「ブレイクスルー」とは「障壁を突破する」こと
「ブレイクスルー」は、2022年時点では新型コロナ関連のニュースでよく見聞きするため、感染症の用語と思っている人も多いでしょう。しかし、実は「障壁や困難を突破する」という意味をもつ言葉で、ビジネスシーンでも普通に使われているんです。本記事では、正しい意味や使い方のほか、ブレイクスルーの種類、関連語、言い換え表現などについてもわかりやすく解説します。
また、対義語には「マドルスルー(muddle through)」があります。ブレイクスルーもマドルスルーも、「障壁を突破する」ことに違いはありません。しかし、ブレイクスルーは「目標が見えている状況」であるのに対し、マドルスルーは「先が見えない状況」の中を突破していくことを指します。正しく使い分けをするためにも、ここでセットで覚えておきましょう。
「ブレイクスルー」の英語は「breakthrough」
「ブレイクスルー」は「break(壊す、遮断する)」+「through(通り抜けて)」をあわせた言葉ですが、「breakthrough」で次のような意味をもつ単語として使われています。
・突破
・突破口
・突破作戦
・打開
・飛躍的進歩
・急進展
・大発見 など
「breakthrough」を使った熟語も少し紹介しておきます。
・make a breakthrough(大躍進をする)
・breakthrough achievement(画期的な業績)
・Breakthrough approach to~(~への画期的取り組み)
・breakthrough in medical technology(医療技術の進歩)
日本語においての「ブレイクスルー」とは
本来は、日本でカタカナ用語として使われる「ブレイクスルー」の意味は、英語とほぼ同じです。しかし、コロナ渦の時代の中では、ブレイクスルーは「ワクチン接種者が予防するはずの病原体に感染すること」の意味で捉えられている傾向にあります。ここで、もう一度「ブレイクスルー」の正しい意味を確認しておきましょう。
・難関や妨害などを突破すること
・障壁を突破すること
・技術的改良で問題を解決すること
・困難な状況を打開すること
ただし、ブレイクスルーは、障壁の向こう側にある目標がはっきりとしている場合に使う言葉であり、画期的な方法で突破することに関して用いられる場合が多いです。そして、冒頭でもお伝えしたように、先が見えない場合は「マドルスルー」になるので、混同しないようにしてください。
「ブレイクスルー」は4種類のタイプがある
「ブレイクスルー」は、突破方法によって、タイプ0~タイプ3の4種類に分けられています。
【タイプ0】
現状の技術や機能などを、改善したり、改良したりして進めて行く方法です。進化はしているものの、障壁を突破したという要素は少ないです。
【タイプ1】
現状の技術や機能などを、限界まで追求し、不可能と言われていたところを突破して進めていくことを指します。
【タイプ2】
現状の技術や機能の価値を一度見直し、新しい価値を見出そうと追求することをいいます。
【タイプ3】
現状の技術や機能などを、限界まで追求しながら、さらに新しい価値を見出そうとする進化方法で、タイプ1とタイプ2の同時進行のようなものをいいます。
「ブレイクスルー」の使い方・例文
ビジネスシーンにおいて、「ブレイクスルー」は困難な出来事が起きたとき、その壁を突破したり、飛躍的な技術の進歩が起こったりしたときに主に使います。では、わかりやすい会話文を紹介するので、場面を想像しながら読んでみてください。
・これまでほとんど目立たなかったA君がこんなブレイクスルーを起こすなんて今でも信じられない。
・当社の技術がブレイクスルーを起こさない限り、B社に勝てる日は来ないだろう。
・組織改革でブレイクスルーを起こすためにも、役員を一新する必要があると考える。
「ブレイクスルー」の関連語
ブレイクスルーには、「ブレイクスルー〇〇」「〇〇ブレイクスルー」という関連語がいくつか存在します。ここでは、比較的よく使われる言葉をピックアップして紹介しておきます。
ブレイクスルー思考
ブレイクスルー思考とは、目の前に壁が立ちふさがったときに、その壁に価値がある試練で、成長の材料と捉える考え方のことをいいます。
ブレイクスルーポイント
ブレイクスルーポイントとは、ブレイクスルーが起きる時点のことをいいます。このポイントに到達すると、一気に成長していくといわれています。
ブレイクスルーセラピー
ブレイクスルーセラピーとは、重篤な疾患に対する薬剤の開発や審査を促進するために作られた米国のFDAの制度です。承認までの期間を短くしたり、開発申請計画についての相談を利用したりできるといったメリットがあります。
技術的ブレイクスルー
技術的ブレイクスルーとは、なんらかの技術が飛躍的な進歩と遂げたり、革新的な進化が実現したりすることをいいます。AIやITの技術が進化している現代においては頻繁に使われるようになった言葉です。
ブレイクスルーテクノロジー
アメリカ合衆国カリフォルニア州に本社を置く、国際的な教育会社、ランドマーク・ワールドワイドが提供する教育プログラムに「ブレイクスルーテクノロジー」があります。仕事に活かすだけでなく、人生そのものの質をポジティブに変化させられるようにプログラムされています。
(データ参照元:Landmark ブレイクスルーテクノロジーコース)
「ブレイクスルー」の類語・言い換え
「ブレイクスルー」を日本語で言い換えたい場合には、次の言葉が使えます。
・打開
・突破口を開く
・壁を破る
・活路を開く
・革新的発展
・飛躍的進歩 など
そのほか、カタカナ用語の類語としては「イノベーション」がありまs。
「ブレイクスルー」と「イノベーション」の違い
イノベーションとは、これまではなかった新しい製品やサービスを生み出すことをいいます。従来の地点を突破するといった点ではブレイクスルーの類語といえますが、イノベーションは新しい製品やサービスことに重点が置かれており、ブレイクスルーは、従来の地点を突破することに重点が置かれているという部分で違いがあります。
「ブレイクスルー」はビジネスと医療とで使い方が異なる
ここまでで解説したきたように、ビジネスシーンでは主に「目の前の障壁を突破する」の意味で使われますが、医療業界では「ワクチン接種者が予防するはずの病原体に感染すること」を指して使われることが多いです。このように、分野によって意味合いが異なるので、状況に応じて正しく解釈できるようにしておきましょう。