エビデンスとは「証拠」のこと
エビデンスという言葉はビジネスシーンにも浸透してきました。政治に関する話題でも使用されることがあるなど、エビデンスという言葉を使う分野は広がりをみせています。
エビデンスとは簡単にいうと「証拠」のこと。エビデンスという言葉は多用すると「うざい」と感じる方もいるのだとか。今回は言葉の意味から使い方までご紹介していきます。
エビデンスの意味
日本語でエビデンスといえば「証拠」の意味をおさえておけばOKですが、もう少し意味を詳しく見ていきましょう。
エビデンスの語源は英語の「evidence」
英語の「evidence」は「根拠」や「証拠」の意味を持ちます。また、「証言」という意味でも用いられることがあります。ラテン語で「明白であること」の意味がある「evidentia」に由来します。
エビデンスの意味って?
エビデンスという言葉は、もともと学術用語・医療用語として「根拠」の意味で使われていました。学問や医療においては根拠が重要視されるため、研究者や医師、看護師などにとってエビデンスという言葉はなじみがあります。
また、ビジネスシーンや政治の世界でも浸透してきており、「根拠」「証拠」「裏付け」といった意味で用いられています。金融業界では、融資可能かどうかを判断するため公的証明書をエビデンスと呼びます。
IT業界では、システムが正常に機能していること、あるいは、不具合が生じていることを示すデータなどをエビデンスといいます。
エビデンスという言葉の使い方
エビデンスがある・ないという使い方は定番ですが、それ以外にもいろいろなパターンで使用できます。
・言った、言わないの論争を回避するため、契約に関する連絡はメールで行い、エビデンスを残すようにしてください。
エビデンスという言葉は名詞であるため、日本語の「根拠」「証拠」「裏付け」などに置き換えて使うだけで意味は通ります。意味さえわかっていれば、使い方自体はさほど難しくありません。
エビデンスをとる、エビデンスを示す、エビデンスがほしい、エビデンスに基づく、などの使い方も可能です。
エビデンスの類語・言い換え表現
エビデンスに似た意味を持つカタカナ語をいくつかご紹介します。完全に意味が同じ言葉はありませんが、場合によっては言い換えに使えます。
プルーフ(proof)
プルーフとは「証拠」「証明」などの意味がある言葉です。エビデンスは根拠の意味合いも強くなりますが、プルーフの場合は人を納得させるような証拠となります。
ソース(source)
ソースは「情報源」「源」などの意味を持ちます。日本語でも「この記事のソースは?」などと使います。エビデンスは根拠のことですが、ソースはその中でも情報源について示します。
エビデンスを使うとうざい?イラッとされる?
カタカナ語全般に該当することですが、多用すると「うざい」「イラッとする」と感じる方もいるようです。日本語で「証拠」といえば済むことだと思う方もいます。
しかし、エビデンスはより広い意味を含む言葉です。「裏付け」や「根拠」といったニュアンスも含むため、シーンによっては使い勝手がいい言葉なのです。
また、かつてスプーンを「匙(さじ)」と呼んでいた時代があったように、外来語は次々と入ってくるものです。最初は違和感を覚える方が多くても、徐々に浸透していくという側面もあります。ただし、多用は避ける方が無難です。
医療や研究で登場する「エビデンスレベル」とは
学問や医療の世界では、エビデンス(根拠)が大切になります。エビデンスはあるかないかという2択ではなく、「どのくらいのレベルのエビデンスか」に関しても評価を行う必要があります。
例えば、医療分野におけるエビデンスレベルは、次のように研究のデザインに沿って決定されます。
Ⅰ システマティックレビュー、メタアナリシス
Ⅱ 1つ以上のランダム化比較試験
Ⅲ 非ランダム化比較試験
Ⅳ コホート研究、症例対照研究
Ⅴ 症例報告、症例集積研究
Ⅵ 専門家の個人の意見
専門家の意見も参考にはなりますが、根拠のレベルとしては最も低くなります。症例報告は身近なケースを1例取り上げるだけで成立するので敷居は低いですが、エビデンスのレベルとしては低いです。
ランダム化というのは、患者を無作為に2つ以上のグループに割り付けて研究する方法です。例えば、新薬Aと偽薬Bを2つのグループの被験者に投薬して効果をみるとき、被験者はランダムに2群に分けて比較されます。
日常生活やビジネスで触れる機会はあまりないため、このような分類があるのだと頭の片隅に置く程度でいいでしょう。
使い方が広がるエビデンスという言葉
もともとは医療と研究の世界で使われていた言葉ですが、今となってはビジネスや政治でも浸透しています。金融機関では公的証明書、IT業界ではシステムの状況の証拠となるデータのことをエビデンスと呼ぶなど、使い方は広がってきています。今後、時代とともに、違う分野で違う使い方がされる可能性もあるでしょう。