「リフレーミング」とは「今とは違う捉え方をする」ということ
「リフレーミング」とは、ある物事について、今とは違う捉え方や見方をするという意味の言葉です。もとは心理学の分野で主に使われていましたが、ポジティブな思考に考えていく「リフレーミング」は、自身の性格を変えていくのにも有効なため、ビジネスシーンでも取り入れられています。本記事では、「リフレーミング」の正しい意味や使い方だけでなく、練習の仕方や言い換え表現などについてもわかりやすく解説します。
「リフレーミング」の英語は「reframing」
「リフレーミング」を英語で表すと「reframing」です。これは、「骨組み」や「枠」の意味をもつ「frame」に、「再び」や「繰り返す」といった意味の「re」をつけた言葉「reframe」がもとになっており、英語では次の意味をもつ他動詞として使われています。
・(組織などを)再構成する
・(状況などを)捉え直す
・(~に)対する解釈を変える
・(絵画などを)新しい額縁に収める
日本語においての「リフレーミング」とは
「リフレーミング」とは、もともと心理学用語で、「ある物事を捉えている枠組みを外し、違う枠組みにして見ること」という意味で使われていました。簡単にいえば「考え方や捉え方を変える」ことをいいますが、主に、ネガティブ思考からポジティブ思考への切り替えを指します。
【例1】
・ネガティブ→いつもイライラと行動している。
・ポジティブ→とても行動的である。
【例2】
・ネガティブ→優柔不断ですぐに物事が決められない。
・ポジティブ→何事にも慎重で決定に時間がかかる。
このように、常にポジティブ思考への変換能力が身に付くと、多くの場面において柔軟な考え方ができるようになるため、「リフレーミング」を社員教育に取り入れる企業もあるといわれています。なお、「リフレーミング」には、「状況のリフレーミング」と「内容のリフレーミング」があり、違いは次のとおりです。
今置かれている状況を。ほかにどのように変えられるかを考えることをいいます。
(例)
・脚を怪我して行動が不自由になったことで、障害をもった社員の不便な点が理解できた。
・話下手でコミュニケーションをとることが苦手でも、新しいアイデアを産む能力に長けている営業マンが、企画部に移動することで力を発揮するようになった。
・個人の価値観や感じ方など、内面的な捉え方を変えることをいいます。
(例)
・人員削減でリストラの対象になってしまったが、失業保険の待機期間も短いし、これを機に取得したかった資格の勉強をしよう。
「リフレーミング」はマーケティングにも活かせる
「あと1時間しかない!」と考えると慌ててしまいがちですが、「あと1時間もある」と考えると気分的に落ち着くことができますよね。このように考え方をポジティブに変えていくことが「リフレーミング」になるわけですが、柔軟な発想ができる力が身に付いてくると、新しい発見をする力も向上してきます。
また、商品を販売するためのキャッチコピーでも「リピートしないと回答したのは全体の1%!」とするより、「リピート率99%」のほうが消費者の購買意欲は高くなります。これを見てもわかるように、「リフレーミング」は、ビジネスシーンにおいて人材育成の一つになるだけでなく、マーケティングにも活用できるといえます。
「リフレーミング」の使い方・例文
「リフレーミング」は、意味がわかれば使い方は難しくありませんが、例文で一応チェックしておきましょう。状況を頭に思い浮かべながらぜひ読んでみてください。
・自分に自信がもてないならリフレーミングの練習してみたら?ポジティブに考えられるようになるときっと自信につながるよ。
・彼は本当にリフレーミングするのが上手だよね。取引先の人、簡単に納得させちゃったよ。
練習すれば「リフレーミング」は誰でもできる!
「リフレーミング」は生まれ持ったセンスがないとできないと思っていませんか?しかし、実は練習次第で誰でもできるようになるんです。一番簡単な方法は、言葉の「リフレーミング」。つまり、言葉を違う表現に直してみる方法です。
・おおざっぱ → おおらか
・ルーズ → こだわりがない
・細かすぎる → 繊細である
・せっかち → 行動的
・消極的 → ひかえめ
・頑固 → 意志が強い
・めんどくさがり → 効率的 など
また、過去を振り返ったり、先を予想したりする、時間軸のリフレーミングをしてみるのもいいでしょう。
たとえば、納品する商品を間違えたとします。これを「もっと後になって報告されていたら、対象商品を必要以上に生産していたことになった。今、生産数の調整ができたのは良かったかもしれない。」と思えば、ミスに対しての注意力も高まりますし、報告をしてきた人に対しての勇気も賞賛できるようになります。
「リフレーミング」の類語・言い換え
「リフレーミング」を日本語で言い換える場合は、「今とは違う捉え方をする」「解釈を変える」「捉え直す」「表現方法を変える」などになりますが、カタカナ用語の類語としては「ポジティブシンキング」があります。
「リフレーミング」と「ポジティブシンキング」の違い
「ポジティブシンキング」とは、積極的・楽観的な考え方や行動をすること、という意味のカタカナ用語です。ネガティブな言葉や状況をポジティブに考え直すといった点においては、これら二つの言葉は同じ意味を示しています。
しかし、「リフレーミング」は、必ずポジティブにするというわけではなく、今の状況の枠組みを変えたり、捉え方を変えたりすることを指すので、「ポジティブシンキング」とは違いがあるわけです。
「リフレーミング」を実践し、ポジティブな言動ができるようになろう
ポジティブな考え方ができれば、人生や仕事にとても前向きになれます。思考を変えることは、最初は難しいかもしれませんが、練習次第で徐々にできるようになります。
リフレーミング辞典と名の付くものは存在しませんが、ポジティブな言葉への言い換え表現を紹介している書籍もいろいろと発売されているので、それを手元に置いておき参考にするのもいいでしょう。自身でネガティブ思考ぎみだと感じている人は、これを機にぜひ挑戦してみてください。