「辟易」とは「うんざりする」という意味
「辟易」は、主に「ひどく迷惑してうんざりする」「嫌気がさす」という意味で使われていますが、実際には明確な意味は理解できていないという人も多いのではないでしょうか。
本記事では、「辟易」がもつ正しい意味、語源、使い方のほか、英語での表現、類語、言い換えについてもわかりやすく紹介します。
また、対義語としては、「ありがたく思う気持ち」を表す「感謝」や、「心を引かれる」という意味がある「興味」などがあるので、併せて覚えておきましょう。
「辟易」の読み方・語源・意味
「辟易」は「へきえき」と読みます。「辟易」の「辟」という字には、「避ける」、「易」には「変える」の意味があり、もとは、中国の歴史書「史記」の中に出てくる「路を辟(さ)けて所をかえる」に由来するとされています。
これは、「嫌の物や人を避け、道を変えて逃げる」という意味が含まれており、そこから転じて「嫌気がさす」や「うんざりする」の意味で使われるようになりました。
そのほかにも、次のような意味で使う場合もあります。
・閉口すること。
・相手の勢いに圧倒され、しりごみすること。
・手がつけられず嫌になること。
「辟易」の使い方・例文
「辟易」という言葉はよく耳にしますが、本来はどのように使うのが正しいのでしょうか。わかりやすい例文をいくつか紹介するので、ぜひ参考にしてください。
①お局さんのお小言にはいつも辟易している。
②課長の的を得ていないお説教には全員が辟易させられた。
③彼女の力の入った訴えに辟易し、私は言葉を失った。
例文の①②は、「うんざりする」の意味ですが、③は「勢いに圧倒され、しりごみする」の意味で使われています。
「辟易とする」はNGな使い方?
「辟易」を使った表現方法で「辟易とする」というのを聞いたことがあると思います。しかし、実はNGな使い方なんです。
「~とする」は、「ある動作をしようと意図する」「~が成り立ちそうである」「~と判断する」などの意味があります。
「辟易」は心境を表す言葉なので、「辟易とする」になると、「うんざりとした気持ちが成り立ちそうである」「うんざりだと判断する」という意味なので表現として適していません。
ですので、「辟易」は「~した」「~する」「~している」「~させられた」などをつけるのが正しい使い方となります。
「辟易」の類語・言い換え表現
「辟易」をほかの言葉で言い換えたい場合は、次の言葉が使えます。
・億劫
・うっとうしい
・ややこしい
・気が重い
・ストレスを感じる
・尻込み
・たじろぐ
・ひるむ など
・部長の毎日のお小言にはいつも辟易している。
・部長の毎日のお小言にはいつもうんざりしている。
・部長の毎日のお小言にはいつもストレスを感じている。
「辟易」の英語表現
「うんざりする」の意味合いの「辟易」を英語で表現する場合、「be fed up」を使います。
I am fed up with his gossip.
(彼の噂話には辟易している。)
また、「sick=病気」と「tired=疲れる」を重ねて使っても「うんざりする」といった表現になります。
・I am sick and tired of this.
(私は辟易している。)
そのほか「辟易」には「圧倒される」「尻込みする」の意味もありますが、これらの英語表現は次のようになります。
・I was overwhelmed by his momentum.
(彼の勢いに圧倒されました。)
・Her overly strong tone made me shy away and I was at a loss for words.
(彼女の強すぎる口調に尻込みし、私は言葉に詰まった。)
「辟易」の意味を理解し正しく使おう!
「辟易」は日常の中でもなんとなく使う人は多い言葉です。しかし、正しい意味を理解していなければ、「辟易とする」といったように、間違った使い方をしてしまいます。これを機に正しい意味や使い方をきちんと理解し、自信をもって使いこなせるようにしておきましょう。