インキュベーションの意味とは?インキュベーション施設などの関連語も解説

インキュベーションとはどんな言葉?

インキュベーションの意味は、「起業を目指す人や設立して間がない新企業の、事業の立ち上げや運営をサポートすること」です。

類語は、「ビジネス・インキュベーション」「起業家育成」。

英語で表すときは、「incubation」を使います。

インキュベーションとはどんな意味?

インキュベーションは、次の意味をもつカタカナ語です。

インキュベーション
起業を目指す人や設立して間がない新企業の、事業の立ち上げや運営をサポートすること

新しいビジネスで起業しようと考えている人や、起業したばかりのスタートアップ、ベンチャー企業は、起業に必要なヒト・モノ・カネ・情報のすべてが不足している状況であるケースが多いです。

また、資金やオフィス、研究室などを借りることも自力では困難。そのため、起業の前の段階で計画がとん挫したり、起業初期の段階で倒産してしまうことも珍しくありません。

インキュベーションでは起業家が会社の立ち上げ段階や初期の時期につまづかないように、必要な経営資源の提供や経験豊富な専門家による起業のサポート、ビジネスに役立つ人脈構築の機会の提供などの支援を行います。

インキュベーションの目的

インキュベーションの目的は、倒産せずに長期的に生き残れる革新的な新企業を増やすことです。

画期的なアイディアを実現させる革新的な企業を多く誕生させることができれば、地域の雇用が増えます。また、長く停滞を続ける日本の経済界の活性化にもつながると、大きな期待が寄せられています。

インキュベーションは英語だと?

インキュベーションは英語だと、「incubation」と表記します。

incubation
・抱卵、孵化(ふか)、培養、定温放置
・起業支援
・(病原菌の)潜伏、潜伏期

「incubation」にある「親が卵を守り孵化させる」意味合いから、企業として生まれる前の状態や、企業として生まれたばかりの弱い状態のものを保護し、ひとり立ちできるようにサポートする起業家支援の意味につながっています。

自然界での巣立ちのように、起業家支援のインキュベーションも一定期間で卒業し、ひとり立ちしなければなりません。

生物や化学の分野でのインキュベーションとは

生物や化学の分野でのインキュベーションは、次の意味になります。

生物・化学でのインキュベーション
培養:微生物や動植物の細胞、組織、器官を人工的に生育、増殖させること
孵化:卵がかえること。卵をかえすこと
抱卵:親鳥が卵を抱えて温めること
定温放置:一定の温度環境で一定期間保持すること
潜伏(期):病原体に感染してから発病するまでの期間

ビジネス用語のインキュベーションとは、意味が違うので注意してください。

覚えておきたいインキュベーションの関連語

インキュベーション関連の話題では、関連語もたくさん使われています。どのような言葉があるかも頭に入れておきましょう。

インキュベーション施設とは

インキュベーション施設は、インキュベーションを行うために開設されている施設です。起業家支援に力を入れている民間事業者が開設している施設のほかに、地方自治体や大学が運営する施設もあります。

入居から卒業までの間、オフィスや研究室といった、事業を行うために必要な場所や設備などを提供するハード面でのサポートを受けることができます。

また、インキュベーションマネージャーと呼ばれる、起業関係の事柄にくわしい専門家が常駐しており、アドバイスや悩み相談などソフト面での支援も得られます。

インキュベーションマネージャーとは

インキュベーションマネージャーは、起業に関する知識や経験が不足している新米起業家の相談相手になり、起業のそれぞれの段階で必要になるさまざまな知識やノウハウを提供するインキュベーションの専門家

新米起業家とともに課題に取り組み、目標を達成できるように支援しながら、新しいビジネスを作り上げていくビジネスパートナーです。

インキュベーションマネージャーが提供するサポートとは

インキュベーションマネージャーは、新米起業家に対して次のようなサポートを行います。

サポート例
・事業計画やビジネスプランのブラッシュアップ
・インキュベーション支援施策の紹介
・必要な融資や補助金を得るための支援
・共同研究先やビジネスパートナーの紹介
・ビジネスシステム構築の支援
・マーケティングや販路開拓の支援
・社会保険労務士、司法書士、弁理士など法律や会計の専門家の紹介

これらのサポートを通して、新しいビジネスのアイディアがビジネスとして成り立ち、事業を継続させながら会社として成長を続けられるだけの利益をコンスタントに確保できる状態まで、なるべく早く到達するように導きます。

インキュベーションオフィスとは

インキュベーションオフィスは、インキュベーションのために用意されている支援オフィスです。入居するには問い合わせ、事前面接、審査、契約と踏まなければならない手順が多く、一般的な賃貸オフィスよりも面倒ですが家賃は安く済みます。

また、自由な改装や設備の変更はできませんが、電源や設備などが事前に用意されているため、初期費用を安く抑えられます。

インキュベーション投資とは

インキュベーション投資は、起業前の段階の会社の卵や起業初期の段階にある企業を対象にしている投資です。

実績がないため起業家としての信用がない新米起業家や、起業の初期の段階すぎて会社としての将来性の見極めも困難な企業を資金面から支援するのが目的。経営指導など金銭面以外のサポートも行い、企業価値を高めていきます。

インキュベーションの使い方を例文で学ぼう

インキュベーションや関連語の意味がわかったら、次は言葉としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
・官民連携してインキュベーションを推進する。
インキュベーション施設に入居し、事務所を安く借りることができた。
・起業家を支援するため、インキュベーション事業部を新設した。
インキュベーション(定温放置)を行った後、検体を検査する。

インキュベーションの類語・言い換え表現

インキュベーションの類語は、「ビジネス・インキュベーション」「起業家育成」です。

「ビジネス・インキュベーション」は、インキュベーションの別の言い方。意味は同じなので言い換え語として使えます。

例文
・ビジネス・インキュベーションを通じて地域の活性化を目指す。
・次世代の起業家育成に力を入れる。

インキュベーションの意味をおさえておこう

インキュベーションは、新たな雇用の創出や日本経済の活性化につながると、ビジネス界から期待が寄せられています。ビジネス関係のニュースなどで目にする機会が増えているカタカナ語なので、しっかり意味を理解しておきましょう。