「鑑みる」とは「過去の例や手本などに照らし合わせて考える」という意味
「~に鑑みると」という言い回しを聞いたことがあると思いますが、「鑑みる」とは、「過去の例やお手本などに照らし合わせて考える」という意味の言葉です。しかし、これまではなんとなくのニュアンスで使っていた人も多いのではないでしょうか。
本記事では、「鑑みる」の正しい意味や使い方のほか、類語、言い換え、英語表現についてもわかりやすく紹介します。
なお、「鑑みる」の対義語は、これといって決まった言葉がありません。そのため、あえて対義語としてあげるならば、「過去の例や手本などは参考にしない」「踏まえない」などの表現があてはまるので、併せて覚えておいてください。
「鑑みる」の読み方・由来・意味
「鑑みる」は、「かんがみる」の読み方のほうが馴染みがあるかもしれませんが、「かがみる」とも読み、広辞苑では「かんがみる」は「かがみる」の撥音化*(はつおんか)であると記されています。そのため、どちらの言い方をされても理解できるよう、二つの読み方があるということを覚えておいてください。
(撥音化*:語や文の一部は、言いやすいよう「ん」に変化する現象)
「鑑みる」は、鏡を見て照らし合わせる様子が由来といわれていますが、言葉の意味としては次のようになります。
・過去の例や手本などに照らし合わせて考える
・先例や模範などに照らし合わせて考える
・ほかと比べあわせて考える。
「鑑みる」の使い方・例文
「~を鑑みる」「~に鑑みる」の両方を耳にすることがありますが、「鑑みる」場合、Aを参考にBについて考えることになります。そのため、使い方としては「Aに
鑑みてBを考える」が正しいです。
なお、Aをそのものを考えるのであれば、「Aを考える」になります。しかし、鑑みる場合は参考にする対象と、参考にする物事以外の何かの2つの存在が必要なので、「を」を使った「鑑みる」の表現はありません。
・2019年度の売上に鑑みて、2023年の予算組みをしてほしい。
・昨年の市場動向に鑑みると、今年はこの家電の売上は今以上には伸びない気がする。
・この商品の過去のラインアップに鑑みると、今回企画している商品のこの機能は必要ないのではないか?
・前回のスケジュールに鑑みて余裕をもっていたはずなのに、また納期ギリギリになりそうだ。
「鑑みる」の類語・同義語・言い換え表現
「鑑みる」をほかの言葉に言い換えたい場合は、次の言葉が使えます。
・比べる
・考え合わせる
・比較して考える
・天秤にかける
・重ね合わせる など
・去年の売上に鑑みて、来年の予算を出してほしい。
・去年の売上と比べて、来年の予算を出してほしい。
・去年の売上と比較して考え、来年の予算を出してほしい。
ほかにも「顧みる」「踏まえる」「考慮する」があります。どの言葉も詳しい意味やニュアンスは異なるので、状況に応じて使い分けてみてください。
「顧みる」と「鑑みる」の違い
「顧みる」には、「過ぎ去ったことを思い起こす」「過去の出来事や人を思い浮かべる」という意味があります。過去のことを考えている点においては「鑑みる」と類語といえますが、「顧みる」は、現状を考えることは前提となってはいないという点で違いがあります。
「踏まえる」と「鑑みる」の違い
「踏まえる」は、「踏みつけ押さえる」という字の見た目通りの意味のほかに、「判断のよりどころにする」という意味もあります。過去の物事を見ている点では「鑑みる」と同じですが、「踏まえる」は過去の物事を判断の材料にするのに対し、「鑑みる」は、判断ではなく考えているだけにすぎないという点で違いがあります。
「考慮する」と「鑑みる」の違い
「考慮する」は、「配慮する」のほか、「考えの中に含める」「物事のさまざまな要素をよく考えあわせること」の意味があります。
「考慮する」は、実際にはなかったことを想像して考えることも多いですが、「鑑みる」は、比較して考える対象の物事が存在する点において違いがあります。
「鑑みる」の英語表現
「鑑みる」を英語で表現したい場合は「in view of 〇〇」を使います。〇の部分に過去の比較したい対象の言葉をいれると、このような文章になります。
In view of previous mistakes make a plan.
(過去の失敗を踏まえて計画を立てる)
「鑑みる」の意味を理解し正しく使おう!
ビジネスシーンでも日常でも、過去と比較する場面は多く、「鑑みる」という言葉も意外とよく使われています。本記事で解説してきたことをしっかりマスターし、これからは正しく使っていけるようになってください。