マルチタスクとはどんな意味?メリットや苦手な人におすすめのやり方を簡単に紹介

マルチタスクとはどんな言葉?

マルチタスクは、「複数の作業を同時並行、または短期間で切り替えながら同時進行で行う能力」を意味するカタカナ語です。

類語は、「デュアルタスク」「ながら作業」。対義語は「シングルタスク」です。

英語で表すときは、「multitask」を使います。

マルチタスクとはどんな意味?

マルチタスクは、次の意味をもつカタカナ語です。

マルチタスク
複数の作業を同時並行、または短期間で切り替えながら同時進行で行うこと。またその能力

マルチタスクは、もともとはIT分野で使われていた言葉です。コンピュータの、同時に複数の情報を処理する能力を意味します。

後に、人間が作業を同時進行で行う仕事のやり方や、それをする能力を表す言葉としても使用されるようになりました。

マルチタスクは英語だと?

マルチタスクを英語で表すときは、「multitask」を使います。

multitask
・多重タスク
・同時に複数のことをする
・コンピュータが複数の処理を同時に行うこと

カタカナ語のマルチタスクと英語の「multitask」は、同じ意味で使用されています。

マルチタスクの例

みなさんが普段からやっていることや、ついやりがちなこんなことがマルチタスクになります。

・取引先からの電話に受け答えしながら、身振りで部下の仕事に指示を出す
・会議でクライアントと話し合いをしながら、議事録を作成する
・オンライン会議に出ながら、スマホのメールに返信する
・注文された料理を配膳しながら、追加注文したいお客さんの対応をする
・テレビを観ながらながらスマホをいじる
・子どもの相手をしながら家事をこなす
・複数の料理を同時進行で作る
・車を運転しながらかかってきた電話に出る

会議に参加しながら話し合いの記録を取るなど、ひとつの事柄に関連する別々の作業をするのはマルチタスク。運転をしながら電話応対するなど、まったく関係性のない作業を複数同時に行うのもマルチタスクです。

マルチタスクという言葉の使い方を学ぼう

マルチタスクの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
マルチタスクが捗るタブレットが発売された。
・多目的に使えるマルチタスクな家具を販売する。
・人手不足により、必然的にマルチタスクをこなさなければならなくなった。
・在宅ワークにより、マルチタスクをしている人が増えた。
マルチタスクで遊ぶアプリゲームにはまっている。

マルチタスクの類語・言い換え表現

マルチタスクの類語は、「デュアルタスク」「ながら作業」です。「デュアルタスク」は、2つの課題を同時に行うことを意味します。それぞれの言葉は次のように使います。

例文
・デュアルタスクを意識的に行うことで、脳を活性化させられるといわれている。
・ながら作業は効率が悪くなりやすい。

マルチタスクの対義語

マルチタスクの対義語は、「シングルタスク」です。

シングルタスク
・1台のコンピュータで、一度にひとつの処理しか行えないこと
ひとつの作業を集中して行い、それが完了してからほかの作業に着手する仕事のやり方

「自分にはシングルタスクのやり方のほうが向いていた」のようにして使います。

マルチタスクのメリット

マルチタスクをしている人は、同時進行で仕事を進めることに慣れているため、突発的な変更や飛び込み仕事の対応が上手です。

複数の仕事を同時進行で進めると後回しにされる仕事が減るので、複数の人が関わる仕事では、その仕事に携わるほかの人の作業を停滞させずに済みます

上司が、仕事をしながら別のことにも対応できるマルチタスクな人ならば、部下は上司に仕事の相談をするタイミングに困らずに済みますよね。

マルチタスクで複数の業務に関わると、プロジェクトの全体像を把握しながらそれぞれの作業を進められるようになります。プロジェクトの全体像を把握したうえでコミュニケーションを取れるので、話し合いが円滑に進みます。

複数の作業を行うことで、仕事に飽きにくくなるメリットもあります。

マルチタスクのデメリット

メリットの多いマルチタスクですが、いいことばかりでもありません。メリットだけでなく、デメリットもしっかりおさえておきましょう。

まず、マルチタスクには向き不向きがあります。向いていない人が無理して行うと、キャパシティオーバーになりやすいので注意してください。

ひとつのタスクで何か問題が生じたときに、そのトラブルで感じたネガティブな気持ちを次のタスクに引きずってしまうことが多く、気持ちの切り替えが難しいです。あわただしく複数のタスクを切り替えながら作業するため、焦りの気持ちも出やすくなります。

人間は何か新しい作業をはじめるときは、すぐに集中して作業ができるわけではありません。集中し直すには15分ほどかかるといわれており、タスクを切り替える度に集中し直さなければならないので、生産性が低下します。

複数の仕事を掛け持ちすることで、一つひとつの仕事の完了が遅くなるため、それぞれの仕事の成果や結果が出るのも遅くなります。

マルチタスクが得意な人

複数の仕事に関わるマルチタスクでは、同時進行でさまざまな人とのコミュニケーションを取らなければなりません。そのため、コミュニケーション能力が高い人には、マルチタスクが得意な人が多いです。

また、マルチタスクが得意な人には次のような特徴もあります。

マルチタスクが得意な人の特徴
・マメに連絡をしたりさまざまな物事の確認をしたりすることが苦にならない
・物事の優先順位を素早く正確に判断できる

マルチタスクが苦手な人

次のような人は、マルチタスクにはあまり向いていません。

マルチタスクが苦手な人
・こだわりが強く、ひとつのことに集中して臨むことを好む人
・集中して一つひとつの物事を慎重に進めたい完璧主義者
・イレギュラーが嫌いな人、イレギュラーに素早く対応できない人
・スケジュール管理が苦手な人

インターネットで検索すると、自分がマルチタスクに向いているかを診断できるサイトをみつけられます。興味がある人は試してみてください。

マルチタスクが苦手な人におすすめのやり方

マルチタスクが苦手な人は、マルチタスクをシングルタスクの積み重ねに変えて対処するのがおすすめです。

タスクを整理する

マルチタスクをシングルタスクの積み重ねに変えるには、まず自分が抱えている仕事を細かいタスクに分けて付箋などに書き出します。

書き出しが終わったら、今日しなければならないタスクと明日以降で構わないタスクに分けます。

次に、今日しなければならないタスクの一つひとつにどのくらい時間がかかりそうか、時間の見積もりを書き込みます。長時間かかるタスクは、最長1時間の見積もりでさらに作業を細分化し、小さなタスクを作ってください。

1日のスケジュールを組む

タスクの準備ができたら、1日のスケジュールにタスクを割り振ります。タスクが重なっているときにおすすめなのは、「1×10×1」システムです。

「1×10×1」システムでは、まず1日のスケジュールの最初の部分に1分で終了する簡単なタスクをすべて割り振り、まとめて終わらせてしまいます。

次に10分で終わるタスクをまとめて割り振り終わらせます。こうすることで、1日のスケジュールの早いうちにその日にやらなければならないタスクの大半を片付けられるので、焦りの気持ちを抑えられます。

小さなタスクを片付け終わったら、最後に1時間のタスクをスケジュールに割り振ります。納期が近いなど、優先順位の高いものから順にスケジュールに割り振っていってください。

イレギュラー用の時間を確保

スケジュールの割り振りでのポイントは、ぎっしりタスクを詰め込まないことです。午前と午後に、それぞれ30分ほどの予定のない時間を作っておいてください。

急な飛び込み仕事などイレギュラーなことが起こった場合は、作業中のタスクを中断して行うのではなくいったん保留し、この空白の30分を使って対処するようにします。

IT分野でのマルチタスク

IT分野でのマルチタスクは、複数のタスクをごく短い時間で次々と切り替えながら実行する方法で、同時並行的に複数のタスクを処理するコンピュータのシステムを意味します。

LinuxをはじめとするUNIX系列のOS、Windows、Mac OSが入れられているパソコンや、iOSが搭載されているiPhoneとiPod touch、Androidのスマホとタブレットなどでマルチタスクの処理が可能です。

IT分野で使われるマルチタスクの関連語

IT分野ではマルチタスクの関連語もよく使われています。どのような言葉があるか、確認しておきましょう。

マルチタスク画面

「マルチタスク画面」は、実行中のアプリと起動させて待機状態にしているアプリを切り替えるために使う専用画面です。マルチタスクのスマホやタブレットで、複数のアプリを同時に使用する必要があるときに用います。

マルチタスク画面を表示させる方法は機種によって異なります。

・「マルチタスクボタン」と呼ばれるマルチタスク画面呼び出し用のボタンをタップする
・ホームボタンを2回連続で素早くタップする
・スワイプする など

マルチタスク学習

マルチタスク学習は、AI(人工知能)の研究で使われる言葉。AIに物事を教え込む方法のひとつです。

例えば、いろいろな犬の写真(データ)を使って「犬」を認識できるように学習させたAIに、犬とほかの動物の写真を入力すると、AIは犬がどれかを認識して犬の写真だけを選び取ることができます(①)。

同じ写真を使って、AIに写真に写っている「犬」と「背景」を区別して認識することを教えられます(②)。また同じ写真で、犬が写っている「位置」や「大きさ」を認識できるように教えることもできます(③)。

マルチタスク学習は、関連している複数の課題を同時に学習させること

例で挙げた事例のように、同じデータを使って学習させるなら、①②③をそれぞれ別々の課題として3回教える方法よりも、まとめて1回で教えるほうが効率がいいように思えますよね。それぞれの学習が別々の事柄ではなく、共通点がある事柄であるとAIが学ぶことで、個別の学習の精度がアップするメリットもあります。

3つあった学習システムがひとつにまとめられることでシステムが効率化され、システムに余裕も出ます。その余裕の部分にさらなる学習データを与えられるので、より高度な認識ができるようにAIを進化させることも可能です。

マルチタスクを自分のやりやすい方法に変えて仕事に活かそう

マルチタスクは向き不向きがあり、苦手な人が無理にやろうとするとデメリットが大きくなります。とはいえ、事情によりマルチタスクをせざる負えない場合もありますよね。

マルチタスクとシングルタスクをうまく組み合わせ、自分がやりやすい方法でたくさんの仕事をこなせるようになりましょう。