「やぶさかではない」とはどんな意味?「まんざらでもない」との違いや類語も解説

「やぶさかではない」とはどんな言葉?

「やぶさかではない」の意味は、「喜んでする」です。

類語は、「喜んでお引き受けします」「お安い御用です」「願ってもないお話です」。対義語は、「やぶさかではあるが」「不本意ながら」です。

英語で表すときは、「I would love to ~」や「I’m very interested to ~」「I’m ready to ~」を使ってください。

「やぶさかではない」の意味は?漢字だと?

「やぶさかではない」は漢字だと「吝かではない」と書きます。

「やぶさかではない」の意味は、文化庁が発表しているWEB広報誌「文化庁広報誌 ぶんかる」で次のように説明されています。

やぶさかではない
喜んでする

「やぶさかではない」は、「仕方なくする」という意味の言葉ではありません。意味を勘違いしている人も少なくないので注意しましょう。
参考 「やぶさかでない」と,ためらい文化庁広報誌 ぶんかる

「やぶさかではない」は控えめな言葉

「やぶさかではない」の「やぶさか」は、「思い切りの悪いさま。躊躇(ちゅうちょ)するさま」や「物惜しみするさま。ケチなさま」を意味する言葉です。

この「やぶさか」に打消しの「ない」をつけることで、「躊躇しているわけではない」という意味を表します。

「躊躇しない」は「ためらわない」ということなので、「やぶさかではないと思う」といわれたら、「それを喜んでしたいと思っている」という意味になります。

最初から「喜んでする」といわず、わざわざ自分の気持ちとは逆の「やぶさか」を使い、それを否定するという遠回しなことをしているのは、日本人ならではの奥ゆかしさを表現するためです。

「やぶさかではない」を使うことで、「私でよければやりましょう」というニュアンスで、控えめに自分のやる気を伝えられます。

「やぶさかではない」の語源

「やぶさかではない」のもとになった「やぶさか」の語源は、平安時代の言葉にまでさかのぼります。「物惜しむ」という意味の動詞の「やふさがる」や、ケチであることを意味する形容詞の「やふさし」がその語源です。

時代が進むにつれて「やふさがる」と「やふさし」は使われなくなり、代わりに「やふさ」に「か」をつけた「やふさか」や「やっさか」が新しい言葉として誕生します。

その後「やっさか」も使用されなくなり、「やふさか」は発音が濁音に変化して「やぶさか」といわれるようになりました。

「やぶさかではない」の使い方を例文で学ぼう

控えめに自分の気持ちを伝える「やぶさかではない」は、目上の相手にも問題なく使える表現です。ビジネスでも使用される言葉なので、使い方をしっかりおさえておきましょう。

例文
・企画をよりいいものにするため、ミーティングに時間を費やすことは、まったくやぶさかではない
・今の会社よりもいい条件が提示されるのなら、転職もやぶさかではない
・目的達成のためには、ライバルと手を組むのもやぶさかではないと考える。
・「やぶさかではない」の意味を広辞苑で調べる。

「やぶさかではない」と「まんざらでもない」の違い

「やぶさかではない」と間違われやすい言葉に「まんざらでもない」があります。

「まんざらでもない」は「必ずしもまったくダメというわけではない」という意味です。「それほど悪くない」や「かなりいい」という意味合いで使われる場合もあります。

どちらの意味にしろ、「それを喜んでする」をいう積極的な気持ちを表す「やぶさかではない」とは異なるニュアンスなので、区別して用いなければなりません。

「やぶさかではない」の類語・言い換え表現

「やぶさかではない」の類語は、「喜んでお引き受けします」「お安い御用です」「願ってもないお話です」

これらは「やぶさかではない」と同じように、「積極的にそれをする」前向きな気持ちを伝えられる表現です。

例文
・喜んでお引き受けさせていただきます。
・〇〇様のお願いなら、もちろんお安い御用です。
・それは願ってもないお話です。お引き受けさせていただきます。

「やぶさかではない」の対義語

「やぶさかではない」の対義語は、「やぶさかではあるが」と「不本意ながら」です。

この2つの表現は、どちらも「しぶしぶそれをする」というニュアンスをもっています。

例文
・やぶさかではあるが、付き合いもあるので参加することにした。
・不本意ながら相手の要求を受け入れた。

「やぶさかではない」は英語だと?

「やぶさかではない」を英訳するときは、「I would love to ~」や「I’m very interested to ~」「I’m ready to ~」を使います。

「やぶさかではない」の英語
I would love to ~:私はぜひとも~したい
I’m very interested to ~:私は~することにとても興味がある
I’m ready to ~:(やる気満々のニュアンスで)~の準備ができました

「やぶさかではない」をうまく使おう

「喜んでする」という積極的な気持ちを控えめにアピールできる「やぶさかではない」は、目上の相手にも失礼にならない言葉のため、覚えておいて損はありません。

しかし、プライベートではあまり使わない表現でなじみが薄いこともあり、「やぶさかではない」を「仕方なくする」というようなしぶしぶのニュアンスと勘違いしている人も少なくありません。そのため、相手に勘違いされそうな場合は、「やぶさかではない」をほかの言葉に言い換える必要があります。

「やぶさかではない」と、言い換えに使用できる類語をあわせて頭に入れておき、うまく使い分けられるようになりましょう。