フラッシュメモリーの意味とは?仕組みや寿命、注意点などもわかりやすく解説

フラッシュメモリーとはどんな言葉?

フラッシュメモリーの意味は、「繰り返しデータの読み書きができる記憶媒体」です。

類語は、「フラッシュEEPROM」「フラッシュROM」。

英語で表すときは、「flash memory」を使います。

フラッシュメモリーとはどんな意味?

フラッシュメモリーは次の意味をもつカタカナ語です。

フラッシュメモリー
繰り返しデータの読み書きができる記憶媒体

もう少しくわしく説明すると、「半導体を用いた電子回路素子を使って作られた、繰り返しデータの読み書きができる記憶媒体」がフラッシュメモリーです。

フラッシュメモリーは、データの読み書きをするときは電源が必要ですが、通電をやめても記録したデータは保存されます。データの消去がカメラのフラッシュのように一瞬で完了するところから、フラッシュメモリーという名前がつけられました。

MEMO
電子回路素子:電気回路を作るために使われる部品のこと。電気回路を構成している要素のなかから導線をのぞいたものの総称

フラッシュメモリーの仕組み

フラッシュメモリーのなかには、「セル」と呼ばれるデータ保存するための部屋のようなものがたくさんあります。そして、フラッシュメモリーに保存されるデータは、電子の形で記録されます。

「セル」のなかには、「フローティングゲート」と呼ばれる電子を入れておく専用の小部屋があり、「フローティングゲート」の出入り口にあたる部分は、「トンネル酸化膜」という薄い膜で覆われています。

「フローティングゲート」は「トンネル酸化膜」によってそのほかの部分から切り離されているため、何もしない状態では電子は「フローティングゲート」を出入りできません。

データを書き込むときは、「フローティングゲート」に電子を押し込む方向に電圧をかけ、データを消去するときは、「フローティングゲート」から電子を押し出す方向に電圧をかけます。

電圧が加わると、電子は「トンネル酸化膜」を突き破って「フローティングゲート」を出入りします。

これがフラッシュメモリーにデータを読み書きする仕組みです。

フラッシュメモリーの寿命

フラッシュメモリーは寿命があり、データを永久に保存することはできません。

フラッシュメモリーにデータを書き込んだり消去したりするたび、電子が「トンネル酸化膜」を突き破るため、「トンネル酸化膜」が少しずつ劣化していくのがその理由です。

1,000回~数万回程度書き込みや消去を繰り返すと、寿命がきて正常に使えなくなるといわれています。フラッシュメモリーには質があり、一般的に安価なものほど寿命は短いです。

また、比較的熱や磁力に弱いという弱点もあるため、保管場所によっては書き換えが寿命の回数に到達していなくても、4~5年でデータが消えてしまうことがあります。

フラッシュメモリーの容量増加の歴史

1991年に、東芝が世界初のフラッシュメモリーを発売した当初の容量は、4Mbitしかありませんでした。その後、容量を増やす研究が重ねられ、フラッシュメモリーは大容量化し、現在では32Gbit~64Gbitの製品も販売されています。 参考 世界初のNAND型フラッシュメモリー東芝未来科学館

容量を増やす研究の歴史

フラッシュメモリーの容量拡大の研究は、まず一つひとつのセルのサイズを小さくし、同じ面積のなかになるべくたくさんのセルを敷き詰める方向で進められました。この方法で容量アップに成功しましたが、研究が進むことでこれ以上セルを小さくできない限界のサイズに到達してしまい、このやり方だけでは容量を増やせなくなってしまいます。

2000年代になると、今度はひとつのセルのなかに保存できるデータの密度を上げる技術が編み出され、進化していきます。

これは、「フローティングゲート」に電子が「ある」か「ない」かでデータを記録していたのを、電子の量がどのくらいあるかを「満杯」「3分の2」「3分の1」「無い」のように区分して見極め、増えた区分の分だけ保存できるデータ量が増えていく仕組みです。

2010年代になると、今まで平面に並べるだけだったセルを縦に積み重ねる方法が考え出されます。この方法は、平屋を高層ビルに改造するようなイメージで、何階層にもセルを積み上げることで面積あたりに保存できるデータ量を増やしています。

フラッシュメモリーの用途

フラッシュメモリーは消費電力が少なく小型で軽い、静音性や耐衝撃性に優れているという特徴もあることから用途は広いです。

冷蔵庫、電子レンジといった身近な家電や、デジカメやスマートフォン、タブレット、ノートパソコンなど持ち運びして使う電子機器にもフラッシュメモリーが内蔵された記憶媒体が多く使用されています。フラッシュメモリーが内蔵された記録媒体には、次のようなものがあります。

フラッシュメモリーが内蔵された記録媒体の例
フラッシュメモリーカード:カード型の小型記憶装置。SDカードなど
USBフラッシュメモリ:USBコネクターに接続してデータを読み書きする記憶装置。正式名称はUSBフラッシュドライブ。USBメモリやUSBと呼ばれることも
SSD:HDD(ハード・ディスク・ドライブ)の代わりに使える記憶装置。HDDよりは最大容量が少ないが、動作音や振動なく読み書きにかかる時間を大幅に短縮できる

フラッシュメモリーとフォーマット

フラッシュメモリーが内蔵されている記録媒体は、出荷時に初期化されている商品が大半なので、フォーマットせずにそのまま使い始められる場合が多いです。中古の記録媒体を入手したときは、フォーマットしてから使用してください。

フラッシュメモリーをフォーマットしてはいけないとき

フラッシュメモリーを内蔵した記憶媒体を使用していると、今まで普通に使えていたのに、ある日突然「フォーマットする必要があります」や「フォーマットされていません」などのエラーメッセージが表示されることがあります。

記録媒体そのものやパソコンなどに、何かしらの不具合が発生しているときに、このようなエラーが表示されます。記録媒体に保存されているデータそのものは無事なことが多いので、大事なデータが保存されているときはフォーマットしてはいけません

フォーマットの前にデータの確保

「フォーマットする必要があります」などのエラーメッセージが出た場合、フォーマットする前にデータ復旧ソフトなどを使いデータを取り出さなければなりません。

しかし、素人が自分で対処しようとすると状態が悪化し、データも壊れてしまう恐れがあります。重要度の高いデータの場合は、データ復旧専門業者に依頼することをおすすめします。

フラッシュメモリーとパスワード

フラッシュメモリーは、ノートパソコンやiPhoneをはじめとするスマホなど、携帯しやすい端末の記録媒体に使われることが多いため、セキュリティ対策が重要です。

パスワードなどを設定し、盗難や紛失のリスクに備えましょう。

フラッシュメモリーの使い方を例文で学ぼう

フラッシュメモリーの意味や特徴がわかったら、次はカタカナ語としての使い方を例文でイメージしてみましょう。

例文
フラッシュメモリー事業に力を入れる。
フラッシュメモリーの寿命を予測するシステムを開発する。
フラッシュメモリーを生産する工場を新設する。

フラッシュメモリーは英語だと?

フラッシュメモリーは英語だと、「flash memory」と表記されます。

flash memory
フラッシュメモリー

フラッシュメモリーは、日本で命名された名前のまま英語表記され、海外でも「flash memory」と呼ばれています。

フラッシュメモリーの類語・言い換え表現

フラッシュメモリーは、「EEPROM」と呼ばれる半導体メモリを改良して開発された記憶媒体のため、「フラッシュEEPROM」や「フラッシュROM」と呼ばれることもあります。

例文
・フラッシュEEPROMに書き込まれたデータを確認する。
・大容量のフラッシュROMを搭載する。

フラッシュメモリーは身近なアイテム

フラッシュメモリーは、家電やゲーム機などのおもちゃ、ノートバソコンやスマホなど、身の回りのさまざまな電子機器に使われている身近な記憶媒体です。

特徴や使うときの注意点なども頭に入れておき、うまく使用できるようになりましょう。