろしければご相伴いたします。
・私でよろしければご相伴にあずからせていただきます。
ご相伴させてください
接待の席などに「自分も同席したい」とお願いしたい場合によく使われる言葉です。
・ぜひ私もご相伴させてください。
「ご相伴」の類語・言い換え表現
「ご相伴」をほかの言葉に言い換えたい場合は次のようなものがあります。
・付き添い
・ご一緒
・お供
・ぜひ私もご相伴させてください。
・ぜひ私も付き添わせてください。
・ぜひ私もご一緒させてください。
・ぜひ私もお供させてください。
また、「ご相伴にあずかる」は、飲食を共にする際に使うことが多いため、「ご馳走になる」も言い換え表現として使えます。
そのほか、「お相伴」を「他人の行動に付き合うこと」の意味で使う場合は、「随伴(ずいはん)」や「随行」といった類語もあります。
【随伴】
お供としてつき従って行くこと。
【随行】
目上の人のお供としてつき従って行くこと。
・ぜひ私もご相伴させてください。
・ぜひ私も随伴させてください。
・ぜひ私も随行させてください。
「ご相伴」の英語表現
「ご相伴にあずかる」と英語で表現したい場合は次のフレーズが使えます。
・Thank you very much for joining us today.
(本日はご相伴にあずかり誠にありがとうございます。)
・Thank you very much for your hospitality yesterday.
(昨日はご相伴にあずかりましてありがとうございました。)
「ご相伴」の意味を理解し正しく使おう!
「ご相伴」は、親しい間柄ではあまり使うことがないかもしれませんが、ビジネスシーンでの接待ではよく登場します。特に取引先の人との間においては、間違った言動はビジネスそのものにも影響するので、正しい言葉が使えるようにしておきましょう。