ナイーブとはどんな意味?日本語と英語の違い、使い方の例文や類語も解説

ナイーブとはどんな言葉?

ナイーブの意味は、「生まれつきのままで素直なさま」「飾りけがなく素朴なさま」「純粋で傷つきやすいさま」です。

類語は、「天真爛漫」「センシティブ」「デリケート」。

英語で表すときは、「naive」を使います。

ナイーブとはどんな意味?

ナイーブは、日本語と英語で意味がまったく異なっています。ニュアンスが、ほぼ真逆の使い方がされているため注意が必要です。

日本語のナイーブの意味

日本語のナイーブは、次の意味をもっています。

ナイーブ
①生まれつきのままで素直なさま
②飾りけがなく素朴なさま
③純粋で傷つきやすいさま
④単純で未熟なさま

日本語でナイーブといった場合は、①②③の意味から「純真」や「素朴」「繊細」のニュアンスで使われるのが一般的。④の意味では滅多に使用されません。

人の性格や感じ方、考え方に対して使われることが多く、誉め言葉として用いられるケースがほとんどです。

ナイーブな性格とは?

ナイーブな性格という場合、次のような性格を表していることが多いです。

ナイーブな性格
・繊細な
・純粋な
・純真な
・傷つきやすい
・素直な
・うぶな
・素朴で飾り気のない
・無邪気な
・冗談が通じない

日本語では、長所であるという認識でナイーブな性格といわれることが多いです。少々心配だ、少し困ったというニュアンスで用いられる場合もありますが、相手を馬鹿にする気持ちで使われるケースはまずありません。

英語のナイーブの意味

ナイーブは英語では「naive」と表記します。

naive
・(若いために、または経験不足であまりに)世間知らずな、うぶな、ばか正直な、考えが甘い、だまされやすい
・(特定の分野に)未経験な、先入的知識のない
・(子どものように)純真な、天真爛漫な、あどけない
・(美術の)素朴派の、素朴な
・(動物が)実験に使われていない
・(人が)投薬を受けていない、~の薬を摂取していない

「naive」は、「世間知らず」に近いニュアンスをもつ単語。人(とくに大人)に対して「naive」を用いると、相手が馬鹿にされたと思い腹を立てる可能性が高いです。日本語のナイーブと同じ感覚で使ってしまうと、大変な誤解が生じるので注意してください。

日本語のナイーブを英語にしたいときは?

日本語のニュアンスのナイーブを英訳したいときは、次のような単語が使えます。

「純真」といいたいとき
pure:潔白な、清純な、貞潔な、純粋の、理論的な
innocent:潔白な、汚れのない、純潔な、無邪気な、純真な、あどけない、お人よしの、単純な
childlike:(いい意味で)子どもらしい、純真な、無邪気な
「素直」といいたいとき
gentle:優しい、温和な、穏やかな、もの柔らかな、上品な、静かな、軽い、なだらかな、情けのある
「素朴」といいたいとき
down to earth:足がしっかりと地に着いた、現実的な、堅実な、分別のある
down home:(南部風の)素朴な、気取らない
straightforward:率直な、正直な
「傷つきやすい」といいたいとき
sensitive:敏感な、感じやすい、傷つきやすい、過敏な、気にしやすい、神経質な
delicate:優美な、繊細な、上品な、柔らかい、ほのかな、おいしい、慎重を要する、細かい、弱い、壊れやすい

伝えたいニュアンスに近い単語を選んで使ってください。

ナイーブと「naive」の意味が異なるわけ

「naive」は、フランス語の「naïf/naïve」から英語になった単語です。「naïf/naïve」の語源は、ラテン語の「nativus」。「nativus」は次の意味をもっています。

nativus
・作られた。創造された
・生まれつきの。生来の。天性の
・天然の

「nativus」から生まれたフランス語の「naïf/naïve」の意味は、「素直な」「無邪気な」「無知でだまされやすい」「世間知らず」「鈍感」。ポジティブな意味もありますが、ネガティブなニュアンスで使うケースがほとんどです。

英語の「naive」は、「naïf/naïve」のネガティブなニュアンスを強く受け継いでいて、日本語のナイーブは「naïf/naïve」のポジティブな意味合いを継承しています。そのため、語源は同じなのに意味が真逆になってしまっているといわれています。

ナイーブの使い方を例文で学ぼう

ナイーブの意味がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
・彼女のナイーブな歌声にほれ込み、熱心にスカウトした。
・子どものころから気が弱く、ナイーブになることも多かった。
・季節の変わり目の肌はナイーブな状態になりやすい。
・彼はナイーブな性格をしているので、ストレスで体調を崩しやすい。
・この話題はナイーブな問題をはらんでいる。

ナイーブの類語・言い換え表現

ナイーブの類語は、「天真爛漫(てんしんらんまん)」「センシティブ」「デリケート」です。それぞれの意味や使い方をおさえておきましょう。

天真爛漫
【意味】
・うわべを飾ったところが少しもなく、ありのままであること
・生まれつきの素直な心そのままで、明るく純真で無邪気なさま

【例文】
天真爛漫な言動で周囲の視線を引き寄せる。

センシティブ
【意味】
・感情が細やかで繊細なさま。神経質なさま
・取り扱いに細心の注意を要するさま

【例文】
SNSでは、センシティブに受け止められがちな話題は避けるほうが無難だ。

デリケート
【意味】
・感受性が強く、繊細なさま
・微妙で、細心の注意を要するさま
・精巧にできていて、こわれやすいさま

【例文】
デリケートな肌にも安心して使える、肌に優しい洗顔料を発売する。

身の回りのナイーブ

私たちの身の回りにはナイーブという言葉が使われたものがいくつかあります。生活を支えるものでもあるので、雑学として頭に入れておきましょう。

ナイーブベイズ分類器

ナイーブベイズ分類器は、与えられたデータがどのカテゴリーに属するかを判定・分類する、機械学習法です。

物事の関係性を考慮せず(独立と仮定し)、単純化した仮定ですべての確率を計算し、最大の確率になる仮定がどれかを導き出します。

ナイーブベイズ分類器は、私たちが普段利用している次のようなシステムに活用されています。

・迷惑メールのフィルター機能
・Webニュース記事のカテゴリー自動分類機能
・ユーザーの行動履歴からおすすめ商品を表示するレコメンドシステム
・混雑状況予測や災害予測、株価の予測など、リアルタイムの状況予測機能

ナイーブT細胞

人間を含む動物の身体は、免疫と呼ばれるシステムで守られているため、滅多に病気にならずに済んでいます。病原体と戦う免疫のなかで、中心的な働きをしているのがT細胞です。

骨髄で作られた幹細胞(T細胞候補の未熟な細胞)は、胸骨の裏にある胸腺と呼ばれる組織でT細胞になるための教育を受けます。そして、正常に働くかチェックする試験に合格したものだけが、T細胞として身体に放出されます。

ナイーブT細胞は教育を終えて胸腺から放出された、まだ抗原(病原体など身体に侵入してきた異物)にさらされたことのないT細胞のことです。

ナイーブT細胞は抗原から刺激を受けると活性化され、異なる役割をもつT細胞に分化し、それぞれ働き始めます。

クラシエの商品ブランド「ナイーブ」

ナイーブは、クラシエホールディングス株式会社が展開する、植物由来の洗浄成分を100%使用した肌に優しい洗浄料のブランド名です。

ナイーブにはボディソープ、洗顔料、クレンジングなどいろいろな種類の商品があります。人気キャラクターの「すみっコぐらし」や、俳優の高橋一生さんなどとコラボした、ユニークな商品を発表していることでも注目を集めています。

ナイーブの意味を理解して使おう

日本語でナイーブといった場合、「純真」「素朴」「繊細」のニュアンスであることが多いです。しかし、英語で「naive」というと、「世間知らず」のような相手を侮辱する意味合いになってしまいます。

ナイーブの意味を正しく理解し、誤解を与えない使い方をできるようになりましょう。